序章『終わりと始まり』4
「さて…話は戻すけど…ケイアスくん」
「は、はい…(な、なんか逆らえねぇ…)」
雷鳴に名を呼ばれ、ケイアスはビクリとしながら返事をした。
「あ、そんなにビクビクしなくて良いよ」
(アンタが俺をビビらしたんだろうが!)
「あと、僕の事は雷兄って呼んでね。僕は君より八つも年上だからね…決して、アンタって呼ばない事。さもないと…」
彼はそう言い、腰に掛けていた短剣を抜き、ケイアスの頬にその刀身を当てがった。そして――
「殺すよ…?」
不敵な――と言うより不気味な笑みを浮かべながらそう言った。
「は、はい!以後気を付けます〜ぅ!!(こ、この人、こえ〜ぇ!)」
それを見て、ケイアスは悲鳴に近い声で言った。
「ライト…脅しは駄目だよ?これから、君達は家族なんだから…」
「あ、そうだった。そうだった」
「はい?」
ますます話が見えてこなくなり、ケイアスは目を点にした。
「あ、話してなかったんですね…?クェス殿」
「当たり前じゃ。今のこやつは、民に忌み嫌われろるからのぉ…こんなうまい話、簡単に飲み込めんじゃろう」
ミカエルの問いに、クェスは首を縦に振りそう言った。
実は…神族の中では、ケイアスの特徴である白銀の髪に左目金色・右目漆黒は珍しく、滅多に現れないとされていた。また、逆に現れた場合、死神と同じく『汚れ者』扱いとされてしまった居たのだ。
「あ…あのさぁ、話が全然見えないんだけど…ど、どういう意味なんだ?」
最早、話が全く見えていないケイアスは、目を点にしたまま聞いた。
「実はね…」
すると、ミカエルは再び彼へ向き話し始めた。
「神族では、一〇歳の誕生日を迎えると、能力がどのくらいあるか確かめる為の能力測定があるんだ」
「能力測定?」
「そう、能力測定。その測定次第で、どの他種族で修行するか決まるんだよ」
ケイアスがオウム返しで聞くと、今度は雷鳴が答えた。
「で、でも…今、雷兄のとこ行くって!それに…俺、まだ能力測定受けてねぇぞ!?」
ケイアスが戸惑っていると――
『ぷっ…あはははははっ!』
と三人はその場で笑い出した。
「なっ…」
それを見て、彼は顔を真っ赤にしながら驚いた。
「な〜ぁんだ。気付いてなかったんだ〜ぁ」
「え?」
「ま〜ぁ、気付いてないのも無理ないよ。だって…あの時、ここに来たのアルだもんね」
「は、はい!?」
ますます話が見えないのか、二人の言葉にケイアスは目を点にした。
そもそも、アルとは誰なのだろうか…彼はそれが気になって仕方が無い。
「ほら、一週間前に来たでしょ?緑の髪に金色の目をしてる人。あれがアルだよ」
そんな彼の心を見透かすかのように、微笑みながら雷鳴は言った。
「あ、あの人!?」
その言葉に、ケイアスは思い出した。
それは、雷鳴が言う一週間前の出来事だった。