85話 矛盾、心の中身①
マーサ先生の空中一撃離脱戦法に翻弄されやられ放題のズオー(ブラッディⅡ)。なんとか危機を脱しようとマーサ先生の思考盗聴を図るも、その思考はドス黒い怨讐にまみれており、まるでインクを零した漫画の原稿の如く塗りつぶされたその思考を読み取ることができない。
「ぐぐぐ…このままでは…この怨讐の果てに起こる大陸戦争で貴重な文化財や人間国宝が滅びてしまう…!なんとしてもあの教師をここで討たねば…」
ズオーが屋上に残した合体形態の下半身、ブラッディⅡに指令を送る。ズオーはブラッディⅡとフォーメーションを切り替えることで複数の形態を使い分けることができるのだ。ゴォっと空中に舞い上がりズオーの両腕に合体、先ほどまでは下半身を担当し全身を支えていた剛脚が、今度はズオーの両腕に装着される!足の筋力は腕の3倍!つまりは3倍のパワー!
しかしマーサ先生の速度を捉えることはできない!光の闘気を噴射させる高速戦闘!それは剛腕形態のブラッディⅡを着実に崩壊させ、そしてその時はすぐに来た。
バキン!とあっさり砕けるブラッディⅡ。変形機構を備えるが故の脆さ。そして、マーサ先生は目にする。崩壊するその内部から迸る光を。
「うっ!」
目が眩む。その隙。マーサ先生の無防備なその瞬間。だがしかしマーサ先生はそこを狙われると察知し、防御を固める。薄く周囲に闘気を張り、その空間を掌握。侵入してきた遺物をオートで反撃する攻防一体のジャスティステリトリー。
「女、お前の息子があそこにいるんだな」
構えるマーサに飛び込んできたのはズオーではなく、その発する声。それを聞くや否や、マーサ先生は声の発生した場所目掛けて疾風のごとく翔ける!
「お前ェ!!」
ドゴ!闘気を込めた拳が、ズオーに炸裂する。
「我の…勝ちだ…」
「!?」
直後、トッシュの学び舎の上空30m地点。空間を燃やし尽くすような光と熱と、暴風が巻き起こった。