表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十話「映し繋がる呪いの道」
890/1515

攻撃攻撃攻撃

康太が空中に逃げたことを確認すると、魔術師は風を操って康太の周りに乱気流を作り出していた。


上空で満足に動くことを許さないつもりか、乱気流の中に康太を閉じ込めようとしているようだった。


「少しは休ませてくれよ・・・!ど畜生め!」


康太は再現の魔術で疑似的に足場を作り出すと地面に向けて跳躍し、自身の体を押し出すように暴風の魔術を発動する。


乱気流につかまりかけた康太の体を地面に押し出し、康太は何とか地面に降り立つことができたが、それを待ち構えていたかのように炎の波が地面を這うように襲い掛かってきていた。


瞬時に体をエンチャントで覆いこみ、ダメージを軽減すると同時に噴出の魔術を使って真横に移動して炎の波を回避する。


多少熱いがこの程度であれば康太にとってはダメージにはならない。伊達に真理との訓練をしていない。火属性の魔術に関してはある程度対策だって練っているのだ。


とはいえウィルを文たちに預けたのは失敗だったなと康太は内心舌打ちしていた。


ウィルの体があればある程度の炎は無力化できる。


だが康太の自力での防御能力では無属性のエンチャントで膜を張る程度しか手段がない。高い威力を有する火の魔術を相手にするのには少々心もとない。


その証拠に膜の防御能力を若干超えているのか、炎は康太に確実に熱を伝えている。これでウィルとの併用だったら確実に防御できていたのだがと今更ながらの後悔を引きずりながら康太は対策を考えていた。


風に乗せて威力を上げながら襲い掛かる炎を康太は噴射や再現、肉体強化の魔術を駆使しながら回避していた。


それでも広範囲で襲い掛かる炎を回避しきることはできない。最低限の防御としてエンチャントを使用しているが、このままではじり貧になるのは目に見えていた。


相手の攻撃の合間に再現の魔術によって槍の投擲などを放つが、相手も康太が無属性の魔術で攻撃してくることを予測していたのか完全に障壁によって防御している。


風によってこちらの動きを阻害し、さらに炎の威力も上げる。康太の回避が追い付かなくなるのは時間の問題だ。対して康太はいまだあの障壁を破る手段がない。


風と炎が組み合わさるとここまで厄介になるのかと康太は眉をひそめていた。康太も使える属性のはずなのにこうまで差を見せつけられると情けなささえ感じてくる。


とはいえ康太だって何の突破口もなく避け続けているわけではない。その証拠に康太たちのもとに一滴の水が落ちてきた。


そしてそのしずくは数を増やしていく。二つ、四つ、八つとどんどんその数を増やしていき、やがてその雫の群れは雨となってあたりを包んでいた。


この辺りはもとより倉敷の術によって大量の水気を含んでいた。大気中だけではなく、地面にも大量の水分が含まれている。さらに言えば先ほど倉敷が残りの魔力を費やして作った防壁によって大量の水蒸気も作り出されていた。


そんな中あたりを埋め尽くすような炎が作られれば上昇気流も発生する。そして上空で冷やされた水分を含んだ空気は雲となり、雨となって再び落ちてきた。


急激な水分の上昇と温度の変化に、ゆっくりと降っていた雨はやがて豪雨となっていた。


そんなことは気にしていないかのような魔術師の炎は風に乗って威力を増すが、先ほどまでの勢いはない。


威力は二割減といったところだろうか。


水分を多量に含んだ、そして今なお増え続ける水気に対して風と炎では威力の維持ができなくなってきている。


倉敷を連れてきて本当によかったと心の底から思いながら康太は槍を構える。


「さぁ今度はこっちの番だ・・・!覚悟しろよハーフ&ハーフ!」


相手の炎が弱まっている中、康太は一気に距離を詰める。相手も康太を近づけない様に風の魔術を放つが康太は暴風の魔術を用いてその風を打ち消す。


そして風の魔術を放つと同時に魔術師は康太の体を覆いつくすように炎を繰り出す。周りの雨によって減衰することも厭わないというような広範囲の炎に、康太は目の前に旋風の魔術を発動する。


小さな竜巻は足元、そして空気中にある水を集めるように空中を旋回し始める。そして康太はたまった水をぶつけるように暴風の魔術を発動し目の前に迫る炎にぶつけた。


雨によってただでさえ威力が減衰していた炎に、集められた水によってさらに威力は減衰されてしまう。


康太は即座にエンチャントの魔術で体を覆いこむと、噴出の魔術を槍と足に使って一気に加速した。


炎の壁を突き破り襲い掛かる康太に相手の魔術師は初手で放った炎の砲弾を繰り出してくる。


康太が突っ込んだその軌道に沿うように、康太が突っ込んでくることがわかっていたとでもいうかのように。


だが康太もその攻撃を予期していた。噴出の魔術を維持しながら、康太は収束の魔術を発動する。


康太に向かって一直線に向かってきていた炎の弾丸は急にその方向を変えて直撃コースから大きく外れる。


そして槍とともに突っ込むと同時に装甲の中に仕込まれていた鉄球を一度に射出し、収束の魔術を用いて一斉に多角的な攻撃を叩き込む。


槍に加え鉄球の同時攻撃。この攻撃に対して魔術師は全方位に対して有効な球体の障壁を展開し防御して見せた。


その瞬間、康太は噴出の魔術を止め、地面に足を突くと大きく踏み込み槍の突きを繰り出し、その動作を拡大する。


一点突破、その言葉の通り、球体の一か所に向けて放たれた槍の突きは障壁を貫いて魔術師の体へと襲い掛かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ