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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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86話 秘宝、無限の心臓④

 ランの身体を襲う全身の脱力感、眠気。今しがたこの部屋に入って来た侵入者の仕業だと否が応でも気付くが、既に抵抗する力を失ってしまっている。不死の肉体と言えども、無敵ではない。毒物で中毒は起こすし、損傷すれば痛い。ランは朦朧とする意識で必死に侵入者の顔を見あげる。口元を覆うマスクはいかにも侵入者のそれだ。顔を見られたくないから隠すのは当然の行いである。


「くそ…」


 ガシャンとスクラムハルバードを床に落とし、その上にとうとう倒れるラン。そのうつ伏せになった姿に、侵入者…宇宙海賊ネオデビルクロス四天王・美魔将カズミはとても気持ちがいい。


「男が…好みの若い子が思い通りになるのは好きさ…さて、一緒に本船に行こうかね」


 ランを連れて行こうと近寄るカズミは、バタバタと慌ただしい足音が近づいてくるのを察知する。城内の兵達が倒れる異常事態に救援が寄越されたのだろうか。足音が響く方へ視線を向けていたカズミは、足音が遠ざかっていくのを確認し、改めてランを連れて行こうと振り返る。


「…?」


 なんかがさっきと違う。いや、明らかに違う!ランの姿が…さっきは寝間着だったのに…鎧を着こんだ完全武装状態になっている。これはいかに最近年齢を重ねて脳が経年劣化した結果、お風呂に入ったときにシャンプーしたかどうか忘れたりしてしまうようなカズミでもすぐに気付く!


「きゃ!」


 ぶおん!と空気を裂く音とともに、ランが持つ槍がカズミの顔面目掛けて刺突!。すんでのところで回避したが頬をざっくりと抉られて赤くそまるカズミの顔。わりと深く抉られたのが痛みでわかる。


「血ぃいぃぃぃいいぃ…アタシの美しい顔にいいいい…」


 ランは先ほどの寝巻のときに持っていた丸太にたいなごっつい状態の槍だったらきっと回避できずに顔面がひどいことになっただろう。今は全身鎧状態の代わりに槍はシンプルな棒一本の様相である。つまり鎧のパーツが槍にまとわりついていたのだろう。男の子が好きそうな武器だなとカズミは思った。


「アタシの顔に傷つけた代価にその槍もらおうかね」


 腹心のしょうたくんにプレゼントしたら喜びそうだなと思い、カズミは槍もついでに持って行こうとする。おそらく最後の力を振り絞った一刺しだったのだろう。刺突の勢いでそのまま転倒し、今度は仰向けに倒れるラン。その目は焦点が定まらず、口からは流延が止まらない。完全に筋弛緩剤がキマっている。この状態ならば持ち帰るのは絡…ではなく、人一人運ぶのだ。大変ではあるが抵抗がないなら多少の負担の軽減にはなる。


「さて…………きゃあ!」


 カズミが近寄った瞬間!ランの槍がまたもカズミの顔面を襲う。今度は完全に回避できた。一発目を受けていたためちょっとピクと動いた瞬間に対応できた。経験は人を成長させるのだ。そして不意打ちが通らないと判断したランは、力の抜けた顔のまま立ち上がり、槍を構える。不死身のグランガイザスの体を持つからなのだろうか。不思議がいっぱいだ。こなっては力づくで持って行くしかない。カズミは本気でランを制圧すべく、構える。


「もう!アタシはアタシの思い通りにならない男はかわいくても好かんのだけどねぇ…!」

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