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復讐、始めました。  作者: 中島(大)
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番外編 風雲!たぬき食堂①

 たぬき食堂。王国の辺境ニグォ町にあると噂されている食堂。どこにあるのかは地元の連中くらいしかわからない、安い代金でとてもおいしい御馳走が食べられると評判の幻の名店。山奥なのに新鮮な魚介類も取り扱っているという不思議なお店。今日も秘伝の味を求めて3人の戦士がニグォ町へやってきた。


「で、この田舎のどっかにそのたぬき食堂があるのか。いいもん食わないと割に合わんな」

「フン!どれほどの料理を出すのかこのサガが確かめてやる!」

「二人とも張り切ってるけどさ、店が見つからなかったら飯抜きだから張り切って探さないとだよ」

「ハハハ!そこは貴様のニンジャ探索調査スキルの出番だろう!」


 魔王軍・魔人騎士トッシュ!料理は苦手!シーチキンがあればおかずは十分!!

 魔王軍・魔人指令サガ!料理は得意!最近寿司作りにハマっている!必殺技は本手返し五手!

 魔王軍・ニンジャ軍団長カークス!潜入任務をこなすニンジャは草だって食べられる雑食性!


 王国ゾーア郡ニグォ町。ゾーア市のさらに奥の、王国の丑の方角の外れにある田舎も田舎。町域の約8割は山林であり、町内には天然温泉施設が備わっている観光名所でもある。訪れた観光客も滅多にたどり着けないというたぬき食堂を目指して、一行の探索が始まった。

 ・

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「たぬき食堂?」

「うむ。イクス様はそのたぬき食堂をこの地に誘致したいと考えておられる。トッシュ、貴様もその名店を探索に出てもらうぞ」

「はぁ…まぁ魔王軍の従業員として業務命令には従いますけどね…イクスシェイドは行かないの?あんたのワープなら移動も楽々だろうに」

「私はイクス様を守らねばならん。それにな、空術は便利ではあるがリスクも高い術だ。同じ空術使いの敵がいたらワープ先をゾーア山の火口に繋げられるかもしれん」

「ふーん。で、俺一人で行くの?」

「いや、調査スキルに秀でた者と調理スキルに秀でた者も付けよう」

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 その結果がトッシュ、サガ、カークス…この3人なわけだが、トッシュはあんまりサガと話をしてこなかったので微妙に気まずい。カークスも最近軍団長に出世した人だもんで、よく知らない人だ。もしかしたらイクスシェイドは仲良くなぁれと余計なおせっかいを働いたのではないかという不信感がトッシュに募る。


「まぁ業務命令だから仕方なけどね…寝るか…」


 そうして王国が持つ文明の極み魔道電車に揺られ、おいでませニグォ町。まず3人は人の集まる地を目指す。辿り着いたのは道の駅ニグォ。地元の名産品特産品お弁当その他いろんなものが展示されている。


「おいトッシュ!見ろ黒菜だぞ黒菜!人間界で黒菜を育ててるのはこのニグォ町のそれも5件だけだってよ!」


 黒菜を見つけたサガのテンションがおかしい。黒菜は魔界でもめったに見ることができない野菜だ。そんなレア食材がまさかこんなところにあるとは、と知っている人ならば興奮するのだろう。が、トッシュにとっては黒菜よりもシーチキンや沢庵の方が好きである。どうでもいい。


「あーはいはい。それよりカークス、観光案内にたぬき食堂が載ってねぇなんてあるか?」

「ふむ。あんまりお客さん入れたくない偏屈な店なのかもな」


 トッシュはニグォ駅で配布されている観光案内を確認するが、全くそんな情報は無かった。故に人の多い地を目指し道の駅ニグォに辿り着いたのだ。


「店員さんに聞いてみるか…?すんませーん」

「はい、どうされました?」

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 ・

「誰も知らないなんてあるか?」

「知ってるけど知らないフリでもしてるのかもしれん。王国まで噂が飛んで来てるのに地元じゃ無名なんてありえん」

「おい!たぬき食堂でも黒菜食べれるかな?かな?」

「もし、御三方。たぬき食堂をお探しかな?」

「!」


 調査に行き詰る3人に、ふと声をかける老人の姿があった。


「地元のもんはあんまり知らないからのう、あの店は」

「それはどういうことなんです?」


 カークスが老人に食いついた。


「ほっほ。その話をするまえに今のニグォ町の状況を説明せんとな。少し長くなるがよいかな?」

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