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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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81話 魔神、600年ぶり①

「で、来てくれたのはうれしかったけどなんで黙ってたの?」

「いや~、そっちの方が驚いてくれるかなって~」

「えぇ…本気で怖かったんだからさ~」


 王国を目指して空を飛ぶ伊集院専用ロボット『マッハ丸』。前の名前は漢字で画数が多くてキキからこっちの方が可愛いよと改名させられた。確かに保険とかの車種に『裂弩レッド魅螺亞壽ミラージュ』なんて書いていられないし、なんか漢字も間違ってそうなややこしさなので改名することにした。


「王国についてらお前降ろして早速空に上がるからよ」

「空?」

「約束してんのよ。助けに行くって」

「へー、私には約束してくれなかったのにね」

「…」

「え、ちょっと…」


 キキの嫌味に伊集院の表情が曇る。その顔を見てキキもせっかく助けてくれたのにひどいことを言ってしまったと反省し、謝ろうと思った。


「ごめん…」


 狭い一人用のコクピットの中で、牛の反芻のようにその言葉が木霊したように聞こえた。キキに先んじて、謝ったのはコクピット内にいるもう1人、伊集院。


「え…?」

「ごめん、俺、もし助けに行けなかったらって思ったら約束できなかったんだ…」

「…それ、さっき言った助けに行くって言ってた人?」

「その子のこと考えたら、もし助けに行けなかったら恨むよなって。安易な約束は傷つけるだけにならないかって…いや、違う。約束を守れないのは最低だって、だから約束しなければいいんだって、そんな日本人的な思考だ。情けないなぁ俺」


 失言は別に日本人に限った話ではないが、こんな時でもそんな思考が出てしまう、保身を考えてしまうのはダメだよなと反省する。


「できるできないじゃない、やるんだよ!って名台詞もあるしな」

「…約束はそんな残酷なものじゃないよ。伊集院が助けてくれるって言ってくれたなら、あの時来なかったとしても信じて待つことだってできたと思う。約束がなかったから、もうどうにでもなれって捨て鉢になったし。だから、きっとその子は信じてるはずだよ。助けに行こう。私も手伝うから」

「あぁ…ありがとうな」


 王国に辿り着いたらキキをフィリップ伯にでもお願いしようかと思っていた。でも今伊集院はわかった。キキは仲間だと。だから協力をしてもらおう。さすがにコクピットを二人乗りにして一緒にカチコミするわけではないが。


「うふふ…私海を越えるの初めてなんだ。王国ってどんなとこなんだろうワクワクするなぁ」


 島から離れるにつれ、キキの気分はウッキウキの観光気分に変化していった。いろんな柵から解放され未知なる世界への冒険、そりゃあ楽しみだろう。知らない道を見たらついついその道を進む伊集院にもその気持ちはよくわかる。


(そういやキキは王国来るの初めてか。…そういえば王子はどこにいったんだろうな)


 ふと頭をよぎるのは、王国に呼び出されて最初に遭った王子の存在。伊集院を呼び出した彼は、グランガイザスと魔王軍の決戦後に姿を消していた。


『あー、たぶん邪聖拳ネクロマンサーとマユ姐さんが合流したんじゃないかなぁ』


 先代勇者ジャスティスが言うには、王子はジャスティスに憧れていたという。ならば勇者ジャスティスだったネクロマンサーのスポンサーになっててもおかしくはない。


「ま、どうでもいいか。俺は俺のやることをやるだけだわ」

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