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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十話「映し繋がる呪いの道」
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康太の訓練

「さて・・・では私のほうからの授業は以上となる。では次は君たちにそれぞれを教えてもらえるかな?」


「わかりました。じゃあまずどっちから行く?」


「そうね・・・戦闘方法か応用方法か・・・ある程度戦闘方法の基礎を教えれば応用方法がわかっても練習できるかしらね?」


文の提案に康太は了承し、まずは戦闘に対する基礎の基礎から教えることにした。


康太が行ってきた戦闘技術における基礎、それを教えなければその後の話をしても無駄もいいところだ。


応用よりもまずは基礎、康太は取り合えず講師役を治久から引き継いで戦闘における基礎学を行うことにした。


「えー・・・では俺が師匠から教わった戦闘の基礎、そしてその訓練法を伝授しようと思います。って言っても俺自身教えることはあんまり得意ではないと思うので実地を含めてやっていこうと思います」


実地、戦闘における実際の訓練ということで治久、そして同じくそれを聞いている双子も康太の講義に耳を傾け、わずかにその身を強張らせていた。


実際に戦闘行動を行うのかと思っていたようだが、基礎中の基礎であればそのようなことはしない。


康太だって何も最初から小百合に戦いながら教わっていたわけではないのだ。もっともそういった時期のほうが長いのは間違いないのだが。


「ではまずそれぞれが一番得意とする魔術を発動する準備をしてください。何でも構いません、一番扱いやすい魔術をお願いします」


個人によっての相性もあるためにどの魔術という風に限定することはない。まずはもっとも扱いやすい魔術から入るのが基本だ。


それぞれが自分のもっとも使いやすい魔術を決め、いつでも発動できる準備をすると、康太は次に少し悩んでから晴と明のほうを見る。


「晴、明、二人とも今ゲーム持ってるか?通信対戦できる奴」


「え?あ・・・はい。持ってます」


「何のゲームだ?」


「格闘ゲームですけど・・・」


いきなりゲームについて聞かれた晴と明は困惑しつつも自分たちが持っている携帯ゲーム機を取り出す。


どのような種類のゲームが入っているのかは重要ではない。重要なのは対戦ができるという点である。


「よし、じゃあそれを起動して対戦モードにしてくれ。まずは一人ずつ体験してもらおう。さっそく対戦してもらうぞ?」


「えっと・・・あの・・・魔術の訓練なんですよね?」


「そうだぞ。ほれさっさと起動しなさい」


康太に催促されて晴と明は自分たちが持っていたゲームを起動し、いつでも対戦ができるような状態にする。


そして一つを康太が、一つを晴が持った状態で通信対戦を開始した。


「では晴、さっき言った一番得意な魔術を発動しながら俺と対戦してもらうぞ」


「え?魔術発動しながらですか?」


「そうだ。常に発動し続けろ、発動を止めることは許さない。もちろん俺も発動するぞ。俺はそうだな・・・風おこしでもしてるか」


そういって康太は微風の魔術を発動する。康太が所有している魔術の中では練度は低いほうだがそれでもゲームを扱いながらでも発動できるように訓練はしている。


「これは俺も初めてのゲームだからな・・・さて、勝てるかな・・・?ほれほれ」


「ちょっ!まっ!んあぁ!」


晴が発動したのは念動力の魔術だった。オーソドックスな魔術であるために驚かなかったが、長机の上に置いてあった筆記用具の一つを常に浮かせ続けているもののその制御は安定しない。


途中落下しかけたり、不意に変な方向へ飛んでいきそうになったりと散々なものだ。


さらに言えばゲームのほうもボロボロだった。うまく指を操作できないのか初めて康太がやるゲームにもかかわらず康太に惨敗していた。


その間にも康太は常に風を起こし続けていた。明はその様子を見て晴を情けなさそうに見ていたが、治久はこの訓練が何を意味しているのかを理解したようだった。


「さて、治久さんはわかったようですが、明、この訓練の意図はなんだ?」


「え?えっと・・・魔術をよりうまく操れるようにする・・・ですか?」


「正解に近い。では治久さん」


「肉弾戦を行いながらも魔術を使えるようにする訓練だね?体を使いながらも同時に魔術を使えるようにするその基礎編といったところかな?」


完璧な治久の回答にその通りですと康太は大きくうなずく。


魔術は感覚などによって操ることができる。そして魔術はその練度が高ければ高いほどに操りやすくなる。


だが一つ気をつけなければいけないことがある。人間は違うことを同時に行うことに多大な処理能力を必要とするのだ。


例えば右手と左手を同時に全く違う動きをするだけでかなり苦労する。楽器をたしなむ人間はまず右手と左手、場合によっては左右の足さえもを全く独立した動きができるように訓練するのだという。


普段使っている体でさえ多大な訓練を必要とするのだ。それが魔術もプラスされるとなればその難易度は計り知れない。


慣れればどうということはないのだが、実際にやってみないことには慣れることはない。実際に体と魔術を全く違う形で動かすというのは難しいのだ。


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