71話 老獪、長老の罠①
「やったらー!!」
「うおるあああああ!!」
呼び出された倉庫で繰り広げられる死闘。数時間前に食らったリンチにより活性化したタイガとバーニィの休眠していた喧嘩細胞がβ-エンドルフィンを大量に、まるで熱が出て脳からいっぱい分泌される鼻水の如く噴出する!痛みに対して脳内で生成されるβ-エンドルフィンの鎮痛効果はモルヒネの6.5倍!今の二人はまさしく脳内麻薬β-エンドルフィンにラリったケンカジャンキーだ!
「グワー!」
周囲の兵隊のアタックを無視し、一直線にボスである長老を狙う二人。長老のカウンターをバーニィがその身を盾に受け止め、その隙を突いてタイガの拳が長老の鼻を折った!それだけでは終わらない!タイガはすかさず連続攻撃に移行する。その連携を阻むべく迫りくる兵隊を、バーニィが食い止める!バーニィに阻まれた兵隊の一人が、バーニィの背の奥の死刑執行を見て叫ぶ。
「マウントだ!」
執行開始!地面に倒れた長老にそのまま乗りかかり、マウントポジションからタイガのが長老を処す!鼻は両手で塞がれている。ならば!
「目だ!」
タイガの目潰し!親指と人差し指で長老の目を潰し!
「喉だ!」
鼻から手を離した隙だらけの正面、喉に貫き手による地獄突き!
「顎だ!」
呼吸苦になり口を大きく開けた長老の口に両手を突っ込み、上顎と下顎を引き離す!ゴキンと鈍い音とともに顎間接が脱臼!
「あああああああ!」
最後に平手打ち!思いっきり長老の頬をはたく!
「てめぇこの野郎!」
「ブッコロがしてやる!」
バーニィ一人では兵隊を全部食い止めることはできなかった。既にバーニィは袋叩きにされている。タイガもそれを覚悟する。ボスはやった。これで舐められることはないだろう。無論、黙ってボコにされるつもりはない。最後まで抵抗をしてやる。全員はやれなくとも、一人でも多くやってやる。ズタズタになった長老から立ち上がり、タイガは兵隊へ立ち向かった。
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翌朝。ナイトウが二人を救助に向かう8時間前。ナイトウは今日も遅刻せずに登校を決めた。それどころかいつもよりも登校時間が早い。自分のささやかな趣味を暴露した二人をしばく、その思いが早起きをさせたのだ。
「タイガとバーニィは許るさん…」
しかし、待てども二人は登校してこなかった。そして、その理由は午後16:00、授業を終えた放課後に判明した。
判明する10分前。15:50。家に帰ろうとするナイトウに、生徒会長の呼び出しがかかったのだ。
「会長?」
「ナイトウくん、話がある。ついてきたまえ」