表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十一話「新しい生活」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

911/1515

求める用途

「なるほど・・・お二人が一緒の拠点を・・・それは良い考えかもしれませんね」


「姉さんは肯定的なんですね。ちょっと意外でした」


「そうですか?お二人がこれからも同盟として一緒に行動していくのであれば必要不可欠なものでしょう。倉庫としても、そして会議室としても使える場所は必要です」


真理は康太たちの考えに対して肯定的な意見を有しているようだった。魔術師として活動するとはいえそれが同盟間、他人との関係を持続していく以上、時として限られた人間だけで話ができるような場所は確保しておくべきだと考えたのだろう。


小百合の店、そして春奈の修業場、どちらも二人がよくいる場所だが腹を割って話ができるかと言われると微妙なところである。


無論くつろげないという意味ではないのだが、やはり二人だけで今後の調整をするということは必要になってくる。


そういった話をするという意味でも同盟での拠点というのは必要である。


そして真理の言うように倉庫としても活用できる。魔術師としての道具を堂々と置いておける場所というのはそれはそれでありがたい。今はそれぞれの師匠の拠点に置かせてもらっているために、今後自分だけの場所を作れるというのは大きかった。


「それで具体的にどれくらいの規模がいいのかなと思いまして・・・今までこういうことを考えたことがなかったものですから」


「ふむ・・・拠点関係で言えば私よりも幸彦さんに話を伺うのが適任と思われますが・・・私が言えることはまず二人で話し合うことですね。二人の拠点であるのならお二人の意見が第一です。倉庫でも、どこかのアパートでも、一軒家でも二人で話して決めるというのが大事ですよ」


真理としてはどのような場所であろうと康太と文が考えて決めたことであれば特にいうことはないようだった。


というか真理自身まだ自分の拠点を持っていないからそこまで具体的なアドバイスはできないのだろう。


だがここで幸彦の名前が出てきたのは意外だった。拠点関係に関して詳しいというのはどういうことなのだろうかと康太と文は小首をかしげる。


「わかりました。ちなみに何で幸彦さんは拠点関係に詳しいんですか?」


「あの人が協会の細々とした依頼をちょくちょく受けているのはご存知ですね?その中に拠点関係の話が結構あるんです。以前康太君もかかわったと思いますけど、拠点同士の縄張りの話などもそのうちの一つですね」


「あー・・・なるほど、そういうことですか」


かつて奏の拠点と縄張りの話に巻き込まれたときに幸彦も一緒にいた。そして幸彦は協会内でいろいろと依頼を受けている。正確に言えば協会が動くまでもない些末事を解決しているという苦労人っぷりなのだが、そのおかげか協会の評価も地味に高く、協会内のそういった事情にも明るいのだろう。


ここで幸彦の情報が得られたのは大きい。康太は今度話を聞きたいものだと小さく意気込んでいた。


「時にお二人はその拠点をどのように使うつもりですか?」


「どのように・・・とは?」


「先ほど言ったように、倉庫として使うのか、それとも話をするためだけの会議室として使うのか、はたまた生活の基準にするのか、それによって求められる水準は変わってきますよ。そのあたりも一度考えてみてはいかがでしょうか?」


「んー・・・そもそも魔術師の拠点って何をするところなんですか?俺らそのあたり良く知らないんですけど」


魔術師としての経験の浅い康太に、今まで魔術師としての活動が活発ではなかった文、二人は自分の拠点を持ったことがないうえに別の魔術師の拠点に足を踏み入れるということもかなり限られていた。


何人かの拠点を見せてもらったが普通に一人暮らししている場所を拠点にしているものが多く、拠点として特別な使い方をしているものというのは少なかったのだ。


「たいていは魔術師としての活動をする基盤です。魔術師としての活動によってその用途は変わりますね。例えばうちの師匠であれば魔術師として商売をしているのでその倉庫を兼ねています」


「・・・あぁ、そういえばうちの師匠はそういう人でしたっけ」


小百合は基本的に戦闘特化の魔術師であるために魔術師としての商売をしているという前提条件を忘れそうになる。


時折商品の納品の依頼が来たりするが、小百合が動くことがほとんどないために忘れかけていた。


「魔術師としての活動はその魔術師の軸とでもいうべきものです。その行動を中心にするのですから、それらが円滑に進められるような拠点を持つのが良いでしょう」


「・・・私たちの場合は・・・どうするべきなんでしょうか・・・?ぶっちゃけ魔術師としての活動って言われても・・・」


現段階では康太と文はまだ修業段階であるために魔術師としての活動をしているとはいいがたい。

それでも強いて挙げるとすれば、協会を中心に依頼を受けるトラブルバスター的な魔術師というべきだろうか。


「現段階でわからないということであればひとまず汎用性の高い場所を押さえておくべきでしょうね。倉庫代わりになる部屋があり、会議室にできる部屋があり、寝泊まりできる部屋があり、食事などもできる、まぁ普通の一軒家とまでは言いませんが3LDKくらいの部屋が理想でしょうか」


「高校生の二人暮らしで3LDKですか・・・」


高校生の身分でそのような部屋を用意するというのはなかなかにハードルが高いように思えた。


都市部から離れていても月に十万以上は家賃として必要になる。駐車場なども用意すればさらにかさむことだろう。


いくら二人が資金面で恵まれているとはいえ限度があるように思えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ