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色惑う 黒の戦士  作者: watausagi
二章 銀の国編 合わせ鏡。それは無限に続く世界。ひねりもしない平行世界。されど、手を伸ばす事は出来た。
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誤解デスオ?

◇◇◇◇◇


 学園ラッセル


◇◇◇◇◇


 僕は師匠の教えを守ります。


 その1、メリハリ。


 一日中気を休めず修行の時もあれば、たった10分間で習得する修行もある。大事な事は、中途半端な時間を作らない事だと。


 だから僕はこうして、平日は学業に専念するのです。


 黒の国には4つの学園があります。


 夜、影、闇、混。


 僕はその内、夜ノ学園です。四校に比べて優秀な生徒が多いと言われています。だから最初は、そんなところに僕も入学出来て浮かれていたんですけど……


 ハッキリとした格の違いという奴を思い知らされました。2人いるんですけど、まず、1人紹介します。


 ……その人は最近入学してきた謎の転校生です。それだけでもう異質というか、異例というか、前例のなかった事なのですけど。


 そんなのは、彼の一端にしか過ぎません。素性は知れず、とにかく強い。魔力量もずば抜け身体能力は底がしれない。


 いつも制服の上から黒ローブで顔を隠している謎の男。


 その名はーー


「あ、来たわよ」

「きゃぁ、デスオ(・・・)様ぁ」


 彼は女の子達から圧倒的な人気を誇るが故に、こうして教室に入るだけで黄色い声とやらがあちこちから湧き出てきます。


 当の本人は鈍感なのか、元々気にしないタチなのか、黙々と自分の席に向かいます。


 基本無口です。というか、喋った事を見た事ありません。


 不思議君です。クールです。


 ……ただ


「あんコラ、ちょっと女に人気だからって、調子に乗ってんのかコラァ」

「コラコラあんまり僕たちバカにしていると痛い目を見ますよコララコラ」


 女の子からの人気とは裏腹に、男の子からの人気は低いのです。クラスメイトの大体は15歳。思春期真っ只中。


 デスオ君の存在は、それだけで目につくのでしょう。今もクラスのジョンジャンコンビに絡まれています。


 でも心配はいりません。


 手の早いジョン君が、デスオ君の態度に我慢しきれなくて、右ストレートを顔目がけてぶつけますが……


「な、なにぃぃ!!」

「いつの間に僕たちの後ろへ!?」


 デスオ君は何事もなかったかのように、自分の席へ向かいます。


 もう一種の1ーB名物です。


「馬鹿な奴。デスオ様に敵うはずないのに」

「ねー」


 ジョンジャンコンビがデスオ君に喧嘩を売るたびに、デスオ君の人気はうなぎのぼりになってしまうと、彼らは気づいているのでしょうか?


 自分達を見る白い目に気づいて、ジョン君は顔を真っ赤にさせました。


「くっ、覚えてろよぉぉ!!」

「いずれ、この借りは返しますよ……!」


 あ、ああ、行ってしまいました。


 もうすぐ授業が始まるのに……


 大丈夫かな?


 デスオ君は大丈夫です。席について、どこを見るでもなく寡黙を貫き通します。


 ……彼みたいに、強くなれるのだろうか。この世に1人とない師匠がいるというのに、僕はつい弱気になってしまう。


 同世代でもう1人、デスオ君以外にも優秀な生徒がいるから、そうなってしまうのも仕方がないと思うんだけど。


 ……因みに、同世代だけど、同年代ではありません。


 1年生という肩書きは同じでも、デスオ君と同じように卓越した力を持つ者はもう1人……


 12歳の天才少女。


 その名はーー


〜〜〜〜〜


「今日も来ているな、あの少女」

「ナイト……うん、そうだね」


 僕の(今のところ)ただ1人の友達、アッシュ・ナイト。


 彼の言う通り、ここ最近昼休みになるといつも決まって現れる少女こそ。


「今日こそ私と勝負をしてください」


 天才少女、ネイユン。


 12歳にして学年主席。その力は歴代でも有数の成績を残しており、このまま夜ノ学園のトップに君臨するーー


 と、思われていた。


 デスオ君が来るまでは。


「……」


 ネイユンさんの鋭い視線を浴びても、デスオ君は余裕の表れなのか、一言も喋らず動じず、無視を決め込む。


 あの歳であの実力。それなりにプライドがあるのだろうか、ネイユンは眉をピクリと動かして、今度は一言一言に力を入れた。


「私と、勝負を、してください」

「……」

「むう」


 かれこれずっと、何日も前からあの押し問答は変わらない。


 挑むネイユンと黙るデスオ。


 どちらも譲らない。


 見ていて少し、疲れてしまう。


「しかし、あの少女もよく諦めないな。勝負にこだわる、何らかの理由があるのだろうか」

「どうだろうね。ネイユンさんはあの歳であの実力だから、思うところはあるのかも」

「かもな。ただ、実は俺も、デスオとは一戦交えてみたかったりする」

「……そんな、バトルジャンキーだったけ」

「俺も一応男だからなあ。強さには興味がある。頑なに頷かないデスオには悪いが、どちらかというとあの少女を俺は応援したい」

「なら、僕はナイトの応援をするよ」


 そんなやり取りが通じたのか……


 でもまあそんな訳がなくて。


 急に立ち上がったデスオ君に一瞬喜ぶネイユンさんだったが、デスオ君は依然としてやる気がない事を悟ると肩を落とした。


 ただ単にデスオ君は、昼ごはんを買いに行っただけだった。


「いい気味ね」

「デスオ様に近すぎるのよ」


 聞こえているはずだけど。ネイユンさんはそちらに少しの興味も見せず教室を立ち去った。

 デスオ君を追ったのか、同じように昼ごはんを買いに行ったのか、僕たちは分からない。


「俺たちも、そろそろ昼にしよう」

「……うん、そうだね」


◆オマケ◆


ネイユン「私と勝負をしてください」


デスオ「……」(何て言っているのか分からない)

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