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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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72話 青春、思い出へと変わる日々①

「テメェ人質を…!」

「ワーハハハ動くんじゃねェー!!」


 バキューン!!


 タイガとバーニィを制圧され、反射的に救助に向かうナイトウを牽制するために長老が黒い何かを構え、叫んだ。刹那、雷鳴の如き轟音が倉庫内に響いた!


 バターン!直後、背後で樽が倒れる音がナイトウの耳に届き、硝煙の匂いが鼻腔を擽る。ナイトウは、長老の手元からうっすらと煙が立ち上るのを目にした。そして、じわじわと肩に焼けるような痛みを感じる。ナイトウの全身の感覚が、その脅威に警鐘を鳴らす。長老が手にする黒い物体に…!


「ワッハッハ!どうだ、これが神器の威力だ!肩の細胞をちょろっと頂こうかと思ったが外れちまった!運が良かったな!」


 背後に目をやるナイトウに、長老は勝ち誇ったように声を上げる。樽からボフっと待っている小麦のように、この神器の前には吹けば消し飛ぶ存在に過ぎない。


「神器…!」


 神器!その名にナイトウ、タイガ、バービィは戦慄を覚える。それは歴史に伝えられる古代文明の遺産。魔力を行使することなく超常の現象を引き起こす、超科学と呼ばれる超古代魔術の遺物である。現在の科学・化学・技術等においては、その前提に魔力があるという点で明確な差が存在し、完全に超科学を再現することは不可能と言われている。


「安心しろナイトウ!この神器トカレフでお前を殺すつもりはなぁーい…まぁ、そのつもりがなくてもうっかり殺っちまうかもしれんがなァー!」

「…フン、ドーグに頼るたぁ、落ちぶれたな長老」

「何ィ!」


 ナイトウは長老を軽く煽ると、その場から一気に倉庫の奥へ駆け出した。タイバニを制圧している長老の手下がヤベェ!逃げたッスと焦りを見せるが、長老は倉庫の出入り口を抑えているので落ち着ている。不意打ちをかまそうにも、出入り口周辺には隠れる場所はなく、多少の障害物なら手のひらサイズの小型神器であるトカレフでも十分穿つことができる。神器にはいくつか種類があり、長老の持つ神器トカレフはもっとも持ち運びのしやすいものだが、その威力は一発で人間を死に至らしめる威力があるのだ。


「おるぁー!」


 ナイトウの絶叫が上から響く!長老はすぐさま倉庫にある棚の頂点へ神器口を向ける。神器を発射しようと構えるが、遅かった。神器を発砲するには抜き、構え、引き金を引くまで三動作スリーアクションが必要である。無論、すでにワンアクション目は終えている。狙いをつけて構えるツーアクション目の直前に、ナイトウの行動は既にその叫びと共に終わっていた。


「な!?」


 ナイトウの所在はその棚の頂点であったが、頂点に立っていたわけでなない。棚はすでに傾き、長老たちの方へ倒れ込もうとしていたのだ!そう、ナイトウの目的は棚を蹴り倒すこと!駆け出したのは逃げるためではない。女装で勢いをつけ飛び、そのまま倉庫の壁を蹴ることでさらに飛ぶ!所謂二段ジャンプや三角飛びである。これにより通常のジャンプでは届かない棚の天辺まで飛び上がり、その勢いのまま蹴り倒したのだ!


(フン!しかし届かんよ!)


 ガッシャンガッシャンブリブリブリにちにちにち!!棚が中身をぶちまけながら倒れるも、その棚の頂点は長老の数m先である。それ以前にタイバニもいるのだ、棚が傾いているのを目にしたときから押しつぶすのが目的ではないと気付いている。どさくさに紛れて不意打ち!それが目的!周辺に舞う小麦粉にむせそうになりながら、長老は警戒を強める!


(タイガ…これって…)

(あぁ、速く逃げねぇとやべぇな)


 小声で話すタイバニの二人だけが、ナイトウの真意に気付いていた。

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