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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
十五話「夢にまで見るその背中」

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事情説明と選出理由

「なるほど・・・今回の依頼は君たちが受けるんだね」


「はい・・・師匠が私に回してきた形ですね。ビーは補助に回ります」


「そうだね、現地の魔術師たちと何かしらのアクションがあるだろうし、君たちならある程度はこなせるだろう」


康太と文は依頼を受けると決まったことを報告すると同時に情報収集を行おうと支部長のもとを訪れていた。


支部長は相変わらず書類に囲まれており、奏と同じくらいいつ休んでいるのかわからないほどの頻度でこの場所にいることに少しだけ不安を覚えながらも話を先に進めることにした。


「とりあえず今回の地域の詳細やその場所にいる魔術師のデータをあるだけいただきたいです。もちろん出せるだけのデータでかまいません」


魔術師のものとはいえ個人のデータを管理している支部に個人のデータをよこせといっても難しいのはよくわかっている。


管理している機関がそう易々と情報を明け渡してしまっては管理という意味を問われてしまう。だから文としてもあまり強くデータの開示を求めることはできなかった。


「そういってくれると助かるよ・・・そうだね・・・とりあえず現地を拠点にしている魔術師の名前と、最低限の特徴くらいは教えるよ。そうしないと準備も対策もできなさそうだからね」


「ありがとうございます。それで今回の場所なんですけど・・・」


「えっと・・・妙に活動してる魔術師が増えてるのは大分県なんだよね」


大分県というと九州地方の都市だ。今まで向かった場所としては日本の中では一番遠い場所となる。


日本全体の統括をしている支部としては日本全土の問題を抱える日本支部であるがゆえに仕方がないと思えるが、日本の北から南まですべて管理しなければいけないのはかなりつらいところだろう。


「大分っていうと何が有名だ?なんかポンと浮かんでこないんだけど・・・」


「そういわれると確かに・・・まぁ土産物の話は置いておいて・・・そうなってくると協会の門は使用しなきゃいけないわね・・・支部長、そのあたりはお願いできますか?」


「構わないよ。話は通しておこう」


「あと支部長、協会内でその場所の噂とか聞かないんですか?それだけの人数が行ってるってなると何かしらあるでしょう」


康太の疑問はもっともだ。それだけ魔術師が動いているとなるとある程度噂になっていても不思議はない。


もちろん噂をすべて鵜呑みにするわけにはいかないが、ある程度の情報源になることだろう。


康太の言葉に支部長はそれなんだよねぇと困ったような声を上げている。


「今回調査をする原因でもあるんだけどさ・・・魔術師たちが多くその場所に移動し始めたっていうのは野次馬根性的なものもいると思うんだよね・・・まずはそのあたりの選別をしないといけないかもしれないんだよ・・・」


「あー・・・ほかの魔術師たちが足を運んでるから何かあるんじゃないかって思ってその場所に行ってる魔術師がいるかもってことですか」


「そうなんだよ・・・噂が噂を呼んでる感じがあるから真偽が定かじゃなくてさ・・・僕の部下もいろいろ探ってるんだけど・・・やっぱり僕の直轄の人間だとある程度警戒されちゃうんだよね」


ただの魔術師が調べるならばまだしも、支部長直轄の人間が噂話を調べているとなると話を聞かれたものも警戒してしまうだろう。そのため話の真偽が定かではなくなってしまうのだ。


もともと噂話に信憑性を求めるのもどうかと思うが、それほどまでに情報がない状態になってしまっているのだ。支部長がこうして外部の人間に依頼を出しているのがいい証拠かもしれない。


「それなら私たちだけじゃなくて他にも魔術師を動かしたほうがいいんじゃないですか?支部長ならほかにもいろいろと繋がりありますよね?」


「あるにはあるけどね・・・あまり大々的に動かすのは良くないと思うんだよ。信頼できる魔術師っていうのも結構少ないからさ・・・正直なところエアリスのところに依頼を出すのもだいぶ迷ったんだよ」


「そうだったんですか・・・ちなみに師匠を選出した理由は?」


「どこかの誰かと違って確実に調べ物をしてくれそうだからね。彼女の場合多忙だから彼女が信頼する誰かに頼むだろうとは思っていたけど」


支部長の言う誰かというのが康太の師匠である小百合のことを指しているということは容易に想像できた。


さすがに調査メインの仕事で小百合を選出するほど支部長はバカではなかったらしい。というか小百合にこの仕事を任せたら現地にいる魔術師全員を締め上げて話を聞きかねない勢いになるだろう。


そんなものは調査とは言わない。ただのいじめだ。


「まぁそんなわけさ・・・なのである程度内密に調べてくれると嬉しいな・・・君たちの場合内密っていうのは難しいかもしれないけど」


「・・・なおさら私たちが動かないほうがいいんじゃ・・・ある程度秘匿性のある人に頼んだほうがよくないですか?」


「信頼できる人で実力もあって秘匿性もあるっていうのは難しいもんだよ。それならある程度有名なのは目をつぶる。そう考えると君たちは比較的ベターな選択肢だと思ってるよ」


康太は小百合の弟子という意味でも封印指定がらみの件でもある程度有名になっている。文もエアリスこと春奈の弟子、そして康太とともに行動しているということである程度名は売れている。それでも任せるだけの価値はあると支部長は判断したようだ。これは張り切らなければならないなと康太と文は内心意気込んでいた。


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