歯車
どこで歯車狂ったのか。
ずれた歯車からからと回る。
ずれたまま、溝を穿ちながら、からから。
信じていた。
隣り合って、綺麗にかみ合って、からから回っていると。
一緒の未来を見ていると思ってた。
でもお互い近づいて、その距離がゼロになって。
視線の先を辿ったら、少しずれてることに気付いた。
その些細なずれを見過ごせなかった。
同じ未来を見たいと、そう思ってたから。
ここを見て。
私を見て、私の視線の先を。
同じ未来を、一緒に生きて。
必死だった。
同じ風景を、世界を、未来を見てほしかったから。
あまりにも必死だったから、気付かなかった。
それはむこうにとっても同じだということに。
始めから、互いの願いはひとつだった。
「一緒の未来を生きる」
何より大きな願いだった。
けれど現実は残酷で。
そんなたったひとつの願いすら、上手くいかない。
願いを叶えるための行動が、空回ってずれていく。
ずれた歯車が、からからと回って。
巡り巡って「ずれ」は「溝」に。
いつのまにか願いは霞んだ。
どこで間違ったんだろう。
どこからずれてしまったんだろう。
それとも、始めからずれていたのかな。
問いかけても答えは返らないまま。
どこで歯車狂ったのか。
ずれた歯車からからと回る。
ずれたまま、溝を穿ちながら、からから。
好きだった。
ずっとずっと好きだった。
もうすべて壊れてしまったけれど。
どうか、幸せに。