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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十一話「新しい生活」

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その大地

「ん・・・なんかずいぶんと涼しいな・・・」


康太たちがたどり着いた教会、位置情報を携帯ですぐに確認するとそこは北海道の南部、札幌からさらに南西にある町だった。


「おいおい、よりにもよって試される大地北海道かよ。温室育ちのウサギなんてすぐに死んじゃうんじゃないのか?」


「私北海道って初めて来たかも・・・どうせなら旅行とかできたかったわ」


門のある教会から出て周囲の様子を確認すると、周りには家があるもののかなり隣との間隔があいている。


関東ではありえないほどの間隔だ。土地が大量に余っているというべきなのか、それともただ単にこれが北海道の普通なのか、さっそく試される大地の片鱗を見た康太たちはさっそく行動を開始していた。


まだ日中ということもあって日も高く、気温も比較的安定しているとはいえそこは北海道だ。


周りに山も多いこともあって日が傾き、日の光の恩恵を受けられなくなれば一気に気温が下がっていくだろう。


「・・・んー・・・やっぱこの時点でバラバラに動き出したっぽいな・・・もうそれぞれ別方向に移動してるっぽい」


教会の門から外までのにおいを確認し、この場所にやってきていることを確認した康太だったが、教会から一歩外に出たとたん、その匂いはそれぞれ別々の方向に移動しているようだった。


「みんなで行動してると思ったらバラバラに行動してるのね・・・随分と逃げ方が徹底してるわ」


「なんか行動が妙に賢い気がするよな。一網打尽にならないようにばらばらに逃げてるって感じ?」


確実な逃走経路には全員で行動し、逃走場所から先には全員が捕まらないように別方向へと逃げる。


康太の言うように妙に賢い行動をとっているように思える。何者かが誘導しているのではないかと思えてしまうほどだ。


「方向はわかる?まずは一つ一つ探しましょ」


「そうだな・・・あっちと・・・あっちとあっち・・・主に三方向に分かれたって感じだな」


康太が指さす方向を携帯のマップ機能で確認すると、一方向には町が、一方向にはずっと道が続いており平原に近い、一方向には森、というか山がそびえたっていた。


町、平原、山の三カ所にそれぞれ逃げ込んだようだ。見つけにくさで言えば山が一番だろうかと康太たちはどうしたものかと少し悩む。


「日中は山に潜って、夜に町を探すって感じかな。道のほうは・・・ちょっと移動がつらいか・・・どうしたもんか・・・」


「とりあえず動きましょ。バズさんはどうしますか?」


「僕が行くと間違いなく相手が逃げちゃうからね・・・僕はほかの魔術師のサポートに回るよ。ついでにここから魔術師が出てきたときに軽く足止めくらいはしておく。それで第三勢力からの介入は極力防げるだろうから」


退路の確保に加え、他の魔術師たちの新たな介入を防ぐ。それが正式に依頼を受けウサギを探してくれる魔術師ならばよいのだが、それが今回ウサギを逃がそうとした勢力だった場合康太たちの行動が不利になりかねない。


幸彦が近くにいると小動物が怖がるという意味も含めて、幸彦はこの場で待っていたほうが得策なのである。


「よし、じゃあまずは山に入るか。においで追えればいいけど」


「どれくらい匂いは残ってるの?」


「この辺りだと動物のにおいは割と残ってるけど・・・山に入ると生き物の宝庫だからな・・・しかも北海道ってあれだろ?町にもふつうに鹿とかイノシシとか出たりするんだろ?」


「そうなんすか!?北海道パないですね」


「さすが試される大地って感じですね」


「えっと・・・そうだったかな・・・?」


康太たちの北海道に対する先入観に幸彦は苦笑してしまっているが、実際道に鹿が飛び出してくるということは十分にあり得る話だ。


周りが自然豊かということもあって山や森は動物にとって住処だ。その住処から移動するときに人間の領域に入り込んでくることは十分にあり得る。


「魔術師だけじゃなくて動物にも注意しておこう。装備は最低限・・・目標はウサギ。んじゃいくか」


それぞれの服装や体の状態を確認しながら康太を先頭に山の中に入っていく。


行動することがわかっていたこともあってそれぞれ動きやすい格好をしていたのは良かった。

とはいえ装備そのものが少ないために山の中に入れるだけの装備ではないのは確かだ。


しかもここは北海道の山。生き物の宝庫ともいうべき場所だ。小動物、中型、大型の動物、加えて爬虫類や虫も多く、気をつけるべきなのはそれらの生き物たちも含まれる。


そんな中で逃げ込んだウサギを探さなければいけないというのは少々つらい。

何せ康太の嗅覚強化と文の索敵で探さなければいけないのだ。


「二人は常に予知の魔術を発動しててくれるか?つらいなら断続的でもいいぞ」


「了解しました。どれくらい先の未来を見ますか?」


「そうだな・・・晴は近い未来を、明は少し遠い未来を見ててくれ。どのタイミングで何と遭遇するのか、いつ俺らが動くのかとかを見ててほしい」


未来の情報が手に入る状態であれば現状手に入る情報が少なくとも立ち回り方は変えられる。


追跡においても未来の情報はかなり重要だ。土御門の二人が今回の捜索の鍵を握るのは間違いない。


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