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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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67話 反抗!ナイトウは意地っ張り③

「留学生…あぁ、昨日来た魔界からのか」


 クラウスの質問を無視してトッシュはナツキに声をかける。


「ナっつん、ナイトウを病院に連れて行ってくれる?」

「え…でも…」


 ナツキとナイトウを逃がそうとするトッシュを、クラウスがそうはさせまいと立ちはだかる。


「そうはさせないぞ。剣聖ソードマスターJ!出番だぞ!」

「剣聖だと?マジで!」

「そんな…!」

「くっ…!」


 クラウスの仲間を呼ぶ声に3人は驚く。王国でも有数の剣の使い手に与えられる称号、それが剣聖。その名を持つ剣士は1人で100人にも匹敵する一騎当千の強さを誇る強者だ。ナツキとナイトウは驚きと共に絶望するが、トッシュはどこか楽しみにしていた。…しかし、来ない。


「J!何をしている!」


 再度呼びかけるが、うんともすんとも。そしてトッシュは察した。


「あっ…もしかしてこの子が剣聖J…?」


 直後、入室してくる筋肉モリモリの巨漢の男性。その方にはトッシュの邪魔をしてトッシュに殴り飛ばされた剣士が抱えられていた。


「な…J!?」

「あぁ~…そっかー」


 トッシュは強者との戦いに期待したが、いや確かに剣聖Jはけっこう強かったが、さらなる強者がいるという期待は裏切られた。


「ささ、ナっつんはナイトウを連れてって」

「でも…」

「大丈夫このライゾウくんは強いから。だろ?ナイトウ」

「お、おぉ…」


 ライゾウの助力を受けたナイトウは、武装従業員だけでなくさらに剣聖を斃したのかとその強さに驚愕し、後を任せることにした。実際剣聖Jを斃したのはトッシュなのだが、トッシュはあえてそれを言わない。1人の留学生として目立ちすぎるのは避けたいから。


 ナツキとナイトウが去り、残されたクラウスにトッシュが言葉を発する。


「さて、安心しなよクラウス。このライゾウくんは手を出さないから。タイマンだ」

「…そうかい。お前は殺すゾ」

「やってみな」


 クラウスは自分を舐めてかかるこの留学生が気に入らない。剣聖Jをあのムキムキ男に斃してもらったから、俺が相手なら自分で十分だと見誤るその勘違い、甚だ許しがたい。剣聖を従える超爵家の末っ子が、なぜ剣聖より弱いのか。その愚かさを後悔しながら死んでいけと、クラウスは超爵剣バトルソードを構える。


(身の丈を超える大剣…パワー系の貴族は珍しいな…)


 そのパワーにトッシュも構える。暗黒真拳マグナムの構え。深く腰を落とし、全身の力を込めてまっすぐに相手を打ち抜く必殺の構え。もちろん、その威力はクラウスに直撃すれば死は免れないだろう。トッシュの目標はクラウスの暴虐を止めることで、クラウスを殺すことではない。無力化を図る最善の方法は、武器破壊!


ジャアアアアア!」


 クラウスが大剣を上段に構え袈裟斬り!その大剣の重量と地球の重力、そしてクラウスのパワーが一つになり人間を両断する剣撃を生み出す!


ッ!」


 その剣を狙いすまし、トッシュがまっすぐに拳を打ち抜く!聖拳ではないただの正拳突きだが、その闘気を纏った拳は鉄にも負けない強度!


 ガギン!砕け散る超爵剣バトルソード!勝利を確信したトッシュ…の喉元に、クラウスの追撃の横薙ぎが迫っていた。


(なにィ!?)


 咄嗟にトッシュはその軌道を見切りギリギリの所でバックステップ!どうやらあの大剣の刀身は鞘の様なもののようだ。破片が砕け散りその中の芯に当たる剣がクラウスの手に握られていた。半透明な美しい、いかにも貴族が好きそうな綺麗な剣だ。


 ドロォ…!


 その美しい刀身に目を奪われていたトッシュは、今自身が追った致命傷に一瞬気付かなかった。確実に躱したと思ったあの横薙ぎが、トッシュの喉を斬り裂いていた!おびただしい血が喉から首にかけて横一文字に斬り裂かれた傷から垂れだす!


(バカなぁ…!)


 驚愕するトッシュの目に、ニタニタ笑うクラウスの笑みが映っていた。

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