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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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84話 機人、ズオー③

 ~少し前~


 ガン!黒森峰高校の屋上に甲高い音が響く、それは屋上の入り口が勢いよく開かれた音、というより変形してひしゃげた音。ズオーが目を向けると、静音秒殺隊の兵士の死体が転がっていた。


「アンタが首魁かい?」

「オマエハ?」


 マーサ先生は自分をトイレに連れ出した兵隊をグチャグチャにした後、異質な気配の感じる屋上へ向かった。屋上の扉にグチャグチャになった兵隊をぶん投げ、扉を破壊。今自分はこんなにぷんすか怒ってるんですアッピルをするために。


(ナントイウパワー…。ザグマーノノコシタデータニアッタ一番強イ人間ヲ、遥カニ凌グ。…イヤ、遺伝子的ニコノ女、ソヤツノ親御サンノヨウダ…」


 ザグマーのデータにあった中で最強の人類、アル。宇宙海賊は知りもしない、勇者のジャスティスの力を引き継ぐ強き人類。そして、そのオリジナルであるマーサことジャスティスは、故にその力はアルの数倍にも及ぶ。


(戦闘ハ得策デハナイカ…サテ…)


 ズオーは、戦闘になったら被害は甚大と頭脳の電卓で出した演算結果から判断する。


「アンタが宇宙海賊っての?別に人間に被害出そうが知ったこっちゃないんだけどさぁ、うちの息子に危険及ぼしてんじゃないわよ」

「ソレハスマナカッタ。アクマデ我々ノ目的ハ偏差値ダ。目当テノモノヲ見ツケタラスグニ帰…ル…」


 ズオーはいつものくせで思考盗聴を図っていた。宇宙海賊が持つ最強の情報収集ツール、思考盗聴器。機械生命体であるズオーはそれを当然搭載しており、さらに宇宙海賊のソルジャーたちと違い、接触をせずともある程度近くにいる者の思考を読み取ることができる。そこで、ズオーは知る。マーサ先生のその正体。魔王軍からコードネーム邪聖拳ネクロマンサーの名でよばれる、落ちた勇者ジャスティスが持つ、邪悪なる計画を。


「そう、ならさっさと帰ってくれない?今校長が詰め込んでるみたいだしね」


 そう言って反転、屋上から去ろうとするマーサ先生の背後から、放たれる超兵器ソニックブラスター!見えない音速の音波平気!激しく振動する空気が射線上の原子を揺さぶり崩壊させる必殺の武器!


 バチン!と弾かれるソニックブラスター!得体の知れないエネルギーの波が、ソニックブラスターを打ち消し、さらにズオー本体に襲い掛かる!


「いきなり背後から不意打ちなんて卑怯ね」


 気付いたらズオーの背後にいるマーサ先生。その拳がズオーの背中を貫いていた。


「グハァ!…クッ!何トデモ言ウガイイ…!貴様ハコノ星ノ為ニ生カシテハオケヌ…!」

「あら?なんで宇宙海賊が地球を守るみたいなこと言ってんの?意味わからないわね」

「我々ノ目的ハ貴様トハ違ウ…貴様ノ望ミハ破滅…!コノ星ノ宝ヲモ破壊スル好意ダ…!」

「つまんないわね、もっとグイグイ攻めてくるもんだと思ってたのに…じゃあお前らもういらないわ」


 ジャスティス(小)から聞かされた宇宙海賊の脅威。マーサ先生にとって人類の間引きは望むことであり、息子さえ無事ならば地球がどうなろうと関係ない。むしろ適度に減らしてほしいくらいだ。そのためにマーサ先生が水面下で進めていた四国大陸大戦…それを悪と断ずるならば、この宇宙海賊、マーサ先生の期待に応えるような存在ではない。故にもう必要ない。適当に相手をして滅ぼすと、マーサ先生は結論付けた。


 マーサ先生と接触することにより、ダイレクトにその思考がズオーを蝕む。ズオーが、宇宙海賊が望むのは支配。全部を収奪してはそれっきりだ。宝を適度に収穫し、また次の宝の実りを待つ。そうやって長期的に、恒久的に価値を刈り取っていくことで延々と資産を増やすこと。それが宇宙海賊の目的。故に、この破滅を望む女は放置できない。この作られた命を持って、この女の命をここで収奪する!ズオーは自身の命を燃やすときが来たことを悟った。我が生、この瞬間のためにあり!

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