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色惑う 黒の戦士  作者: watausagi
二章 銀の国編 合わせ鏡。それは無限に続く世界。ひねりもしない平行世界。されど、手を伸ばす事は出来た。
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性格の良さ ラッセル>>>>アリス

◇◇◇◇◇


強いという事と、負けないという事は、必ずしも同義ではない。


◇◇◇◇◇


「もしも自分より強い相手と相見えた時、お前ならどうする?」


 ラッセルに聞いた。少しの間迷っていたが、彼は元気に答えた。


「最期まで諦めません!」

「潔い根性論、嫌いじゃない」

「合ってますか!?」

「ふむ……」


 ホワイトボードに、三段階評価を書き加える。まず大正解。次に惜しい。最後はプレッシャーと、ラッセル君からすればよく分からない評価を。


「今の答えは……」

「ごくっ」

「最初だから甘めに評価してもーーちょっと死ね、って感じかな」

「そんなに!?」

「当たり前だ。実際にそんな事をしてみろ。お前は死ぬ」


 諦めないから死なないなんて、少年漫画に弟子入りしてろ。


「ミノタウルスの時、お前は奴に立ち向かった。もしも俺たちが来なければ、死んでいた」

「うっ……その通りです」

「分かっている。どうしてお前が逃げなかったのかはな。それはお前の強さでもあるが、今のままでは弱点でしかない」


 危うさ、と言ってもいい。壊れないように大事にしてほしい。


「因みに、さっきの答えは、色々あるがやはり……逃げる事だ」

「逃げていいんですか?」

「むしろ逃げるべきだ。次なら勝てるかもしれない。次勝てなくてもまた逃げれば、その次に勝てるかもしれない。

 決闘じゃないんだから、最後の最後に勝った者こそ勝者だ」

「つまり……命を大事に、という事ですね」

「ああ。だが例外もある」


 特にラッセル君のような性格の場合。


「例えば自分の後ろに護りたい者がいる時、そんな、どうしても逃げられない状況になると、もちろん、逃げる事は出来ないな」

「どうすればいいんですか?」

「最期まで諦めなければいい!」

「ええ!?」

「冗談だ」


 この子楽しい。


「勝つ事が出来ないのなら、せめて、負けないようになればいい」


 攻撃力40と防御力60の敵。対して、こちらは攻撃力40と防御力60だと、攻撃は通らずとも敵の攻撃も通さない。完全に攻撃の意思を捨てて防御に回した場合、無傷で済む可能性もある。


「ひたすら防御に徹するなんて、その最たる例だな。もしくはあの手この手を使って正攻法に持ち込まない戦闘にするとか、自分より強い相手と戦う方法なんて幾らでもある」

「な、なるほど」

「強い相手、なんて言ってはみたが、強さにも色々ある。ここでは単純に剣術が上手い相手だとして、こちらも剣で相手をする必要はない。自分の持ち味を発揮すればいい。何か一つでも卓越した能力があるなら、そいつは強いはずだ」

「……僕の持ち味って、何でしょう」

「それを見つけるのも、今後の課題だな」


 俺の推測では、ラッセル君は考える力が大きそうだが。


 それは自分で見つける事だ。


 俺はホワイトボードに、でっかく“最強”と書きなぐる。段々飽きてきたのか、カレハナは後ろの方で欠伸をしていた。


「俺の思う最強とは、素早い奴かな」

「スピードですね」

「ああ。どんなに強い力も、当たらなければ意味がない。それに速いという事は、攻撃の仕方次第で純粋な力に変わる。

 他には……とてつもなく硬い奴かな」

「防御力ですね」

「ああ。どんなに強い力も防げるのなら、そいつは驚異だ。聞くところによると金の国のダンジョンのボスがそれに近い。事実そいつは、今のところ負けなしだ。

 あとは……気配を隠すのが上手い奴かな」

「隠密力、ですね?」

「ああ。生物なんてやろうと思えば爪楊枝一本で殺せてしまう。力で劣るはずの暗殺者が英雄をも殺せるのはそれが理由だ。しかし暗殺は、不意を打つという前提条件が必要。不意を打つには、気配を隠すのが一番。

 目の前にいても気づかない、っていうのが理想かな」

「それは流石に……」

「何を言っている。弱気になるな。今挙げた三つの内、ラッセルに一番向いているのは気配を隠す事だぞ」

「そんな!?」


 プッツェンバーガーのような力強さもなければ、ウサギのような素早さもない。


 必然的に、ラッセルは小技に頼らなければいけないのだ。


「一番努力でどうこうなるのは、素早さや防御力は論外として、隠密力だからな」

「っ……努力」


 その単語は、ラッセルにとって希望なのだろう。目に光が灯った。


「僕、やってみせます!」

「その意気だ」


 同じくらい頑張ったって、そりゃあ、才能を持つ方が優れるに決まっている。


 凡人が天才に勝る道理はない。


 努力すれば超えられる? 無理だ。自分以外の誰もが努力をしない不思議世界ならそれでもいいのだろうが。努力しない天才は、あまりいない。


 要はどれだけ人生上手く生きるかに限っている。自分に合った特訓方法を見つければいい。


 同じ努力で勝てないのなら、人の何倍もの時間と密度が必要だ。そうして初めて、天才が凡人に勝る道理はーーなくなる。


 越えられない壁があるのなら……潜るか、ぶち抜けばいいのだから。


 ーー今日の謎計算式。


 天才>凡人

 努力した天才>努力した凡人

 努力した天才=努力しきった凡人


◆オマケ◆


カレハナ「私そういえば、必死な努力ってあまり見に覚えが」

アリス「実は俺も一回くらい」


ラッセル「えぇ……」

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