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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
十五話「夢にまで見るその背中」

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三人の位置

康太たちは自分たちが倒した魔術師たちを集め、彼らの拠点にやってきていた。そこは少し広めの倉庫のような場所だった。


この辺りの自治体の管理下にあるのだろうが長年使われていないのか出入り口はだいぶ劣化していてまともに手が加わった様子もない。


だがそれは外見上の話で、中は魔術師の使いやすいようにある程度改装されていた。


といっても万が一にも開けられ、なおかつ魔術のことが露見しないように最低限のものしか置かれていない。


そこは普通に魔術師として最低限の分をわきまえているというべきか。


「案外片付いてるわね・・・七人・・・いや八人いるにはちょっと手狭だけど」


「全員がこの場にいつもいるってわけじゃなかったんだろ。ちなみにベル、この場所になんか違和感は感じるか?」


この地域にとどまる、あるいはこの地域に来るだけの理由がこの拠点にあるのであれば文が何らかの違和感を感じ取れるのではないかと思ったのだが、文はゆっくりと首を横に振る。


「ダメね、グループ全員が共通してこの場所に魅力を感じてるならまだよかったんだけど・・・どうやらそういうわけでもないみたい」


「そうか・・・じゃあ全員にいろいろと細工をしたってことなのか・・・あるいは強制的に連れてきてこの場所以外にはいけないようにしたかってところか・・・」


「可能性としてはあるわね。この人たちがどういう事情でこの場所にやってきたのかはわからないけど」


以前のように拠点をなにものかに奪われて仕方なくこの場所にやってきたのか、あるいはこの場所に強い魅力を感じてやってきたのか、どちらかによってこれからの対応は大きく変わる。


何せこれだけの数の魔術師だ。実際に手を合わせてわかったが個人における戦闘能力はそこまで高くないが、しっかりと連携をして戦えるタイプの魔術師たちだ。


状況を読むのにも長けており、相手に対して有利な状況を作ることを得意としているように思えた。


おそらく拠点防衛といった状況ならばその傾向はさらに強くなるだろう。


常に全員が参加できるというわけではないだろうが、彼らを倒すのはおそらくかなり苦労する。


特に戦闘に長けたものがいないと難しいだろう。しかも一人で彼らに立ち向かうのであれば康太以上、おそらく小百合クラスの実力者がいないと難しい。


しかも彼らの状態を見るに、ほぼ殺傷せず拠点だけを奪うということは相当な実力者でなければできないことだ。


殺すことは難しくなくとも、殺さずに無力化するとなるとその難易度は跳ね上がる。今回康太が相手にあまり遠慮をしなかったからこそ早々に倒せたわけで、これで彼らに話を聞くことを前提に無力化することを想定していたら勝負がどのように展開していたかはわからない。


「もし戦って負けた結果こっちに来たのなら面倒なことになるわね。今まで想定してたような規模の敵じゃなくなるわよ」


「あるいはめっちゃ強い相手がいるかとかだな。七対一でも勝てるだけの強さを持った奴か、あるいはある程度数は少なくても実力のある奴らか」


「どっちにしても面倒ね・・・本格的に私やあんたの師匠への協力を打診したほうがいいレベルかもしれないわ」


「・・・うちの師匠が出張るとそれだけで面倒ごとのレベルが跳ね上がるんだけど・・・それはどうなんだろうな」


そこはもう仕方ないわよと文はため息をつく。実際そうでもしないとどうにもならない状態になるかもしれないのだ。


相手の実力を把握できていない以上、多少過剰かもしれないがある程度戦力を整えておくに越したことはない。


すべては彼らの証言次第だが、これから敵対するかもしれない勢力がどの程度のものになるか康太たちは全く予想できずにいた。


「少なくとも暗示・・・っていうか感性を操作できる魔術師がいるのは確定・・・あとは戦闘面でどれだけ立ち回ることができる魔術師がいるかだな・・・」


「ただ雇ってるだけなのか、それとも本格的に仲間なのか・・・支部長がまた頭を抱えそうね」


どちらにしても面倒なことに変わりはない。仮に金で雇っているだけの一時的な関係であっても、それだけの実力を有している魔術師がいることに間違いはないのだ。


しかも戦闘によって彼らをこの場に動かしたのではないとしても、七人に対して同時に感性を操作できるだけの実力を持った魔術師となるとそれはそれで厄介である。


実力的には支部内でも指折り、もしかしたら本部に所属するようなタイプの魔術師になるかもしれない。


アリスにそのあたりの実力を確認しておく必要がありそうだなと思いながら康太たちは拠点となっている倉庫の一角に魔術師たちを集めると拘束した状態で彼らを起こすことにした。


康太の持っていたワイヤーで手と足を縛り付けた状態である。しかもそれに隠れて実はウィルの一部を使って拘束もしてある。この状態でおこせば、仮に魔術でワイヤーを切断して脱出されてもすぐに対応できる。


ただウィルの体積のすべてを拘束具にしてしまっているために、文はもう立つこともままならない状態だ。


よって近くにあった椅子に座っている。今回は文がトップであるため、雰囲気を出すために康太と倉敷はその両脇を固める形で待機していた。


椅子に座った状態の文はまるで二人を従えているように見えるだろう。


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