表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/117

衣食住の大切さ

 サラたちと別れて、新しく作った自分の部屋に入る。


 天井や壁はコンクリートだろうか。


 サイズは一人暮らしのアパート程度。寝転べば部屋の端から端まで届くくらいしかない。


 中央にあるのは、せんべいのような布団とタオルのような掛け布団。


(あー、ひさしぶりの寝具……、幸せだな……)


 正直、寝心地は悪い。


 だが、安心して寝れる状況と言うだけで、天国だと思えた。



 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ 



 いつの間にか寝ていたらしい。


 個室を買って本当によかった。


 大事なことなので、もう一度言おう。

 俺は後悔はしていない。



 だけど、睡眠をしっかりとって、冷静になった今では、やばいなー、どうにかしないとなー、と思わなくもない。



 とりあえず、あいつらと合流しないとな、ってことで外に出た。


 通路を右手に進めばすぐにダンジョンコアがある部屋があり、左に進めばすぐに階段あって、洞窟へと出ることが出来る。


 入口から入って、1分もせずにコアの部屋。


 ダンジョンコアが破壊されれば、すべてが崩壊するらしい。


 うん、この状況はかなりやばいね。

 カップラーメンを作るのと、俺達のダンジョン破壊するの、どっちが簡単かな……………。



 ほんの少しだけ後悔しながら階段を上れば、笑顔のクロエが迎えてくれた。


「おはよー、お兄ちゃんが1番最後だよ。

 朝ごはん出来てるから、お姉ちゃん達と一緒に顔あらって来て」


「了解。いつも悪いな」


 早起きをして、朝飯を作ってくれたらしい。


 ほんと、俺にはもったいないくらい出来た妹だ。


「あ、やっと来たわね。アリスよりも遅く起きるなんて、生意気なのよ」


「おはよう。その様子を見るに、十分な睡眠が取れたようだね。ここ最近のキミは辛そうにしてたからね、元気な姿を見れて、ボクとしても安心したよ」


 俺同様、お姫様2人も十分な睡眠時間が確保できたようで、体調は良さそうだ。


 そんな2人と一緒に、クロエが待つ洞窟へと戻る。


 そこに、大量の肉が積み上げられていた。


「クロエ、このお肉はなんだ?」


「ん? なにって、朝ごはんだよ? 

 朝起きて登ってきたら狼が居たから倒したの。そしたら、一瞬にしてお肉と魔石になってくれたから、すっごい楽だったんだー。

 そんなことより焼けたよー。あ、これ、ほかのより厚切りだ。たべちゃお、はむ」


 いくら体調が良いとは言っても、朝から焼肉は中々ハードだな。


 ってか、一瞬にしてお肉と魔石になったってなんだ?


「食べながらでいいから、もう少し詳しく説明してもらっていいか?」


「んゆー? いいほ-、モグモグ、……えっほねぇ、ふゅー、おいしー。もぐもぐ、うんと、はぐ、もぐもぐ、ほへでね――」


「あー、やっぱ、食べてからでいいや」


「ほぁーい」


 クロエが元気に手をあげた。


 朝から焼肉をお腹いっぱい食べたクロエ曰く、朝飯を作ろうと洞窟に上がってきたら、狼に出くわし、危なげなく倒したらしい。


 早速解体しようとしたのだが、ダンジョンコアから、

「そこもダンジョンの範囲内っす。その狼をポイントとして全部回収していいっすか?」

 そんな感じで聞かれたらしい。


 食事を愛するクロエが、そんな横暴を許可するはずもない。


 話し合いの結果、肉はすべて残す。魔玉は半分だけ、残りはいらない。

 そうなったようだ。


「つまり、なんだ。クロエが狼を倒してくれたおかげで、ポイントが増えてるってことか?」


「うん。10ポイントになったよ?」


「10匹倒せばスライム1匹、部屋1つか……」


 命のやりとり10回の対価としては少なく思うが、仕方がない。


 戦闘でポイントを稼いで、ダンジョンの防御力を高める。

 それ以外に生き残る道はないだろう。


「探索してみるか……」


 洞窟の奥を眺めながら、そう言葉をつぶやいた。


 そんな俺の言葉に、クロエの目が輝く。


「うん!! お腹いっぱい、お肉食べる!!」


 俺の三倍は食べていたように思うが、まだまだ食べ足りないらしい。


「そうだね。このメンバーなら大丈夫だと断言するよ」


「当たり前よ。アリスがいるんだもの、ドラゴンが出て来たって倒してあげるわ!!」


 2人にも異論はないようだ。


(アリスの土魔法があるし、クロエのナイフもある。まぁ、大丈夫だよな)


 そう自分に言い聞かせて、洞窟の奥へと足を踏み出した。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ