87話 飛翔、音速の翼②
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「大丈夫ですか?」
「すぐこちらへ!」
城へと向かう少女を保護する魔王国の兵隊さんたち。魔族である彼らは人間を上回る力とパワーを持ち寿命も長い。人類に対して明らかに強者と呼べる生物である。そんな彼らだからこそ、今の仕事を良く思わない兵隊さんも…残念ながら、いる。
「ふん、なんで人間なんぞ守護らなあかんとやって話たい」
「おい、声が大きいぞ」
「へいへい、業務命令だから従うけどさ」
流石に保護した少女には聞こえないように注意していたこの兵士の愚痴を聞いていた彼らの上司が、後ろから声をかける。
「人間を守護る仕事は不満かな?」
「えーそりゃまぁ不m………ゲェッ!」
言いながら振り返る愚痴ってた兵士は、上司の顔を見て青ざめる。
「気にしないでいい。君たちの素直な意見は貴重だからね」
その上司は、上司も上司。上司の上司のそのまた上司であり、魔王国の頂点。魔王イクスその人であった。
「そ…そう言われましてもぉ~……」
愚痴っていた兵士、もう委縮して意見できるような状況ではない。しかし、意外な所から魔王への意見が上申される。
「では魔王様、いい機会なのでお話してもよろしくて?」
「うん、聞かせてくれたまえ」
それは愚痴っていた彼を諫めた方の兵士。しかし彼も本音の部分では不満を持っていた。彼ら強い魔族がなぜ弱い人間を庇護しなければならないのか。魔界と同じように力で征服し支配するべきではないか、と。
しかし彼ら兵士は、強い魔族の中に限れば弱者である。もし力をもって征服に取り掛かった場合、魔族で真っ先に犠牲になるのは。人類は、いやほぼすべての生物は、敵の中で力を持たぬ者たちを狩る。魔王イクスは、彼ら自身のためにも極力穏便に王国を、四国大陸を平定しようと考えている。
その意図は、末端まで届いていないのは大きな組織においては仕方のないことだろう。そして、それをその通りにただ説明しても、納得はできないだろう。実際に自らが脅威に晒されないと危機感は得てして持てないものだ。魔王という強大な後ろ盾があるから自分たちは安全だと、そう思ってしまう。取引先の大企業の営業にへこへこするのは、そいつが大企業の営業だからだ。そいつ個人でははく、そいつの所属する大企業の看板にへこへこしているだけなのだ。勘違いしやがってムカつく!
「人類は牛さんや豚さんや鶏さんを自分たちの都合のいいように搾取してます。我々魔族にとって人類はそういう存在なのではないのでしょうか?人類を支配しお宝をいただくという宇宙海賊のスタンスの方が自然ではないでしょうか?」
「そうだね。その宇宙海賊が四国大陸を力で支配して、我々魔族の持つ価値あるものが奪われるとなったら、搾取されるとしたら、どう思う?」
「嫌ですね。だからそうならないために今連中の手下と戦っているのでしょう」
「そう、誰だって嫌だ。ただ、弱肉強肉は自然の理。そして、人類は…強いのだよ。勇者という存在が、