63話 準備、次なる戦場へ①
大人ジャスティスとマユ姐さんが去って一先ず今回の戦は終了、ということで各人それぞれが整理に入る名か、トッシュは床を舐めている元グランガイザスの元へと向かう。
「パーフェクトガイザスになったことでお前の中に俺の闘気が混じってたからな、お前の中にピクシーがいたってのはわかったけどお前ピクシーじゃねえの?」
トッシュの問いに、元グランガイザスは答える。
「俺は魔人騎士ランだ…ピクシーはここにいる」
元グランガイザスのランが今頭に装着しているスクラムハルバードのヘッドギアを指差す。直後、ランとは違う声でヘッドギアがべしゃりだした。
「俺は死の直前、スクラムハルバードに自我を移していたのだ。スクラムハルバードごとランがグランガイザスに取り込まれたおかげで俺はグランガイザス内に潜んでいた。奴の首が吹き飛んで意思なき首無しガイザスになったことで、グランガイザスの残骸を再利用できないかと考えたらランの意識を掘り起こしたってわけだ」
「あ、死んでたんだ。で、うまくグランガイザスの本体ガイザスコアを掌握できたってわけか。てことはこいつグランガイザスそのものってことかよあぶねーなぁ」
「フヘヘ…俺はグランガイザスのパワーと手に入れた!…だのに、あの女にあっさり負けちまった…」
がっかりするランに、グランガイザスの配下である3人の案内人がやってくる。
「大丈夫ですわグランガイザス様…いえ、ラン様!」
「私たちがおりますわ!」
「元気だして!がんばれがんばれ」
「えー、まぁみんながそう言うなら頑張るしかないねぇーえへへ」
ニヤニヤしているランの様子に、トッシュはピクシーに尋ねる。
「これ何?」
「グランガイザスの手下みたい。なんか洗脳でもされてるのかなと思ったけど違うぽいね」
「洗脳だなんてとんでもないわね!私たちは山賊に攫われてそれはもうひどい目にあったのよ!それを助けてくれたのがグランガイザス様なわけ!で、グランガイザス様を継いだラン様にも従うのよ!」
「さいですか…」
ゴタゴタが済んだところで、イクスデスと伊集院も帰ってきた。今まで何してたとサガはプンプンしているが、意に介さずイクスイェイドが魔王イクスへ報告をする。
「あの天空要塞グランガイザスに残ってたマイコンを調べてたんだよね伊集院くんと。どうやらあの大人ジャスティスは時術で時間を止めることで封印されたジャスティス本人で間違いないようだよ」
「むう…少女ジャスティス。奴が本物だろうが人類の敵ならば魔と人を統べる王として俺は立ち向かう。君の力を貸してくれないか」
「ええ…ただ、奴は全盛期の私…ジャステイスより強い…対策が必要だわ」
「お姉さま!お姉さまも間違いなくジャスティスですわ!そんな他人のような言い方はやめておくんなまし!」
最後に魔王イクスが方針を取りまとめる。
「とりあえず王都機能の修復が先決だ。そしてジャスティス…いや、奴はもう人類の守護者である聖拳の勇者ジャスティスを捨てた存在。これからは邪聖拳ネクロマンサーと呼称する!邪聖拳ネクロマンサー対策会議を執り行う!」
・
・
・
王都の城は完全に崩れ去ったため、まだ形を残している天空要塞グランガイザスにも魔王軍の仮設本部を設置する。魔王軍の総力で復興支援をしつつ、魔王軍幹部、少女ジャスティス、王国貴族のフィリップとオフィーリアは邪聖拳ネクロマンサー対策会議を始める。
「魔王軍を再編しなければならないわ。イクスさん、はっきり言って今の魔王軍はただの愚連隊みたいなものよ!兵を取りまとめるには学が必要!力が強ければ上ってのじゃただの蛮族だわ!」
「むう…しかしジャスティスよ。それは俺もわかっている。魔と人の良い部分を合わせた強い魔王軍を作る為、優秀な人間を加入させようとしているのだがなかなか人材が集まらなくてな…」
「そこであたしにいい案があるわ!」
ジャスティスの視線が、トッシュへ向けられる。…嫌な予感がする…。
「トッシュ!アンタは学校に通いなさい!」