68話 拷問、悔い改めて①
「え!?え!?え!?」
見切ったはずの太刀筋になぜか首を1/3ほど切られて傷口を必死に抑えるトッシュ。よくよく見るとクラウウの持つ半透明の青い剣の先端、何もない空間に血液が浮いている。いや、浮いているといより付着しているというべきだ。その血が見えない刃がさらに剣先から伸びているのを証明していた。
「油断しすぎです、トシさん」
ライゾウの呆れた声が聞こえた。確かに油断してた。おかげで致命傷だ。必死に首を抑えるトッシュに、クラウスがトドメと言わんばかりに剣を振り被る。
「ワハハハハ死ねぇ!」
「うるせぇ!」
ドン!今度は油断していたクラウスのボディをトッシュの拳が撃ち貫いた。
「グハァ!」
拳から力が抜け、落とした剣が床に突き刺さる。そのまま剣とバイバイして地面にコロコロするクラウス。
「ばかなぁ…なんで首を切られて…えぇ!?」
クラウスがなんとか顔を上げるといつの間にか繋がっているトッシュの首の傷が目に入った。
「くっそー、傷が残っちまった」
クラウスがばらまいた超爵剣バトルソードの破片、それは破片それぞれが剣となって周囲に突き刺さっている。その内の一本を抜き払い、鏡の様にトッシュは自分の傷を確認した。暗黒真拳・集気法。闘気で自身の肉体の治癒力を極限まで活性化し、生きている限りあらゆる傷を自然回復の範囲ではあるが超速で治す技である。必死に手で押さえて超速で癒すことで、トッシュはなんとか首の皮一枚繋げることができた。おかげで闘気はすっからかんだ。これは非常に燃費が悪い。エントロピー的に考えて破壊と創造では必要となるエネルギー量は等級ではなく、後者の方が比較にならないほど膨大だから仕方ないのだが。
「さて、クラウスくんが二度と悪さできないように呼び寄せたのがこの拷問のプロのライゾウくんだ。詳しく説明しよう。ライゾウくんは魔王軍のニンジャ軍団で上忍をやっておられるくノ一でな。当然拷問するのも耐えるのも上手なんだ。さぁ、ナっつんの代わりにライゾウくんで楽しませてあげるよ」
「ちょ…ちょっと待って、今なんて言った?くノ一?その筋肉ムキムキでヒゲで体毛の濃いおっさんが?」
「あ、今そういうこと言ったら危ないぞクラウスくん。さてカメラもあることだし、拷問を始めようか。大丈夫、痛くないから。むしろ気持ちいいから」
トッシュが説明する背後で、衣服を脱いだライゾウがマットをセッティングし直している。ライゾウは全裸ではない。身に付けているマイクロビキニがあるのだが、乳首の部分の布地はカットされ露出しており、股間の部分も穴が開いており屈強な男性器がムクムクと反りあがっている。マットセット中に見せた背中部分、お尻にも丸く穴が開いており、ライゾウの穴も丸出しだ。
この後何をされるのか、クラウスは想像する。
「俺は…レイプされるのか…」
クラウスはこの期に及んでようやく理解した。