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ゼリー

 ダンジョンの拡張会議を行うために、ダンジョンコアを置いた部屋に向かう。


 クロエが先頭に立てば、目の前に文字が浮かんできた。


――――――――――――――――――――


 ダンジョンレベル 2 残り 680 ポイント

 回収率 50 % 流出魔力 0 


 設置可能施設:小部屋500P、個室小100P、風呂小200P、通路100P、食料庫600P(new)、野菜畑500P(new)


 実行可能機能:魔力流出量増加100P~、魔力流出箇所設置100P


 召喚可能従者: スライム100P/匹


――――――――――――――――――――


 ダンジョンレベルが2に上がっていた。

 詳しい仕組みはわからないが、狩りの成果だろう。


 だが、注目すべきはそこじゃない。


「えーーー、皆様にお願いがあります。

 …………畑、作らない?」


 そうそれは、新しく追加された施設。

 野菜畑500P。


「畑かい? どうして畑なのか、説明してもらっていいかな?」


「俺達の世界には、腹が減っては戦は出来ぬ、って格言が存在しましてですね。畑を作ることで、戦力の増強になるというわけですよ!!」


 嘘は言ってない。


 人は飯を食べないと戦闘は出来ない。

 ゆえに食料を安定して確保することは軍事上、必要不可欠なことだ。


 ただまぁ、4人しかいないのに、安定供給も何もないんだが……。


 その後も畑の良さを説いた結果、俺の畑案が可決されました。


「ありがとうごぜぇますだ……」


 最後は泣き落としまで使ったからね。

 

 肉ばっかりはもう無理っす。


「コアちゃん、野菜畑とスライム1匹、お願いね」


 ただし、やっぱり戦力増強も必要だろうってことで、残りの100ポイントでスライムを召喚することにした。


 正直な話、スライム1匹増やしたところで何が変わるんだろう、と思わなくもないが、ないよりはマシだろう。


 野菜畑に関しては、入口の階段とサラの部屋の間に設置した。

 設置場所は自由に組みかえられるらしく、地下1階と地下2階の空間を入れ替える、なんて事も出来るらしい。


 新しい物を設置するときなら、ポイントも消費しないということなので、サラの部屋をダンジョンコア側に移動し、入口との間に畑を滑り込ませてもらった。


 畑で野菜が栽培できれば、悲願だった肉生活からの脱却も可能になる。

 とりあえずは、かいわれ大根やもやしなんかのすぐに収穫出来そうなやつを頑張ろうと思う。


 すごく頑張ろうと思う。


「召喚するよー??」


 クロエが周囲を見渡して、手をかざす。


「えいっ!!」


 可愛らしく叫んだかと思えば、目の前にゼリー状の生き物が現れた。


 目も口はない。あるのは透き通った体と、その中央に見える真っ赤な球体くらい。


 この世界のスライムは、四角いらしい。


「わ、この子すっごい気持ちいいよ。ぷにぷにー、ぷるぷるー」


 クロエに抱きかかえられる姿は、ぬいぐるみにしか見えない。


 強そうには見えないが、果たして使えるのだろうか?


「ねぇ、スライムちゃんは何が出来るの? おいしい?」


 プルプルボディを堪能していたクロエが、ボソリと不穏な言葉を吐いた。


 まぁ確かに、ゼリーのような見た目通りに甘いかもしれない。


 そんな不穏な空気を感じてか、スライムが慌てたようにクロエの腕を抜け出し、地面へと降り立った。


 見る見るうちに、その姿を変形させていく。


「ナイフ? ……わっ、軽い」


 現れたのは、青く透き通ったナイフ。


 クロエが使っている護身用のものと比べると、ひとまわりほど大きいようだ。

 握り絞めて軽く振ったクロエが、満足そうにうなずく。


「手に馴染むし、切れ味も良さそう。

 これで料理したら、美味しいもの作れると思うな!!」


 スライムのナイフは、クロエの御眼鏡に叶ったらしい。

 スライムは食材から調理器具へランクアップした。


「なかなか優秀そうじゃないか。ほかの武器にも変形出来たりはしないのかい??」

 

 サラのリクエストに応えて、槍、鈍器、ブーメランなど、様々な武器の形に変形してくれた。

 武器としての使い勝手も悪くないらしい。


 スライムと侮っていたが、100Pならお買い得なモンスターだったと思う。


 なんかさー。俺のカラスと比べて、すごい優秀じゃない?

 変形武器って勇者っぽくない? 


 俺よりも、クロエの方が勇者って感じだよな? 全体的にチートっぽいし…………。


 俺、ここにいてもいいのかな??


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