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色惑う 黒の戦士  作者: watausagi
序章 黒の戦士
6/70

天才、死す 真っ黒黒に包まれて

◇◇◇◇◇


 あの日、といっても昨日の事だが、俺は水晶に触れて力を得た。力の全容は、自分の半身のように直感的に把握して、そして確信した。



 ーー誰にも勝てない……



 この世界には強者がいる。言わずもがな色の戦士と、各国の王家、冒険者、迷宮のボスや野生の魔物。他にも代表をあげれば……継承者達。


ーーーーー

 むかーしむかし、遥か昔。世界には九つの支配者がいた。


 一の竜。

 二の兎。

 三の獅子。

 四の蟲。

 五の猿。

 六の魚。

 七の人。

 八の鳥。

 九の蛇。


 しかし、いくら絶対的強者であるこの九体にも、生物として当然の寿命があった。そこで神は、この九体をただ骨にするのはもったいないと、それぞれに“座”を与える。


 ただ、与えたはいいものの、それはあくまで役割であって、何かしらの意味があるわけではない。


 そこで考えたのが、九つの力をそれぞれ引き継ぐ者、継承者を用意して、その者達がどのような生を歩むのか見守らせた。


 ……要はこういう事だ。神なんて奴がいるかはともかく、確かに継承者はいる。機嫌を損ねるなよ。死にたくなければな。


お前でも分かる 単純一般常識より抜粋

ーーーーー


 焦ったな。うん。しかしそこは天才。すぐに次なる手を考える。


 俺が得た力は、最強にも最弱にもなれる異質な能力。神にも勝て、子供にも負ける可能性の能力。単純で、トリッキー過ぎて、扱いづらくて……


 仮に他の誰かがこの力を得たとしても、断言しよう。歴代戦士最弱になる、と。だからこそ断言しよう。



 俺は歴代戦士最強になると!



 目につけたのは不死の迷宮。そのボスである不死身の力。


 ーーこれしかない


 そう思った。このままでは、2ヶ月後に起こるらしい世界会議、そこで始まるかもしれない戦争で、俺はなんの役にも立てない。


 仮にもサクヤ姫に忠誠を誓った。黒の戦士であることを認めた。だというのに、自分が弱い? そんな事でいいのか?


 いいはずがないだろう! なんたる屈辱だ! ああ分かっているさ。天才と最強は違う。だがアリスよ、お前は可能性を与えられた。何もしないのはお前のプライドが許さない。

 そもそも1人の男として生まれたからには、強さの頂を見たいと思うのは当然。


 見返してやる。俺を疑うカレハナを、無関心を装うグレイを。唯一信頼してくれているサクヤ姫には、勝利をプレゼントしてやる。



「俺は誰だ?」

「そう、天才だ」

「天才であるこの俺は……」

 

 剣を構える。なっちゃいない、素人の構え。それでもやらなければならない。


「俺は黒の戦士、アリスだ!」


 対峙するのは不死身のボス、デスオーバー。人型ではあるものの、強靭な爪と、口の中から覗く鋭い牙。


 そしてーー


 おや?


 おかしいな……今さっきまでデスオーバーを見ていたはずなのに、視界は一変。上半身のない下半身(・・・・・・・・・)を遠くに見た。


「グゥゥ……」


 視界の端に、チラッと見えた。右手を血肉で滴り落とすデスオーバーを。


 ……ああそうか。


 俺はーー死んだのか。


 これは目眩? 視界が歪み、閉ざされていく。あぁ、真っ黒だ。黒も黒の……真っ黒黒……どこまでも黒く、黒く……黒。

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