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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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67話 反抗!ナイトウは意地っ張り②

 ゴツン!部屋の中に響く人間の顔面と顔面が勢いよくぶつかったような音が響く。それはような、ではなくまさしく人間の顔面と顔面が勢いよくぶつかった音だった。ナイトウを取り押さえていた一級ソルジャーの二人が、まるで幸せなキスをするかのように顔面を正面衝突させ、鼻血ブー垂れながら女の子とちゅっちゅできると思ってたのに同僚とのちゅーをさせられた絶望感の中、意識を手放した。


「なにィ!後ろから右腕と左腕を拘束していた一級ソルジャーそれぞれを片腕の力で振り解きすからず後頭部を掴み顔面と顔面をぶつけただと!」

「ほう…!」


 クラウスの友人の一人が驚く。対してクラウスは驚いたもののどこか楽しそうだ。ナイトウは取り巻きには目もくれずクラウスを目指して駆け出す!


「クラウスウウウ!」

「行け…フォアダイス!」


 クラウスは友人の一人、フォアダイス公爵家の三男坊ディダーロを向かわせる。ディダーロの股間に装着された手首の形をしたちんぽカバーは、いつの間にか電動ハブラシからバタフライナイフに持ち替え、加えて両手に持ったバタフライナイフ2本の計3本でナイトウへ立ち向かう。


「我の3本のバタフライナイフが生み出すは変幻自在の刃!人呼んで自在剣スパイラル・ナイフのディダーロ、参る!」

「邪魔だぁ!」


 自在剣スパイラルナイフの渦巻く刃に刻まれるのを意に介さず、ナイトウのハンマーのような拳がディダーロの顔面を打ち砕いた!


「おい、強ェーぞヤロー」

「どうすっべ、クラウスクン」

「フーン、じゃあお前ら全員で行きな」

「上等ォ!かかってこいやぁ!」


 その頃、秘密クラブの店内で合流する2人の人影があった。いや、厳密にいえば3人ではあるが、うち一人は意識が無い状態で荷物のように運ばれている。その荷物を卸した男が、店内を制圧した男を賞賛する、


「さすが、ライゾウくん。無事制圧してるね」

「いえ、このくらいは造作もありませんよ。トシさんも無事でなにより」


 秘密クラブに遅れて到着した男はトッシュ。トッシュが引きずってきた男に目をやり、ライゾウと呼ばれた男はトッシュの無事を喜んだ。ライゾウは先ほどナイトウのために武装従業員に立ちはだかった男、トッシュが今日の為に呼び寄せた助っ人である。


「いやー、でも俺だと逃がしかねないし、逃がさないように全力だったら殺しかねないからさ。君に来てもらって正解だったよ。さすがはニンジャ軍団の上忍ジョーニンだね」

「もったいないお言葉です。ではナイトウくんのとこへ行きますか?」

「んー…いや、もうちょっと後だね、まだ大丈夫。あ、この子持っててくれる?」


 トッシュは持ってきた荷物、意識を失っている剣士をライゾウに抱えさせた。トッシュはこの後の自分の出番を調整する。気配探知により地下室の状況を探り、一番いいタイミングで出るために。


「ハァ!ハァ!ハァ!ハァ!」

「すごいな君は。フフ、君が平民じゃなければ友達になりたいくらいだ」


 ナイトウの取り巻きたちを打倒したナイトウであったが、既に満身創痍である。全身をナイフで刻まれ、顔面は晴れ上がり、両脚の震えは今にも床を舐めそうなほどに自身を支えてるのが不思議なくらいだ。


「1級ソルジャーよりも強い俺の手下どもを倒すだなんてな。けどな、俺はもっと強ェーゾ。貴族の家に生まれた男は武勇を上げるために武道を極めている。我が超爵家に伝わるこの剣、超爵剣バトルソードで遊んでヤンヨ」

「…」


 クラウスが抜きだしたのは歪な剛剣。その重量は両腕で振るうことすらも常人には果たせぬであろうことは想像するに容易い。そんな剣を片腕で軽々と持ち上げるそのパワー、さすが貴族。良い物を食ってるだけのことはあるんだなと、ナイトウは心の中でうらやんだ。そのとき、ナツキが動いた。


「ナイトウ!逃げて!」


 ナイトウを逃がすために、ナツキがクラウスの背中にしがみつく。自分を信じてくれなかったのに、ナイトウは自分を助けに来てくれた。それだけでもう十分だ。このまま続けばナイトウは殺されてしまう。超爵家の力をもってすれば、平民一人殺した程度もみ消すのは容易だろう。逆にナイトウがクラウスを殴り倒してとしても、後日貴族の息子に手を上げたとあっては逮捕は免れない。万が一クラウスを殺してしまったならば、すぐに縛り首だ。そう、ナイトウは詰んでいる。ナイトウを助けるには、自分が耐えるしかない。ナツキは動いた。友だちのために?いや、それも違う。ナイトウがいなくなる学校は辛い。気に食わない奴だけど、その毎日はどこか楽しかった。ナツキはクラウスに舞い上がって忘れていたその楽しさを、思い出した。


「フフフ、どうするナイトウくん。君の思い人がこう言っているんだ。逃げても俺は追わないよ?」

「ナイトウ…」


 ナイトウは、答える。


「ナツキィ…お前昨日言ったじゃねぇか。なんでいつも言うことを聞かないんだって。だから俺の答えはわかってんだろ?」

「ナイトぉ…」

「意地っ張りもそこまで来れば勲章ものだ。命よりも大事な、通さなきゃいけない維持。かっこいいねぇ」


 クラウスがバトルソードを投擲する構えを見せる。クラウスはナイトウを殺すつもりはない。バトルソード13の機能の一つアイアンチェーンでナイトウを拘束し、そのままクラウスの前でナツキを犯すつもりだ。自分の惚れた女の子が、自分の目の前で、自分の憎い男に犯される。そんなナイトウの気持ちを想像するだけで果ててしまいそうだ。


「はいそこまでー」

「むむ!」

「え?」

「…おせーよ、留学生」


 地下室の扉を開け、三者の間に挟まりにきたのはナイトウの友達、トッシュだった。

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