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色惑う 黒の戦士  作者: watausagi
序章 黒の戦士
9/70

サクヤ姫、灰の言葉に唖然とす

◇◇◇◇◇


 王城、とある一室。そこではサクヤ姫とグレイが向き合っていた。それは丁度、アリスが死んでいる時でもある。


 いや、生き返った。


 やっぱり死んだ。



「世界会議も残すところ2ヶ月……感慨深いな。私としては2回目だ。あの中では最年少だろうから、正直なところ緊張もする。そこでーーグレイよ、貴様の話を、もう一度頼む」

「黒の戦士が迷宮の最上階に閉じこもった。奴の言伝を預かっている。〝3ヶ月を俺にくれ〟だそうだ」

「3ヶ月……世界会議は2ヶ月後だというのにか? 冗談ではないぞ。確かに、世界会議へ戦士を連れてこいなどという決まりはない。ないがしかし、そこは暗黙の了解だ!」

「落ち着け」

「これが落ち着いていられ……いられ……うん、分かった落ち着く」



 吸ってー……吐いてー……深呼吸。



 グレイの言う通り落ち着きはした。けれど、それで今さら現実が変わる事はない。


 黒の戦士が不在という事実に、サクヤ姫は頭を抱えたい気分であった。胃が痛い。


 「うぅ、憂鬱だなぁ。絶対に小言を言われるぞ。白の国あたりから特になぁ……」

「すまない」

「いや……よい。ある程度の我儘なら通せと、お前に命じたのはこの私だ。ただ、此度の黒の戦士がちょっとばかし欲張りだったに過ぎん」


 良い馬ほど難しいとは、先人の言葉だ。サクヤ姫は儀式の時に黒の戦士アリスの性格を瞬時に把握し、グレイに任せた。

 


「しかし誰が予測できる? 迷宮に立て篭もろうなどと……」

「……」

「途中で帰ってくると思うか?」

「それだけはあり得ない。途中で帰るという発想すら、あいつはしないだろう。奴はそういう男だ」

「無事だろうか?」

「知らん。だが、死んだらそこまでだ。所詮その程度だったという事」

「はぁー……仕方ない」


 この時のサクヤ姫には、なんとかなるだろうという、一国を纏める者としては甘い考えがあった。

 けれども、あの意気揚々、傲岸不遜な黒の戦士から溢れる自信満々な態度は、不思議と信頼が出来た。


 よって、我儘を認める事にした。


「奴も2ヶ月先を知っての言葉だろう。なら3ヶ月は暖かに見守るとしよう。世界会議はグレイ、お前が代わりについてこい」

「カレハナではダメか」

「貴様……それは酷だろう」

「さあ、どうだかな」

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