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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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66話 悪童、許すまじ②

誤字報告感謝いたしますわお姉さま

 深夜、学校の屋上に立つのはかつての勇者ジャスティス。魔王軍から邪聖拳ネクロマンサーと呼称されている彼女は、黒森峰高校の新任教師を執行している。割ときれいなマーサ先生として生徒から親しまれ、今現在も当直の仕事中である彼女は、放課後のトッシュの行動を遮ることなく送り出したのを自嘲していた。クラウスからナツキを守ろうとするそのトッシュの行動は、ともすればジャスティスの計画の妨げになるのは間違いないだろうに。


「我が子の往く道は、応援したくなるものなのかな…そう思わないかい?君も」


 マーサ先生が呟く。その背後の闇から、一人の影が…いや、それは影ではなく実体を持った一人の魔族だった。


「君はイクスシェイドだね。マユから話は聞いているよ。…ジャスティスじゃなくて邪聖拳ネクロマンサーと呼びたまえよ、その呼び方私も気に入っているんだ」


 イクスシェイドは邪聖拳ネクロマンサーが黒森峰高校に赴任していると報告を受け、空術にて侵入を試みた。深夜という時間なのにまだ残っている邪聖拳ネクロマンサーの存在に気付いたイクスシェイドは、空術でその肉体の内部破壊を試みたが、案の定失敗し、その存在を感知されることになった。


「聞いているのか…ならば邪聖拳ネクロマンサーよ。貴様の企みはわからぬが、思い通りに行くとは思わぬことだ。我が軍は一度捉えた貴様の存在を決して逃がさない」

「悪趣味だね、デバガメだなんて。…監視してるだけじゃ勝てないよ?それとも一人で来たということは、私を滅ぼす自身ありかな?」

「…我が魔王軍にはグランガイザスの力を継承した戦士に、勇者ジャスティスの力をコピーした勇者量産計画の成功体3人、そしてかつての貴様そのもの(少女ジャスティス)も揃っているが…それに魔王軍全軍合わせてぶつけても…五分五分といったところだろうか」

「謙虚な計算だね。頑張れば6:4は行けるんじゃないかな?…まぁ、でも君一人じゃ…ね」

「そうだな。しかし勝てなくとも…負けもしないが」


 イクスシェイドの妙に自身ありげな言葉にマーサ先生はすこし警戒する。


(彼の正体は不明だ…トッシュもよく知らないらしいし…フカシこいてるわけではなさそうだね)


 不死身か、何かそういう死なない秘密でもあるということだろうか。現状ここで騒ぎを起こしたくないので、マーサ先生はイクスシェイドに手は出さない方がいいと判断する。


「OK、君の判断を信用しよう。ここで戦っても千日手になってしまうのはお互い利が無いだろうし、帰っていいよ」

「そうか、感謝しておこう。あと、貴様の実子の勉学も応援するといい」

「もちろんだとも。君の養子の先生だからね私は。じゃあね」

「フッ、別れる際にはじゃあねじゃなくてまたねって言うものだとトッシュが言っていたぞ」

「おやおや、なんだか乙女なところがあるじゃないかわが子は。それじゃまたね。…トッシュのこと、君たちには本当に感謝してるよ」


最後に呟いた感謝の言葉は、イクスシェイドに届いただろうか。それを言い終えるころには既にこの場から姿を消していた。


「感謝してるか…そうだね。自分の子供とは争いたくはないものだ」


 自分の子供。トッシュの他にも勇者量産計画で産まされた子供が4人いるのだが、それらには実子という実感は無い。産みたくて産んだわけではないし、産まされたあとにはすぐに委員会が英才教育を施すためにどっかに連れて行っていた。あれらは自分の腹の中に寄生し、這い出たおぞましい四つ子の生き物にすぎない。奇しくも彼女が産み落とした四つ子の一人、流星レイズナーがグランガイザスの子を孕まされたときも同じ考えに至っていたのは、彼女は知る由もない。


 その後、時術による封印を施され、つい最近まで歳をとることなく現在に至る彼女は、マユとともにキエル市に落ち延びた王国の王子と遭遇し、事情を知った王子と復讐のための組織を立ち上げることにした。彼女が今教師をやっているのも王子のコネによるものである。

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