表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
復讐、始めました。  作者: 中島(大)
149/236

76話 出現!ネオデビルクロス最高幹部①

「ウワハハハ!!いっぱい集まったなこの地球で最も美しい宝が!」


 王国南部の倉庫街、通称流通団地に設置したネオデビルクロスの倉庫に、彼はいた。ネオデビルクロス最高幹部、ネオデビルクロス四天王の一角である雷魔将オーラ。雷のような苛烈な性格をしたイケイケで好戦的な奴だ。そんな男だが、その性格通りの厳つい見た目とは裏腹に、可愛いものが好きという面も持っている。当然、そんな男が地球を調べたら、地球で最もkawaii物体である猫に心惹かれるのは自明の理だった。


「おーよしよしよしよし、この喉から聞こえるゴロゴロって音がすげぇ心地よいな」


 オーラの周囲には猫集めのために目覚めさせたネオデビルクロスA級ソルジャーのマタタビマンが7体配備され、それぞれ猫のお世話をさせてもらっている。ごはんにうんちの処理、ネオデビルクロスの秘密機械に吐いたゲロの掃除。世話を手下に任せたオーラは、ネオデビルクロス前線基地への通信装置で猫集めの成果の報告をしたいところだが、通信装置の上で猫が香箱座りをしているため通信ができないでいる。だから仕方ないのでもふもふするしかない。特にこの老舗猫カフェ七代目上田屋のNO1花魁である龍之介くん(4歳♂)は最高にかわいい。アメリカンショートヘアと呼ばれる種類の龍之介くんはしっとりとした上品な肌触りの毛並みと、見た目とは裏腹にがっしりとしてそれでいてしなやかな筋肉に包まれた肉体が、ただの猫じゃないことを実感させる。つまりkawaiiってことだ。


 人間のDNAをベースに龍之介くんのDNAを組み合わせれば素晴らしいソルジャー、いやそれを遥かに超えるバロン級が作れそうだが、オーラはそれをするつもりはない。猫は可愛がるものだから。もし予想通りのA級の猫男爵キャットバロンなんてできたら…猫は猫のままだから美しい。きっと美を冒涜する名状しがたいものができるに違いないから。


「しかし人間どもはひどい奴らだな…野にいる猫は耳をカットし生殖能力を奪い…店にいる猫には客を取らせる…。ネオデビルクロスのもとへ来るのが幸せだぞ。うちに来ないかい?」


 龍之介くんをなでなでしながら、ネオデビルクロスへ勧誘するオーラ。その問いかけに、予想外の返答がオーラの耳に届いた。


「拉致しておいて来ないかとは今更だな」

「何奴!?」


 瞬間、周囲のマタタビマンがバラバラに輪切りにされる。侵入者だ!オーラはすかさず龍之介くんを庇う。その行動が、逆にオーラの身を守ることになった。


「龍之介くんを手放せばアンタも輪切りにできたんだがな」


 倉庫の扉が開き、そいつがやってきた。龍之介くんのいた店にいた少年、ザグマーが見ていた映像の主役、この地球でも特に秀でた謎エネルギーの使い手の一人。現在警戒しなければならない強敵アル。


「なにをした…このマタタビマンたちが一瞬で輪切りに…」

「答えるつもりはないよ」

「だろうな」


 輪切りにされた瞬間、なにがあったかは理解できた。オーラの目に映ったのは細い糸。それを周囲に張り巡らして一気に輪切りにしたのだ。猫に一切の危害を加えずに。それはわかってが、どうやったか。オーラは推測する。さっきまで糸なんてこの空間には存在しなかった。空間転移反応もなかったし、そもそも空間転移阻害装置だって猫にゲロを吐かれてはいるが機能停止はしていないのだ。


(おそらくはあのザグマーの映像にあった、バットがすり抜けたやつ!奴は自らのエネルギーに質量を持たせるならば、逆に質量を消せるに違いない!龍之介くんを連れてきたマタタビマンに質量を持たない不可視の糸をひっつけ、そしてこの周囲に張り巡らせたのだ)


 そのオーラの推測はほぼ的中している。この闘気の糸は、アカネのハイパーチタニウム合金製ワイヤーの戦い方を参考に考案したものだ。付け加えるなら霊体状態は物理判定も無いのであらゆる物質を通り抜けることと、完全な不可視ではなく霊気探知できる者ならば感知可能な点だ。


(霊体状態の糸に気付く様子が全くなかった。こいつらは魔力や闘気が苦手のようだ)


 ならばもっと糸を使うタイミングを計れば良かったのだが、残念ながらそこまで繊細な使い方はできない。特に猫がいる以上、巻き添えにはできない。この親玉に至っては龍之介くんを手放す動きが全くなかった。だから、真正面から寝ず伏せるしか、なかった。


「返してもらうぞ、奪った猫を」

「海賊から奪うか!面白いかかってこい!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ