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色惑う 黒の戦士  作者: watausagi
一章 金の国編 マリーゴールド 「別れた哀しみ」は、膨れ、蕾となり、「絶望」の花を咲かしーーやがて枯れた
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いやその計算はおかしい

◇◇◇◇◇


 あと一歩遅ければ……まあその時も何とかしたけど、あと一歩遅ければ面倒な事になったかもしれない。


 やはりというか、当たり前というか、俺の言葉にグレイが真っ先に反応した。続いて馬二頭。


 その瞬間、地面が爆ぜる。瓦礫と化すその隙間に俺は辛うじて見た、バラバラの昆虫とその中身。その中身がこちらに飛んできたので、横によけた。後ろでベチャッと音がした。


「くっ!」



 崩れる足場のせいで、馬車の中にいたサクヤが空へと放り投げ出された。


 が、ショコラが器用にサクヤの体を咥えて、安全な場所に移動しているグレイのところへ飛ばした。その反動で、空中に留まる力が尽きたのか、ショコラも下へ落ちていく。


 

「っ……ショコラ!?」

「止めろ!」

 

 再び崖下に戻らんとするサクヤを、片腕に白い餅の様な物を引っ付けたグレイが止めた。

 ああ、そうだ。それでいい。お前ならそうするだろうと信じていた。



 ーー劣化天翔!


 俺は空を駆けて、ショコラの元まで行くと、その巨体を掴む。ショコラは自分の運命を受け入れているのか、ただジッとしていた。


 ……忠義の深い。


 その心意気、捨てるには惜しい。



「少し、乱暴するぞ。歯を食いしばれ」



 空を踏みしめ、自分より遥か重い馬を、グレイ達の側までぶん投げる。


 勢いあまって、大木にぶつかりやっと止まったショコラ。怪我がないといいが。




 さて、この力も制限がある。残り二歩……これならギリギリ向こうまで届くな。俺も早くーー



「ぬわっ、な、何だコレ!」



 ……ああ、そうだった。

 ここには兎もいた。



「くうっ! このこの!」


 兎は、グレイが腕に引っ掛けてあるような白い餅の様なものを、こいつは下半身全てを包み込まれていた。確かその白い物は、昆虫の中身。先ほどの爆発で、それが辺りに散らばったのだ。


 肝心の兎のパワーは、その何とも言えない粘着力の前に、エネルギーごと殺されている。


 結果。


 兎は落ちていく。



 ……あいつは金の国の者だ。このままいけば、戦力減らしに丁度いい。そうだ、合理的だ。天才的に悪魔的な計画だ。



 サクヤを見る。彼女は、心配そうにこちらを見ていた。心の内を代弁するなら、早くこちらに来い8割、どうするの1割。助けて欲しいが1割。


 グレイを見る。奴は、勝手にしろとでも言いたげにこちらを見ていた。心の内を代弁するなら、何でもいい10割。



 なるほど、決まった。


 面倒くさい事このうえないが、やれやれだとか不幸だとか言いたくなる状況だが、仕方がない。


 圧倒的多数で、11割の、助けて欲しいを優先するしかないだろう。




「サクヤを頼んだぞグレイ! 先に城に帰ってろ。すぐに追いつく!」



 劣化天翔に加え、兎の脚力を応用して、真っ逆さまに下へ落ちる。


 川の中で溺れる兎を見つけて、その中へ突っ込もうするその時。


 俺の名を呼ぶサクヤの声が聞こえた。


 振り返らず、背中を見せた。


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