序章『終わりと始まり』6
そして、それから五年の月日が流れ…ルビウス暦三〇一〇年。
ここは、人間界。
この世界の中心に位置する巨大大陸・エターナリアの東部に位置するラリアス王国。舞台は、これまたこの国の東部に位置するウィング・シティに移る。
「こ…ここが風の街・ウィング…」
この街に一人の少女が足を踏み入れた。
その少女は、燃えるように紅い髪に同じ色の瞳をしていた。
「ここに、記憶の鍵があるのね…」
少女はそう言い、街の中を歩いていった。
周りは、綺麗な花が咲き乱れており、街を色鮮やかにしていた。
それに見とれてしまったのか――
「きゃっ!」
少女は、段差に気付かずにつまずき、転びそうになった。すると――
「危ない!」
「え?」
誰かが彼女の腕を引っ張り、それを阻止した。
そして、無意識に瞑っていた目をゆっくり開くと…少女は、茶色の長髪の少年にお姫様抱っこされていた。
こうされては、流石に女の子の場合、誰だって顔を真っ赤にするだろう…
「大丈夫か?」
少年の言葉に、少女は黙ったまま頷く。
良く見ると、耳まで真っ赤になっていた。
「それなら良いけどな…」
少年はそう言い、彼女をゆっくり降ろし、
「次は気を付けろよ?」
と言いながら立ち去ろうとすると――
「ん?」
少女が彼の服の裾を掴んだ。
「お…お願いがあるんだけど…」
「な、何だよ…?言ってみろよ」
「お…」
「お?」
「お金貸して!」
「は〜ぁ!?」
少女の言葉に、彼は大声で驚いたのだった。
☆・☆・☆
――一時間後。喫茶店『アンジェリア』。
そこで、二人はお茶をしながら話をしていた。
「美味し〜ぃい。ありがとう!奢ってくれて」
少女は、まさに幸せに満ちた顔でそう言いながら、パスタを口に入れていた。
「おい…」
「ん?にゃに(何)?」
少年の呼び掛けに、少女は口にパスタを含みながら聞いた。
「と、とりあえず…まずは、口の中をなくしてくれ。話はそれからにすっから…」
「ふぅん(うん)」
彼女は、口の中に入っていたそれを一気に飲み込み、
「んで、何なの?」
と改めて言った。
「お前が、金欠で昨日から何も食べていないのは聞いたが…俺は、まだ名前を聞いてねぇぞ?」
少年がそう言うと、
「あら…あたしだって、アンタの名前も聞いてないわよ?」
と言い返す少女。
つまり、どっちも名乗っていないのだから、お互い様である。
「そんじゃあ、俺から名乗る…それで良いだろ?」
「お好きにどうぞ」
「俺の名前は、神 龍稔。この街を中心によろず屋をしてんだ」
少年・龍稔がそう名乗ると、
(よろず屋さんね…随分若いわね)
と彼女は心の中でそう思い、
「あたしは、王 鈴よ。とりあえず、あるギルドの元メンバーって言っておくわ」
とだけ言った。
「元メンバー?」
流石に、そこに引っかかったのか…龍稔は、首を傾げながら聞いた。しかし――
「秘密よ。ヒ・ミ・ツ…女の秘密を簡単に暴かないで欲しいわね…よろず屋さん」
と言い切り、
「ごちそうさま…あたし、行くとこあるから、先に出るわ」
と言いながら立ち上がり、店を出て行った。
こんばんわ(?)、マイペース更新中のYayoiです
あらすじに書いたのですが…半分くらい書き終えたら、題名を
『Master of Secret―1st story―』
から
『Master of Secret―魔王の失われた記憶―』
変更しようかと思います
勿論、この作品は第2作目が決まっていますので、以降もこういう風にしようかと思います
あと…話は変わりますが…
『仮面ライダー電王×勇者王ガオガイガー』
のコラボ小説なのですが、少しずつですが順調に進んでおります
とりあえず、イマジンズの通常設定にいくつかオリジナルを加えようかと検討中です
出来たら、今年末か来年の最初に公開しようかと思います