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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十二話「本質へと続く道標」

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ドレスコード

康太と文は家具店での買い物を終え何気なく街を歩いていた。特に何を買うという目的もなく適当に歩いているために二人の歩行速度は遅い。ある意味学生のデートらしいといえばデートらしい光景である。


「いやぁ、買った買った。貯金が結構吹っ飛んだな」


「本当にね。今まで使わなかった分一気に使った気分だわ」


普段からしてそこまで金を必要としない康太と文、協会から魔術師としての報酬としてかなりの金銭を所有していたが今回の買い物でそれもかなり消費していた。


大型の家具は普通に高い。しかも家に必要な分を一気に用意するということもあって必要な家具とその量もかなりのものになる。


普段装備を買うくらいしか金を消費しない康太と、ほとんど金を消費しない文では金がたまるのも当然。こういう時に一気に使えるということで貯めておいてよかったと思う反面もう少し使ったほうがいいのかもしれないとも思っていた。


何せ今回の買い物でも協会からもらった報酬の総額の一割も使っていないのだ。そう考えてしまうのも無理のない話かもしれない。


とはいえ学生身分で出せるような金額ではないのも事実、今後一般人として買い物をするときはそのあたりを注意しなければ不審がられてしまうだろう。


「あとは受け取った後で家に入れるのが大変ね・・・場所とか考えておかなきゃ」


「そうだな・・・まぁ見取り図と家具の寸法は出してあるからホテルについてから考えようぜ」


「あー・・・そっか・・・今日はホテルに泊まるんだったわね・・・なんか頭から抜けてたわ・・・」


「せっかくの奏さんの厚意だからな。無碍にはできないだろ」


高級ホテルで宿泊に加えディナーまでついているといういたれりつくせり状態のデートプラン。康太たち学生からすれば身の丈を超えたもののように思えるが、これも奏からの親切心と思って受け取るほかない。


文からすれば康太と正式に恋人になってから、魔術師としての活動以外で初めての康太との外泊だ。

そういう意味もあって楽しみでもあるのだが、同時に不安でもある。


康太は基本マイペースだ。そのため文の不安などとは全く別な思考を取っている。今こうして歩いている間にも文とは全く別のことを考えているだろう、


「あ、そういえば服も買っておかなきゃな。あの家にある程度服とかタオルとかそういうの置いておいたほうがいいだろ」


「あー・・・そういえばそうね。バスタオルとかハンドタオルとか・・・台布巾とか寝間着とか・・・」


「服屋行くか、買わなきゃいけないものたくさんだ」


「その前にいろいろとやらなきゃだけどね・・・まだライフラインの構築もできてないし・・・電気ガス水道、これがないと住むこともできないわ」


「そのあたりの契約関係は明日かな・・・今日はもう買い物だけにしておこうぜ。あちこち動いて疲れた」


「普段の疲れとは違う疲れよね・・・早めにホテル行く?」


「そうだな。どんな部屋なのか見てみたいし。まぁ大まか想像できるけど」


康太と文の頭の中には所謂ホテルのスイートといえるレベルの部屋が映し出されていた。何度か奏がホテルを用意してくれた時のような光景を思い浮かべるだけでおそらく大体正解をイメージできるあたり奏の行動を徐々に理解できている二人である。


文的にはそこに一筆加えた何かがあるのではないかと危惧しているが、そのあたりはまたどうなるかわからないだけに少し不安要素となっていた。


「ところでさ、俺前々から思ってたんだけどさ、俺テーブルマナーとかよくわかってないんだよな・・・ホテルのディナーっていうとやっぱりそういうこと気にするよな?」


「どのレベルのものかは私もわからないけど、そうね、少しは気にするかも。まぁそもそもが私服全開な服装って時点でいろいろと気にする点があるけども」


高級、あるいは特定の老舗などはドレスコードなど、店内の雰囲気にマッチした服装を求められることがある。


康太たちは基本私服で行動しているためにそのあたりは非常に雑だ。


一応康太は礼服という意味でスーツを持っているが、これも奏からもらったものである。普段全く着ないために自室のタンスの中に眠っているわけだが。


「そういえば文ってそういう服もってるのか?スーツ・・・っていうかこの場合はドレスっていったほうがいいのか?」


「あんたの中での高級感を求めた服装はドレスなのね・・・持ってないわよ。スーツなら持ってるけどね・・・ていうかドレスを持ってる女性なんてほとんどいないでしょうに」


少し値の張るスーツや礼服を持っている人間はいるかもしれないが、康太や文の頭の中にあるようなドレスを持っている女性というのは少ないだろう。


たいていはレンタルしたりするのが一般的になっているため自前のドレスというのはなかなか持っていない。


「これを機に買うか?まだチェックインには時間あるし」


「って言ってもドレスなんてどこで売ってるのよ・・・私そういうの知らないわよ?」


「東京のどっかしらにはあるだろ。とりあえず行ってみようぜ。チャイナドレスに普通のドレス、選び放題だぞ?」


「ごめん、チャイナドレスでディナーはちょっと・・・もっと他のがいいわ」


「えー・・・?チャイナいやか・・・?ダメか?」


康太としてはチャイナドレスを着てくれると非常にうれしかったのだろう。残念そうな表情をしながら文のほうを見ている。


だが文としてもチャイナドレスで夕食は避けたかった。買うとしても個人用となるのは間違いないだろう。


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