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ダンジョンを作ろう 3

 部屋の変化を一通り確認したところで、クロエがダンジョンコアの言葉を伝えてくれる。


「画面って所に、現在のレベルで出来ることを表示するって言ってるよ」


 それと同時に、ダンジョンコアと台座を覆っているアクリル板のような物に文字が表示された。


 

――――――――――――――――――――――――――――――――


 ダンジョンレベル 1 残り 640 ポイント

 回収率 100 % 流出魔力 0 


 設置可能施設:小部屋500P、個室小100P、風呂小200P


 実行可能機能:魔力流出量増加100P~、魔力流出箇所設置200P


 召喚可能従者: スライム100P/匹



――――――――――――――――――――――――――――――――


 個人的な感想としては、風呂が作れるのはすごく嬉しい。

 ここ数日は風呂とか無縁の生活だったしな。


 ダンジョンレベルが低いから弱いモンスターしか召喚出来ないってのはわかるが、スライム1匹と風呂が一緒っておかしいだろ。


 兄達に対抗できるよなモンスターを大量に生み出すとなったら、いったいどのくらいのポイントが必要になることやら……。


 回収率や流出魔力関係は、意味がよくわからんな。


「回収とか、魔力流出とか、この辺詳しくおしえてもらっていいか?」


 意味がわからないなら聞けばいい、ってことでダンジョンコアに聞いたら、クロエ経由で返答が来た。


「回収率は、ダンジョン内で魔物なんかが倒されたときに回収する割合だって。

 この割合を下げると回収する魔力は低下するんだけど、そのかわりに角とかお肉とか、必要そうな部分を残すことが出来るらしいよ。

 魔力流出のほうは、流せば流すほど、強い魔物が生まれるんだって。

 強い魔物ほど魔力流出場所に近いところを縄張りにするから、流す場所を決めることも大事なんだって」


 なるほどね。


 魔力を餌に魔物を呼び出す。呼び出された魔物は魔力を求めて争い、居場所を決めると、そんな感じか。


「……いや、ちょっとまて。

 流せば生まれるってなんだ? 魔物は召喚するんじゃないのか?」


「うんっとね。召喚の方は、知性を持った子が生まるから、その子達は、私の指示に従ってくれるんだって。

 流した魔力で生まれる子は、私の指示を受けないし、私達が近づくと襲ってくるだろうって」


 ダンジョンマスターであるクロエが、ダンジョン全体を支配下に置くのかと思っていたんだが、違うらしい。


 けど、まぁ、危なかったらクロエの移動魔法とやらで逃げればいいか。

 進入してきた兄達の手下にも襲い掛かるだろうから、そこまで大きな問題はないだろう。


「大体は理解した。ポイントが600しかないから、現状できることは小部屋を500ポイントで作って、のこり100ポイントで魔力流出量増加する以外に選択肢がないってことだな。

 その後は、ポイントを貯めて、徐々に拡張するってことで良いよな?」


「うん、いいと思うよ」


「え、えぇ、アリスも同意してあげるわ」


 俺の意見にクロエとアリスが賛同する。


 そこにサラが異を唱えた。


「1つだけ状況を確認していいかい? ここは、ボク達の住居も兼ねることは伝えてあるよね? ハルキの意見通りに進むと、しばらくはサバイバル生活になる、ということだよ?」


「…………」


 何度も言うが、いまあるポイントは600ポイントしかない。


 人間が4人居て、個室が1人100ポイント、お風呂が200ポイント。

 兄達がいつ追っ手を出してくるかわからない状況であり、早急にダンジョンとしての機能を整えないと命が危ない。


 正直な話し、小部屋に100ポイント分の魔力を流すだけで、どれほどの戦力になるのか不安ではあるが、ないよりはよっぽとマシだろう。


「よしわかった。それじゃぁ、2つの意見に対して多数決を取るぞ。

 まずは戦力増加案な」


 命と睡眠、どっちが大事かなんて、生まれて間もない赤子でもわかる話だ。

 狼と実際に命のやり取りをした俺達は、命の価値を誰よりも知っている。


 そんな状況下にある俺達の意見は、即座に一致した。


「コアちゃん。個室小が4つとお風呂小の設置、お願いね」


 サバイバル生活3日目、お風呂、安眠から遠ざかっていた僕等に、その欲求を止めることは不可能だった。


 ん? 防衛機能? 兄達への対策?

 明日から頑張るよ。


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