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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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70話 虎馬 タイガー&バニー③

「へへへ…手下をやられてナイトウの野郎もトサカに来てんゼ」

「ナイトウをここでぶっころがしちまえば俺らカス高の天下よ」

「なぁにが俺らだよボスヅラしてんじゃんぇぞカスめ」

「あぁ!?先におめぇからやっちゃーゾ!?」

「おいケンカはナイトウを死体に変えてからにしろ!」


 わちゃわちゃ今にも仲たがいしそうなカス高の兵隊たちだが、打倒ナイトウの旗印のもと垣根を越えて一つに集まる野党の如く一致団結する。そんなカス兵たちをよそに、ナイトウの怒りは留まることを知らない。


「タイガ、バーニィ…チクったな!ナツキにィ!コップ!」

「…えぇ、それぇ?」

「ていうかバレんのはやくね…」


 天井から吊るされている二人は、ナイトウの怒りの理由に冷や汗が流れる。ナツキが情報元を言うとは思えない。二人は、たぶん留学生トッシュの仕業だと想像する。あの場に他にいて話を聞いてたのはそいつしかいない。魔界育ちだから空気を読んで黙っとくことができないのかと、二人は呆れた。


 ナイトウが手刀でガキン!とチェーンが切断し、50cmほどの高さから吊るされてた二人はそのまま地面に落下する。1mは一命取るという言葉もあるが、50cmなので大丈夫…ではないが、この二人は頑丈なので大丈夫なのだ。


「いて!」

「ぐへ!」


 そんな落下した二人に歩み寄るナイトウ、怒りの次は悲しみの涙を流している。


「くっそー!チクったお前らをぶん殴ってやろうと思ってたのに、これじゃなぐれねぇじゃねかよ…!」

「…ハハハ、じゃあ代わりにカス兵どもを殴ったらどうかな」


 タイバニを殴りたい衝動に駆られるナイトウだが、傷だらけの二人を殴るわけにはいかないということはわかっている。そんなナイトウにバーニィの非情な提案、八つ当たりされるカス高生は不憫だ。


「オウよ、八つ当たりさせてもらうわ。お前らは回復したら殴るからな!覚えとけ!」

「はぁ、やれやれ…」


 結局ナイトウにケツを拭いてもらうことに、タイバニは己の無力を実感せずにはいられない。そんなタイバニに、ナイトウがムチの次にアメを寄越してきた。


「しょうがねぇだろ、長老がいねぇんじゃ憂さ晴らしも十分にできねぇわ。…おまえらがやったんだろ、長老をよ。やるじゃねぇか。」


 ナイトウはこの場に本来いるべき人物がいないことに最初から気付いている。それは長老と呼ばれる、カス高を束ねる現番長のことだ。その長老という称号は、彼が成し遂げたカス高の歴史上史上初前人未踏の功績によるものである。彼はカス高を高3から『5年間』支配し、4代前の番長が成し遂げたこれまでの最長記録、高1から高3年までの3年という支配の歴史を大きく更新したのだ。大学に進学したとしても本来であれば既に就職している年齢まで在籍した結果、他の在校生を大きく上回る年齢となり、年長者である彼を、いつしかカス高生たちは長老と称えるようになった。カス高歴代最強の番長、それが長老フジモト23歳!


「ナイトウくん…!」

「あぁ、まぁ、タイガがやってくれたよ」

「へへへ、退院したばっかなのにまた病院に戻ったぜアイツ」

「全く、無茶しやがって。後は俺に任せて休んどきな。早く治らないと殴れないからな」


 ヒートアップをしているものの、どこかうれしそうなカス兵たちの言動にナイトウは納得する。奴らは次は自分が次の番長になるために集まっているのだ。フジモトが倒れ、ナイトウを斃せば次の番長の座が降りてくる。本来ナイトウをやっつけるのは無理だと彼らもわかっているのだが、今回は別だ。ナイトウが土曜深夜に負傷しているという情報が、カス兵たちのボルテージを最高潮に盛り上げる。


「お別れが済んだか!?安心しろ!すぐに病院のベッドで再会させてやるよ!」

「てめぇは半殺しじゃ済まさねぇ!ほぼ全殺しだ!」

「キエエエエエ!」


 カス兵たちの鳴き声に、ナイトウも叫ぶ。


「上等だ!かかってこいやカスどもがぁ!」

 ・

 ・

 ・

 その頃、黒森峰高校。ここに睨み合う二人の男がいた。


「なぜナイトウを向かわせた…トッシュくん」

「生徒会長、アイツは友達を助けにいっただけですぜ」

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