表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
復讐、始めました。  作者: 中島(大)
115/236

64話 登校、王立黒森峰高等学校③

 放課後。トッシュは探索も兼ねて暇つぶしに学校をぶらついている。トッシュは知らない場所が好きだ。知らない道の先に何があるのか知りたくて、子供の頃はつい道草を食って道に迷い半泣きになっていたものだ。しかしそれが世界の広げ方である。トッシュの地図が広がり、新しい世界へと繋がっていく。その探究心は外に限らない。建物の中もいけるところは全部行きたいと、そうやってあちこち巡り巡る。その結果、トッシュは知ることになる。この学校にいる意外な人物に。


 その出会いは幸運か。世界を脅かす存在にいち早く知ることができたから。


 その出会いは不幸か。世界はおろか、トッシュの学生生活すらも脅かす存在かもしれない。


「驚いたよ、まさかこんなところで出会うなんてね」

「!!!」


 夕焼けが照らす廊下で、トッシュを見つけたのはパンツスーツ姿の、メガネをかけた女教師。その顔は忘れもしない。人類皆殺し宣言をした世界の敵、聖拳の勇者ジャスティス(大人ver)こと、邪聖拳ネクロマンサー!


「おっと、騒ぎは起こさないでくれ。私は今マーサ先生なんだ。この学校で算数の教師をやっていてね」

「なんで教師なんてやってんだよ…人類皆殺しにするんじゃないのかよ」

「先生にタメ口はいけないな。まぁいいか誰もいないし。…それをやるにもお金がいるものでね。コネで夏休み明けから働いているのさ。それに皆殺しってのも言葉の綾というやつだね。この学校に私と一緒に理想の社会を作ってくれそうな資質がある若者がいたら誘おうと思ってさ」

「それ絶対失敗するやつだろ、内ゲバで」

「フフフ。かもね。それならそれでかまわないよ。人間はやっぱりダメだとはっきりするだけさ」

「…」

「そう身構えないでくれるかい。私は闘うつもりはないよ。トッシュ、勉強は大事だ。お前が卒業するまで待っててやるさ。失った青春を謳歌してくれたまえ」


 そう言って、マーサ先生は廊下の奥へと進んでいく。トッシュは校舎の探検をする意欲がすっかり失せていた。


「…イクスシェイドに報告しとくか」


 アレが意識を戻した直後は話すときに「………」があったのに、随分饒舌になっていたというレビューを添えて、トッシュは家に帰って報告するのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ