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ダンジョンを作ろう 

 健康に良さそうな朝食を食べて目を覚まし、本日の活動を開始する。


「ダンジョンコアを取り出して、両手で支えるように持って貰えるかい?」


「うん。これでいい?」


「あぁ、問題ないよ。魔法を練習してたときの様に、詠唱してくれるかい? ダンジョンコアの使い方を把握しようと強く念じることも忘れないで欲しいんだが、こっちは可能な限りで構わないよ」


「はーい」


 サラの指示通りに動くクロエを俺とアリスは、することもなく、ただぼーっと眺めていた。


 行っていることは、ダンジョンの設置である。


 ダンジョンコアをクロエが制御してダンジョンを作り上げる。


 それを兄達への対抗策にするつもりだった。


「私にコアちゃんの使い方を教えてほしいな」


 足を肩幅に開き、目を閉じたクロエの口がら、言葉がもれた。


 クロエに支えられたダンションコアが、ほんの少しだけ浮き上がる。


「お初にお目にかかるっす。自分、ダンジョンコアっす。

 ゴミでもクズでも好きな呼び方をしてもらっていいっす。破壊だけはしないでもらえるとありがたいっす」


 淡く点滅したかと思うと、声が聞こえてきた。


 クロエが魔法を使った影響で、ダンジョンコアが喋りだしたと思って間違いないだろう。


 すぐに順応したクロエが、ダンジョンコアらしき声とコミュニケーションをとりはじめた


「はじめましてだね、コアちゃん。

 さっそくなんだけど、あなたの使い方を教えてくれる?」


「はいっす。オーナー様は命令してくださればいいっす。自分が即座に魔法で作るっす。魔物も物も任せろっす。ただ、その際に蓄えたポイントを消費させてもらうっす。

 それと、偉大なるオーナー様は、ダンジョン内なら好きなところに、任意の人と一緒に移動可能な魔法が使えるっす。

 自分は移動系に関われないっすから、そっちは、オーナー様の魔力を消費して欲しいっす。

 それと、最後になるんすが、ダンジョン内は、どこで何が起きてもオーナー様に伝わることになってるっす。その時々で、最善の選択をしてもらえるとうれしいっす。

 簡易ではあるんすが、以上っす。」


 うん、なんだか、長々と喋っていたようだが、大雑把に分けて、建設、手下召喚、ワープ機能に、監視カメラってところか。


「そのポイントってのはなんだ?」


「はいっす。ポイントは、領域内に人がいたり、魔物が倒されたりすると、そこから自分が魔力を回収するっす。その回収した魔力を蓄え易い形に変換したのがポイントっす」


 時間経過か戦闘で経験値を貯めて、ダンジョンを強化しろってことか。


 なんともゲームチックな作りだな。……まぁ、わかりやすいからいいけど。


「ボクも今の説明で概ねは把握したんだが、確認も込めて質問させてもらうよ。

 ダンジョン内で魔物を倒すと跡形もなく消えていたのは、ダンジョンコアが回収していたということだね?

 人がいることでダンジョンが成長する、ってのは初耳だが、それはダンジョンコアが人から魔力を吸い取ってると考えれば良いのかな?」


「前半はあってるんすが、滞在時間の吸収の方はちがうっす。自分は吸い取ったりなんてしないっす。

 人族は、普通に生活しているだけで、無意識に魔力使い放出してるっす。その捨てられた魔力を回収してるだけっす」


「そうなのかい? それは興味深いことを聞いたよ。ダンジョンの研究が終わり次第、人の魔力についても研究する必要があるようだね。

 ありがとう、とても勉強になったよ」


「うっす、あねさんのお役に立てたようで、しあわせっす」


 逃亡生活の切り札を研究と言い切ったサラの言動については一旦置いておくとしよう。


 つまりは、長時間ダンジョン内に居たからと言って、無理やり魔力を吸い取られるなんていう危険はないらしい。


 当初の予定通り、防衛機能も使えるようなので、住んでも大きな問題はなさそうだ。


「なんとなくだが、使い方はわかったし、後は実際に使ってみて、ってことにするか。

 それで問題ないよな?」


「うん、大丈夫だよ」 


「そうだね。ボクとしても異存はないよ」 


 軽快に返事をした2人に軽く頷いた後、返事をしなかったアリスに目を向けるが、一瞬にして目を逸らされた。


「……アリス?」


「な、なによ? ……だいじょぶよ。アリスがそのくらいのこと、……わかんないわけ、……、ないじゃない……」


 …………うん、理解できなかったんだね。


 けど、まぁ、アリスが理解してなくても、主役であるところのクロエが把握してれば大丈夫だと思うし、問題ないか。


 とりあえずは、理解してそうな人でダンジョンを作成するか。

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