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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
十八話「張り付いた素顔と仮面の表情」
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仮面の聞き込み

「というわけなんですけど・・・姉さんのほうでもちょっと聞き込みしてみてくれませんか?」


「これはまた独創的な仮面ですね・・・この人が今回の噂の大本・・・原因というわけですか・・・」


小百合を探していると思われる人物の話は真理も知っている。そのために話は早かったが康太が提示した仮面の絵を見て真理は不思議そうに首をかしげてしまっていた。


この反応を見る限り真理も初めて見た仮面だったのだろう。真理が見たことがないということは協会内での活動はあまりしていないタイプだろうかと康太は眉をひそめていた。


真理はそれなりに協会に顔を出している。小百合の事件の後始末という形ではあるがそれなりに顔も広い。


仮面が特徴的すぎるという点もあり、彼女が記憶にないとなるとおそらく協会内で偶然遭遇するというのはもはやあきらめたほうがいいのではないかと思えてしまう。


「姉さんも見たことありませんか」


「ないですね。こんな特徴的な仮面であれば間違いなく覚えているはずです。よほどの暗闇でもない限りこの色合いは忘れませんよ」


仮面を色ではなく形で判別するほどの暗闇、あるいは逆光の状態でもない限りこの仮面を見て忘れてしまうということは考えにくい。


それほどまでに悪趣味、とまでは言わずとも特徴的な配色をした仮面なのだ。記憶力にはそれなりに自信のある真理が断言できるほど彼女の記憶の中にこの仮面に遭遇した記憶は存在しなかった。


「となると幸彦さんも同様ですかね・・・これは探すのが厄介になってきましたよ・・・っていうか探せるのかも怪しくなってきました・・・」


「ふむ・・・殺人を犯すだけの相手です。おそらくは第二第三の仮面として身に着けている可能性は高いでしょう。現場系の人間ならば知っている可能性は高いですよ?」


「・・・やっぱり姉さんもそう思いますか?この仮面は普段用じゃないって」


「思いますね。そもそも、話を聞く限りその堤という方の奥さんが魔術師であったのならなおさらその可能性は高いです。家にまで押しかけて殺しているのですから」


魔術師からすれば仮面というのは個人を判別するためのものだ。魔術師の顔といってもいい存在である。

その仮面をつけた状態でなにかすればだれがやったということは当然広まっていくことだろう。


逆に言えば、その仮面さえ偽装してしまえば何か特別な行動をしてもばれる可能性は低くなる。


無論しっかりと索敵をしている人間などは仮面程度では騙されない。個人の特徴をしっかりと記憶しているため、仮面の変化に惑わされることなく個人を判別することができるだろう。


そのような人間ばかりであれば仮面を付け替えることに意味などなかったのだが、良くも悪くも仮面をつけることが常識的になりつつある現代魔術師の中で仮面で見分けるのが最もたやすく確実な方法になっているのも確かだ。


今回のように人を殺すほどの行動を起こしている魔術師が仮面の付け替えを行っていないとは思えない。


これが例えばどこか戦いに適した場所などであったなら、魔術師としての戦闘中の事故という可能性もあったのだが家に押しかけてまで殺しているとなると間違いなく計画的な犯行だろう。


仮面の付け替えを行った可能性がどんどん高くなる中で、康太は現場色の強い人間と言われて思い当たるあてがあまりなかった。


幸彦がそれに当てはまるかもしれないが、彼も協会内での現場に限られるうえにそのような極限の状況にいたという話はあまり聞かない。


一応話をするつもりではいるが、あまり有力な情報は期待はできないなと康太はため息をついてた。


「情報源が限られてきましたね・・・そうなってくると協会が調べてくる魔術師の手がかりだよりって感じですか・・・いきなり行き詰ったなぁ・・・」


「・・・一応ですが師匠にも話を聞いてみたらどうですか?今回の件に関わりがないというわけではないですし・・・というかむしろ話のほぼ中心にいた方ですし」


「えー・・・?でも仮にであったことがあったとして師匠が相手の仮面なんて覚えてますかね・・・?見せたとしても『なんだそれは』で終わらせそうな気がするんですけど」


「んー・・・否定できないというところが何とも・・・でも一応見せておいて損はないと思いますよ。本人しかわからないことはありますから」


小百合の一番弟子である真理としては、康太の言うような反応をするということが目に見えるようであるが、今回の中心にほど近い位置にいる小百合に話を聞くのは決して間違っていることではない。


何せ今回の相手、この特徴的な仮面をつけている者はどういう理由か小百合をスケープゴートに仕立て上げたのだ。


その理由までは不明だが、小百合のことを知っている、何らかの関わりがある人物であると考えていい。


問題はどの程度、どのくらい関わりがありどのような内容だったかということなのだが、そのあたりは直接会ってみないことには分りようがない。


とりあえず聞くだけは聞いてみていいでしょうと真理に促されて小百合のいる居間に向かうことにする康太。


小百合に話を聞くなどほとんど無駄に近いことだというのにと康太は話を聞く前からあきらめてしまっていたが、覚えている可能性も万に一つくらいはあり得るかもしれないとほんのわずかな期待を込めて聞いてみることにした。


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