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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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81話 魔神、600年ぶり②

「こ、これがザグマーの秘宝!いや!これは神!」


 ザグマー市の秘宝の封印。600年もの眠りから覚めたそれは、人知を超えたまさに神と呼ぶにふさわしき巨体!巨大な秘宝を目の当たりにしたザグマー市市長は、その偉大な名を声高に叫ぶ。


「全知全能の魔神!力也様!」


 ザグマー市の歴史に力也教あり。幕府の弾圧から逃れた隠れ力也教信徒リキシタンたちのその信心は、現代まで脈々と受け継がれてきた。ザグマー市の治世に腕を振るう市長もまた、代々熱心なリキシタンたちが務めてきた。彼らが伝え聞いてきた神の姿。600年前にこのザグマーの地に降臨した白い御姿。今まさにその神が目の前に現れた。


「これが力也…。魔神…ってかマシンぽいなぁ」


 元宇宙海賊ザグマーは、自らと同じ名を持つこの地に伝えれた神のその姿の関節部を見てそれが機械の巨人だと突き止めた。肘を180度近くまで曲げられそうな二重関節。肩のアーマーをひっくり返さずに腕を真上に上げられるように肩に仕込まれた関節。設置性の高い足首。その設計は、宇宙海賊が持つロボット兵器にそっくりなことにも気づいた。


 そして、その『神』は、今から全てを把握したと思っていたザグマーを驚愕させる。


「ザグマーに連なる者よ、神の御子よ…」

「!?」

「おお!力也さまのゴッドボイス!まるで聞いているだけでワシも妊娠しそうなかっこいい声!」


 神の、お告げ。マシンだと思っていたそれが、まるで魔神のようにザグマーにその眼光を向ける。


「アンタ、一体何なんだ?」


 ザグマーの問い、しかし神にとって人は地を這う小さき存在。人が足元の蟻さんを意識しないように、神もまた人を意識しない。いや、この場合意識はしているが…、それはまるで、蟻を見るオオアリクイの眼光。自らにとっての都合の良い存在。


「神の御子、その身を我に捧げよ!」


 ピカーッ!眩い眼光がザグマーを照らす!まるで太陽を直視したかのような眩いその光量に目が眩み、そして視力が戻ったとき、ザグマーは転移していた。


「ここは…なんだこりゃ!」


 腕を、脚を、まるで十字架に磔にされたかつての神の御子のように、ザグマーもまたその四肢を拘束されていた。そして、目の前に広がるモニター。さっきまで隣にいた市長を見下ろすような視点が映っている。


「おい!お前!これは何だ!?」

「神の御子に相応しき神の座。さぁ御子よ、神の力を今こそこの大地に示そうぞ!神に牙剥く罰当たりどもに、正しく天罰を下そうぞ!」


 言うや否や、神は動きだす。封印が、解かれる。天井が左右にパカーっとゆっくり開き、差し込む太陽の光。神の顕現を祝福する陽光を浴び、魔神力也、今、テイクオフ!

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