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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十二話「本質へと続く道標」

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カタパルトもどき

康太と文は長谷部に作戦開始の連絡をすると康太と文は目標となる建物がぎりぎり目視できる場所に立ち、魔術師装束に身を包んだ状態で待機していた。


文の索敵も届かないほどの距離。この距離ならば相手から索敵されることもない。それほどの距離がある。


二人は魔術師の外套を身にまとっているが仮面は身に着けていない。万が一被害者の目が開いていた時に顔が見られるリスクもあるが、それ以上に不自然さをアピールするよりは良いと感じたのだ。


「ビー、ここからあそこまでどのくらいまでかかる?」


「・・・全力で飛べば一分とかからないな。でもその分目立つぞ」


「なら私があんたを飛ばす。あんたは相手を叩きのめすことだけを考えなさい」


「っていうとあれか、あの時逃げるために使ったやつか」


康太が全力で移動するとなると噴出の魔術が必要不可欠となる。瞬間的に、あるいは継続的にその体の一部からは炎が噴出することになるために、夜中ではかなり目立つだろう。


だが文の使う手ならばいくらか別の手段がとれる。


康太の頭の中に浮かんでいるのは、以前文たちが撤退するときに使った磁力の魔術。その体に電撃を纏い、その体を磁力によって飛ばす。


「電撃の光はどうする?あれ、結構光るだろ?」


「その分私が光の魔術であんたを暗くするわ。周りからは見えないようにするから平気よ。私も限界まで近づくから」


「わかった、んじゃウィル、準備するぞ」


康太の言葉に従い、ウィルは康太の体にまとわりついていく。今までのような鎧姿ではなく、まるで警察の機動隊のような衣服に近い形の防具へと形を変えていた。


だがその硬度自体は変わらない。鎧の硬度を持った衣服になったというだけの話だ。


頭部にも今までの兜ではなくヘルメットにアイシールドと、現代の防具に限りなく形を近づけている。


体積的にそれだけでは余剰分ができてしまうために、康太の左腕に機動隊などが持っている長方形の盾を装備していた。


「こうしてみると魔術師のそれには見えないわね」


「そうだな、こういう装備は初めてだ。っていうか、こんな大型の盾を持つのも初めてかもしれないな」


康太は基本動きやすさを重視するために大型の盾は持たない。持っていたとしても小型の盾ばかりだ。


これほど大きな盾を持つのは初めてであるために少々勝手がわからないかもしれないが、これはこれでよかった。


今回の戦いではこの盾こそが重要になる。


「ベルはどうする?俺は基本戦っていようと思うけど」


「私は被害者の保護を最優先にするわ。でも現場にはいかない。私は外側からあんたのフォローをしてるわ」


「了解、万が一の時は頼むぞ。場合によっては被害者を多少強引にでも連れだしてくれると助かる」


「わかった。そんなことがないようにしてくれると助かるわ。犯人たちは協会に預けておく手はずになってる。バズさんが監視しておいてくれるらしいわ」


「助かるな。あの人が監視してくれるなら万が一もなさそうだ」


協会に犯人を連れて行っても逃げられては意味がない。そこで文はあらかじめ幸彦と連絡を取り、連れていく魔術師たちを捕縛し続けるように頼んだのである。


事前準備はすべて終わっているということである。ここから身近な門を有した教会へのルートも、ここから長谷部への受け渡しのルートもすべて頭に入れてある。


「あと一応注意しておくけど、私のこの移動方法、はっきり言ってかなりきついわよ?体にかかる負担はかなり大きいと思って」


「わかってるって。でも俺だって伊達に飛び回ってないよ。体への負担は肉体強化で軽減して我慢する」


康太も噴出の魔術を使い始めてから急加速急減速などの挙動を多く行っている。文の磁力による移動とどちらが負担が大きいかといわれると返答に困るところではあるが、少なくとも多少のことで参るほど軟な鍛え方はしていないつもりだった。


「ならいいわ、索敵ぎりぎりの範囲までは私もついていく。突入時の音とかには気をつけなさいよ?私、音の魔術はほとんど覚えてないんだから」


「わかってるって。そのあたりも考えてあるよ。今回は静かに、なおかつ素早く、暗殺者のように動いてやる」


「・・・あんたが暗殺者とか・・・その姿で言われると違和感しかないわね」


一見すると警察官のように見える康太の姿、これで暗殺者と言われればかなり物議をかもすだろう。


とはいえ、康太が大丈夫というのであれば文としてもこれ以上口をはさむつもりもないようで魔術の発動準備に入っていた。


「よっしゃ・・・こっちの準備はオッケーだ。頼むぜベル。いっちょ吹っ飛ばしてくれ」


「ジェットコースターみたいなものだからあんまり期待しないでよ?もし軌道がずれたなら自分で修正してね」


文の言葉に康太は頷いて大きく深呼吸をする。いつでもどうぞという康太の状態を見て文は魔術を発動した。


まずは自分たちの体を包み込むように光属性の暗闇の魔術。次いでその体に電撃を纏わせ磁力の魔術を発動する。


「それじゃ行くわよ。時間勝負だと思いなさい!」


「アイマム、ブライトビーいっきまーす!」


康太の掛け声とほぼ同時に康太と文は空中へと投げ出され、一気に加速していく。


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