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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十二話「本質へと続く道標」
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弟子は師に似る?

「・・・わかった、こちらも情報を出し渋ることはしない。ただ聞かない名前だからうちの人事関係の書類を調べることをお勧めするよ。うちの専属達には君たちのフォローを任せよう」


「ありがとうございます。いつもすいません」


「構わないよ。これ以上派手に事を起こされるのはまずいからね」


それは今回のことを引き起こした犯人に対しての言葉か、それともそれを解決しようとしている康太たちに向けて放たれた言葉か。


どちらかはわからなかったが、支部長が今回の件を重く受け止めているのは間違いないようだった。


警察が動くような案件を魔術師が起こした。そしてその原因を作った魔術師がまだ野放しになっている。

本来ならば康太たちに自制を求め、協会の魔術師たちだけでこの件に当たりたいのが支部としての見解だ。


危険行動をする魔術師を捕縛するために、裁くために支部や本部には専属の魔術師たちが存在しているのだから。


だが支部長はあえてそれをしなかった。今回の件に関わっているのが康太たちでなければ、支部長はきっとあとのことは支部の専属魔術師に任せてくれといっただろう。


それをしなかったのは康太の存在が大きい。


康太は良くも悪くも問題に巻き込まれる。小百合という問題因子を抱え続けた支部長が身に着けた面倒ごとセンサーは康太にも反応していた。


きっと何かがあると。そして万が一の時は専属の魔術師全員をその面倒ごとの対処に回さなければまずいと、そう判断したのである。


「一応言っておくけど、大ごとにはしないでくれると助かるよ。なるべく穏便に済ませてほしいな」


「善処しますよ。少なくとも俺たちは穏便に済ませるつもりです」


穏便などといってもはっきり言ってあてにならない。支部長は頭を抱えながらため息をついていた。


「それよりも、今回の件、警察はどれくらい事態を把握しているんだい?僕の方には連絡がほとんど入っていないのだけれど」


「えっと・・・誘拐があったってことはすでにばれていて、一応その被害者を俺たちが警察の中にいる魔術師に引き渡す形で解決しています。ただ犯人がさっき情報収集したあの二人なので、それを見つけるまでは警察は動き続けると思います」


仮にも会社の社長の娘を誘拐した犯人だ。いくら被害者が帰ってきたと言えど犯人を捕まえなければ警察としては面子が立たない。


あの二人の魔術師をどこかで捕まえない限り、そしてしっかりと裁かれない限り警察は動き続けるだろう。


「君としては彼らをどうすればいいと思う?」


「・・・んー・・・正直俺はどうしてもいいと思いますよ?ぶっちゃけ魔術の隠匿のためにどうするのがベストなのか、俺には判断できませんから。そのあたりは支部長にお任せしますよ」


「・・・君のそういうところはありがたいんだけど・・・なんだかすごく困るんだよね・・・まるっきり任せるとかこっちとしてはつらいんだよ?」


「すいません。俺はそういうのあんまりわからないので・・・」


「・・・いや、すまない。クラリスだったらたいてい全部破壊しつくすタイプだから、それはそれで対処に困るけど、君の場合こっちに任せてくれるからそれはそれで困るね、今までになかったタイプだ」


小百合のように周りをすべて無視して勝手に動けば、当然そのしわ寄せがすべて支部長に向かうことになる。


だが康太のようにそれができないから全て任せるという場合でもそのしわ寄せがすべて支部長に向かうことになる。


小百合のように傍若無人にふるまうわけではないのだが、支部長に対する負担が変わらないという意味ではこの師弟にはあまり違いがなかった。


「ちなみにだけど・・・その魔術師を見つけたらどうするつもり?」


「それはもう決まってますよ。とりあえず二度とふざけたことができないように徹底的につぶすつもりです」


「・・・相変わらずというかなんというか・・・やっぱり師弟だね・・・そういうところはクラリスとそっくりだ・・・」


「なんかすごく不本意なんですけど・・・俺は誰でも敵対しているわけじゃないですよ?ちょっかい出された奴らを倒してるだけで」


「そういうところもそっくりさ。クラリスはああ見えてやられてからやるタイプだからね・・・まぁ結構な割合で自分から手を出したりもするけど」


「ほら、自分から手を出してるじゃないですか・・・あの人は気に入らなかったらとりあえず壊すんですから」


「あー・・・まぁそうだね」


小百合は基本的に感情で物事を判断する。そのため無茶苦茶な理屈で襲い掛かってくることがある。


周りからすればたまったものではないかもしれないが、少なくとも小百合なりに理屈があるのだろう。


それらがかなり無茶苦茶なものであるのは間違いない。そしてそんな無茶苦茶な理屈で攻撃されてはたまったものではないだろう。



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