63話 準備、次なる戦場へ②
「ハァ!?なんで!?」
「今言った通りよ。トッシュ、アンタ魔界でロクに学校行ってないでしょ。勉強は大事よ、兵を預かる指揮官として頭が悪ければ兵を無駄死にさせるわ!」
「勉強くらい塾とかでいいじゃん!」
「ダメ!アンタは魔界からの交換留学生として王都の一番のエリート高、王立黒森峰高等学校に行くの!そこで人と魔の融和のきっかけを作りなさい!魔界で育った人間のアンタなら最適よ!」
お勉強が嫌いなトッシュはすかさず魔王イクスへ救助を求める。
「ボス!ちょっと俺嫌っすよギャミでもやりゃいいじゃないっすか!ガチ魔族の方がいいですって!」
「んー…ギャミは肌の色が違うから辛い思いをしてしまうかもしれんからなぁ…人間って異物をなかなか受け入れないし。うん、トッシュ。お前が学校に行こう。優秀な人材も見つけてきてくれ」
「まじっすか…」
と、いうわけで10月の後期課程になったらトッシュは高校に通うことになりました。年齢は18歳だけどお頭の出来は中学生相当なので、高1として秋の後期からの通学です。エリート校なので学力はもう悲しいくらい差があるけど、留学生として頑張ってくれるでしょう。
「ギャハハハハハ!!!お前制服似合ってるなぁ!いいとこの坊ちゃん高校なんだってなぁ!年下からタメ口きかれながらお勉強頑張ってくれや!」
ギャミが嗤っている。むかつく。死ねばいいのに。
「トッシュ。お前は事情があって魔界で育ったただの人間として行くんだからな。魔王軍のこととかイクス様のこととか喋ったらいかんぞ。もし喋ろうとしたら…」
イクスシェイドが準備したのは一つの魔道具。設定したキーワードを言ったものにお仕置きの電流が流れるギミックを搭載している。
「これをお前の心臓に空術で埋め込む…ていうかもう埋め込んだ。けっこう痛いからな」
「そこまでやる?…ハァ」
戦争編おしまい
通学編はじまり
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「イクス様、ボクと伊集院くんは天からやってくる別の脅威に対応しますね」
「そうか…ジャスティス、いや邪聖拳ネクロマンサーとの戦いには介入してくれぬか」
「ええ。勇者の意思は神の意思。彼女が人類を滅ぼすと判断したのなら、それを見守るまで。ただこの世界の外からやってくる侵略者からは守りますよ。伊集院くんはそのために呼ばれたのですからネ」
「…俺が、宇宙海賊ネオデビルクロスと戦わないって判断したら、アンタはそれを許すのか?」
「それはもちろんだよ。でも、君は帰るんだろう、元の世界へ。この世界の滅びは神の死でもあるから帰れなくなるよ」
「…わかった」
「あとイクス様、戦力として勇者の子達、流星を借りてもいいですかね?彼女の空術があれば戦闘は有利になりますし」
「あぁ…そっちの脅威も無視はできん。良いだろう、オフィーリアさんにはこちらから話しておく」