その手は絶対離さない
◇◇◇◇◇
「絶対に忘れない」
右手を伸ばして空を掴む。確かにそこに温もりを感じた。
ーーここは俺の部屋。貝殻カレンダーも冷蔵庫もなく、代わりに繊細な装飾がされた家具やフカフカのベッド。
黒の戦士の、アリスの部屋だ。
『ーーきて、起きてくださーい』
『止めてアースン。ここまで頑なに部屋から出ないという事は、もしかしたらそれなりに事情があるかもしれません』
『だ、大丈夫か?』
『うむ、確かに……アリスが今精神的ショックを受けているのならば、あれは本当にラブレターではなく、絶交宣言だったのかもしれない。くっ、私とした事がそんな可能性を考えなかったとは……!』
『どけ姦しい。強引に突き破ってやる』
……扉の外が騒がしい。
そうか、もう、朝か。急いで支度しないと、確か今日の昼までにキャンパス草原まで行かないといけない。時間的に厳しい。
それに、一つ用意してもらいたいものがあるしな。
◆オマケ◆
ナイト「うーん」
ラッセル「どうしたの?」
ナイト「実はラブレターなるものを貰ってな。恥ずかしながら、生まれて初めての経験だ。どうすればいいのか見当もつかない」
ネイユン「意外ですね」
ラッセル「ラブレターか……僕には縁のない話だから。ごめんね、助けになれなくて」
ナイト「……いや」
ここで回想。
食堂のお姉さん「はい、オマケ」
ラッセル「わーありがとうございます。僕トマト大好きなんです!」
食堂のお姉さん「そ、そそそんなに喜ばなくてもいいわよ。私が勝手にした事なんだから。……ステキな笑顔」
別の回想。
お淑やかな先輩「あ、ラッセル君久しぶり。偶然ね」
ナイト「ここは男子寮のまん前ーー」
お淑やかな先輩「偶然ねナイト君」
ナイト「……はい」
ラッセル「お久しぶりです」
お淑やかな先輩「ゴクっ……え、ええ。あ、そうだ、これ、調理の授業で余っちゃったんだけど、ラッセル君にあげる」
ラッセル「チョコレート! 僕大好きです」
お淑やか? な先輩「それはもちろん調査済みだから……な、なんちゃって。そうなの? 喜んでもらえて嬉しいわ」
お淑やかなはずがない先輩「……チョコレートを頬張るラッセル君……溶けたチョコレートまみれのラッセル君……ゴクッ」
またまた回想。
子猫「にゃーおん」
ラッセル「あ、こんな所に子猫が」
ナイト「どれ、俺がギルドまで届けて」
子猫「シャァーー!」
ナイト「……」
ラッセル「怯えているんだね。よしよし、怖くない、怖くないよ」
子猫「にゃぉん」
最後の回想。
強面な男「……」
ラッセル「あ、あの?」
警戒するナイト「何か用があるのか?」
強面な男「……これ」
ラッセル「花?」
強面な男「……昨日、見つけた。お前に似合うと思ってな」
ラッセル「え、えっと、どうも」
照れる強面な男(乙女?)「……ん\\\」
放心するナイト「」
回想終了。
ネイユン「最後は少しおかしい気がしましたけど、ラッセルこそ、実はモテモテというやつなんですね」
ナイト「本人があの様子では、確かに俺の助けにはなってくれないだろうがな」
ネイユン「ですね……とりあえず、差出人に会って、それから考えてみてはどうです?」
ナイト「……それが一番か」
ネイユン「ガンバ、です」
※ ナイト に 彼女 が 出来た ※




