序章『終わりと始まり』3
「これはこれは…お忙しい中良くいらっしゃいましたなぁ…おや?」
ばあばもまた、茶髪の青年に気付いた。
「そちらの方は?」
「あ…ああ、彼かい?彼は、えっと…」
金髪の青年が思い出そうとすると――
「僕の名前は、神雷鳴といいます。クェスおばあ様」
茶髪の青年――雷鳴が口を開いた。
「お〜ぉ…貴方が、あれの息子でしたか。あれから良く聞いていましたよ」
「あ…あれ…?ああ…父さんからですか…すいません。父さんが不甲斐ない迷惑をかけてたみたいで…」
どうやら知り合いだったようで、自然と話が弾んできていた。
それを見て――
(何の話なのか全然分からねぇ…!)
ケイアスは、その中へ入り込めず、ただただそう思いながら見ているだけだった。
そこへ――
「君がケイアスかい?」
金髪の青年が、横から声をかけてきた。
「そ…そうだけど…(ちょ!え!?)」
「今、一瞬狼狽えたでしょ?」
「え?」
金髪の青年に言われ、ケイアスは何が何だか分からず、間の抜けたような声を出した。
「気を付けなきゃ駄目だよ?私達神族は、『神眼』という霊視能力が備わっているんだからねぇ…いつ誰に視られてるか分からないよ?」
「あ、アンタは一体――」
青年の言葉に、彼は不思議に思い、名前を聞こうとすると――
「ミカエル!」
茶髪の青年がその名を呼び…
「み、ミカエル!?って事は、アンタはあの聖王・ミカエルなのか!?」
ケイアスは大声で驚き…
「くら〜ぁ!」
「イッテ〜ェ!何すんだよ!?ばあば」
孫の言葉にイラッときたのか、クェスはケイアスの頭に鉄拳を食らわし、彼は涙目で聞いた。
言い忘れていたが…名前から見ても分かるかと思うが、ケイアスはクェスの孫にあたる…らしい。
と言うのも…実はのところ、彼の出生には謎があるのだが…この話を後程改めて話す事にするのをお許し願いたい。
「お前の喋り方が悪いから殴ったまでじゃ!」
「んなくだらない事で殴んじゃねぇ!」
「くだらん事とは何じゃ!?くだらん事とは!」
「拳で言うんじゃなくて、口で言いやがれ!」
ケイアスとクェスは、目と目で互いに火花を散らす。
「あ…あのぉ…」
そこへ落ち着かせようと雷鳴が口を挟んだ。しかし――
『何!?』
二人は、ギロリと睨みながら聞き返し、口喧嘩を続けた。
それに嫌気を指したのか…彼は――
「ちょっと良いですか?」
と改めて言った。
『だ・か・ら!な――に…ぃ…』
ケイアスとクェスは、雷鳴に同じように言おうとする。が、彼を見た時、二人の周りの空気は一瞬にして氷付いた…ような気がした。
「口喧嘩は良いですけど…僕達も忘れないで下さいね?」
『は…はい…』
何やらドス黒い気配を漂わせる雷鳴に、二人はもうそう言うしかない。
何故なら…逆らうと何があるか分からないからである。
(あ〜ぁ…また始まった。ライトの悪い癖が…)
それを見ていたミカエルは、心の中で密かに呆れていた。が――
「ミカエル…今の僕の事呆れたでしょ?」
「べ、別に…」
「顔に出てるよ…顔に」
「あ…(しまった)」
そんな思いなど、雷鳴には通用しない。
彼は、顔を見るだけで心が読める特技を持っていたのだ。
こんばんわ
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