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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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番外編 風雲!たぬき食堂②

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「ここがたぬき食堂…外観は正直小汚いが、そこが逆に通好みな感じだな!」


 ウキウキしたサガが暖簾をくぐる。店内にはこじんまりとした座席がいくつか設置されている。厨房の様子は確認できない。


「妙だな…」


 違和感にすぐ気づいたのはカークスだ。その違和感は店の外にいたときからあった。匂いがないのである。おいしそうな、食欲をくすぐる香りが。


「いらっしゃいませ。3名ですか?こちらのお席にどうぞ」


 着席した3人にウェイターがメニューを渡す。トッシュはゾーアの特産ロッソビーフのローストビーフ丼、サガはサクザー市直送特上海鮮ちらし、そしてカークスは王国馬肉のシシカバブをそれぞれ注文する。


「厨房が見えないな…田舎の小さな定食屋なのに調理スペースはどこだ?」

「あの爺さんのお話聞いてなかったら気付かないような違和感がちらほらあるな」


 まず目につくのがいろんな制限が課せられていることだ。

 ・食事している料理は自分だけで食べてください、ご友人と分けてはいけません。

 ・食事前に高菜を食べてはいけません。

 ・調味料は備えておりません。提供された料理の味だけでお楽しみください。


「なんか嫌な感じはあるな…魔王イクス様(ボス)に連れて行ってもらった高級料理店よりもやかましい」

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「ワシの店を奪ったんじゃ!あの狸親父が!」

「全然長くねェし…なんで奪われたのさ?」


 トッシュの質問に待ってましたとばかりに口を開かんとするご老人をサガが遮る。


「まぁ待てトッシュ。ご老体の言ってることがどうであれ場所を知ってるなら案内してもらえばいいだろ。な

 ?カークス」

「そうですね。課程はどうあれたぬき食堂のシェフを引き抜けば老人の店も戻るしそれでいいでしょ」

「む…まぁワシはあのポコネロスがいなくなればそれでかまわん。じゃが奴は只者じゃないぞ!この地域住民はたぬき食堂を認識することができないんじゃ!」

「まじで?一体どうやってんの?」

「といかく行ってみればわかる。ワシはポコネロスに警戒されてるから近くまでの案内しかできんがの。奴の料理には気を付けろ。ワシは薬物ぶちこんでそれを触媒になんかやってるんじゃなかと睨んでおる」

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「おいしい!しつこくないローストビーフの味をガーリックが効いたソースが引き立てる!どんぶりに彩られたイクラもアクセントになってたまらん!ローストビーフなのにワサビはあえて本わさびなのもうれしい!」

「このちらし!ネタも新鮮でうまいがそれ以上にシャリ!ほんのり効いた甘味あまあじが食欲を引き立てる!脇のガリも硬すぎず辛さも控えめで手軽に食べられる!脇役にまで力がこもって、これはうまい!」

「シシカバブもおいしい!スパイスが良く効いて、それにこの馬肉はタテガミか!贅沢!」


 全員がこれまで生きてた中で一番おいしいと感じた理想的な味を再体験する。トッシュはトッシュの恩人魔王イクスと出会ったときに御馳走になったローストビーフ丼の思い出の味そのままに。サガは伊集院英雄とグランガイザスとの開戦前夜に景気づけに一緒に食べたゾーアの海鮮ちらしにひけをとらない味に。そしてカークスのシシカバブ、パンにINした刻まれたタテガミとお野菜にかかるチリソースのピリ辛はダークストーカー一族秘伝の味そのものだ。


「やべぇ洗脳されるわーこれうまいわー…サガ、そろそろ帰るかー?」

「そうだな、店長お会計を。おいしかったよ御馳走様」

「また今夜行こうか。今度は別のメニューを食べてみたいな」


 店内から出てきた三人を見て、案内した爺さんはまたダメか、とがっかりした様子に見えた。


「なんだよ爺さんがっかりして。まああの店めっちゃうまかったからなー」

「はぁ…おぬしらあの店に違和感は感じなかったのかのう…」


 諦めた感じの爺さんに三人は口をそろえて答える。


「めっちゃ違和感あったわ!」

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