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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十話「映し繋がる呪いの道」

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援軍

康太が魔術師から逃げ出したころ、文と倉敷は教会にたどり着こうとしていた。


康太が言っていたように教会での待ち伏せを十分に警戒していると、康太の予想通り数人の魔術師がその場にいるのを見つけることができた。


可能ならば排除したいところではあるが、教会周りで派手な戦闘をするわけにもいかない。教会に被害が出るのもそうだが、周りの建物に被害を与えてしまう可能性もあるのだ。


「どうするよ、強引にでも突破するか?」


「ダメよ、どっちにしろ門をつないでもらうのに少し時間がかかるんだから・・・あそこにいる連中は倒さないと・・・」


そんなことを話していると教会の中から二人ほど魔術師が現れる。さらに新手かと歯噛みしていると、その二人の魔術師は周囲にたむろしていた魔術師たちに唐突に攻撃を仕掛けていた。


一人は棒状の武器を操り、一人は高速で動く球体を操り周囲にいた魔術師たちを一掃していく。


仲間割れだろうか。そんなことを考えて文がその二人を詳細に索敵しようとするとあの二人が敵ではないという確信を得る。


「こんなに早く駆けつけてくれるなんてね・・・今度何かご馳走しないと」


「なんだ?あれはこっちの援軍か?」


「そうよ。さすがの手際だと感心するわ・・・手際が良すぎて怖いくらいよ」


そう言いながら文は周囲を警戒しながら教会に近づいていく。文の存在を認めたのか、二人の魔術師がこちらを向いて手を振ってくる。


「ベルさん、ご無事で何よりです。周りの人たちは敵という認識で間違いありませんでしたか?」


文のもとに駆け寄ってきたのは康太の兄弟子である真理だった。そしてそこから数歩遅れてアリスもやってくる。


文が移動中にメールで救援を要請したのはアリスだったが、どうやらメールを受け取った時、近くに真理がいたのだろう。


ちょうどいいということで連れてきたのだろうと文は理解しながらもアリスがため息をついているのを見逃さなかった。


「いきなりこやつが周りの奴らを攻撃しだした時は肝が冷えたぞ・・・何の宣告もなく先制攻撃とは・・・やはりあ奴の一番弟子ということかの」


「失礼なことを言いますね。状況から判断して彼らが敵であると判断しただけの話ですよ。そしてどうやらそれは正解だったようですから結果オーライです」


そう言いながら彼女は持っていた三節棍を軽く振り回しながら仮面の上からでもわかるほどの笑みを浮かべる。


メールで状況を聞き、教会に到着して周囲になぜか魔術師たちがたむろしているのを確認して、即座に彼らが敵であると判断し容赦のない先制攻撃。


なるほど小百合の弟子だと文は納得してしまう。


康太はまだ最初の段階で会話を挟もうとするあたり、まだ躊躇が目立つが真理にそれはない。


伝聞での状況判断でも、即座に相手が敵であるという判断を下せる。今回は文たちの身の危険も迫っていたということもあってだいぶ攻撃的になったのかもしれないが、それにしても早かった。


文が真理とアリスの姿を確認してからおよそ数秒、たった数秒で周囲にいた魔術師たちは殲滅されてしまったのだ。


彼らがどの程度の実力を持っていたのかは不明だし、アリスがどの程度干渉したのかはわからない。


不意打ちということもあって攻撃が通りやすかったというのもあるのだろう。だが真理とアリスが協力するとこれだけの人数を十秒程度で一掃できるという事実に文と倉敷は戦慄していた。


さすがは康太の兄弟子だとほめたくなる。だが褒めるのは康太が無事に戻ってきてからだと文は康太のいるであろう方向に目を向ける。


「ベルさん、とりあえずメールで大まかに状況は把握していますが、現在の状況を教えていただいてもいいですか?ビーの姿が見えませんが・・・今は別行動中ですか?」


「はい・・・援軍が何度か来た後、ビー曰くクラリスさんと似た気配をしてる魔術師が来まして・・・ビーはそいつの足止めをしてます」


「・・・ほう・・・師匠と似た気配・・・ですか」


文の説明に真理は先ほど文が視線を向けた先に目を向ける。おそらくは山の向こうにいると思われるその魔術師の存在を探ろうとしているのだろう。


とはいえ距離が遠すぎるせいでその存在を感知することはできないようだった。


だが今文は真理の本質を見た気がした。普段温厚だからこそあまり目立たないが、真理もある意味好戦的なのだ。


小百合と似たような気配を持っているという魔術師に純粋に興味がわいたのはこの態度を見る限り間違いなさそうだった。


「ビーはどうすると?」


「基本撤退を視野に入れているようでした。勝てない相手に戦いを挑み続けるとも思えませんし・・・」


「そうですね、ビーはそれほど考えなしではありません。ビーと別れたのはどれほど前ですか?」


「えっと・・・それほど経過はしてませんが・・・もう二十分くらい経ってます」


「・・・ならおそらくはすでに脱出し、こちらに向かってきているといったところでしょうか。今のうちに状況を正確に教えていただいてよろしいですか?それと、一緒に連れてきたその人のことも」


そう言って真理の視線は文が一応捕まえてきた小柄な魔術師に移る。ウィルに包まれる形で捕縛されたその魔術師のことも含め、文は一から真理に説明することにした。


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