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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
十五話「夢にまで見るその背中」

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女のデリケートな部分

「でもさ、女の子のデリケートな問題って何よ?よく聞くのは化粧とかそんな感じか?」


「化粧って・・・そもそも学生の頃にそんなことするか?大学生ならともかくさ」


「割と学生の段階で化粧してる人っているんじゃないの?どれくらいいるのかはちょっとわからないけどさ」


男子である三人はほとんど化粧などとは無縁の生活を行っているためにそういった事情には全くと言っていいほど知識がない。


知っている単語といえばファンデーションや化粧水などのごくごく一般的かつ常識的なものだけだ。しかも単語を知っているだけでそれを何に使うのかは全く知らないのが三人の実情である。


確かに女子特有のデリケートな問題という意味では間違っていないのかもしれないが、微妙にずれているのは間違いないだろう。


「仮に化粧のことを言及しただけでデリカシーないとか言われるか?むしろ意見ほしいと思うんだけど」


「そこがデリケートなんじゃない?実は聞いてほしいけど自分からは言えないからちょっとアピールする的な」


「あぁ、乙女心ってやつか。いわゆる察しろって感じだな。めんどくせ」


「そういわないの。そういう駆け引き?が恋愛の楽しみなんじゃない?」


「お、まるで恋愛のことを知り尽くしたかのようなお言葉。この中で一番こういう話題に強いのは島村か?」


「きっとこいつみたいに乙女心を理解すればモテるようになるんだな。一日一時間の講座を受けるだけで明日からは両手に花の生活があなたのもの!」


「まじか、先輩お願いしますよ、俺らに乙女心ってやつを教えてくださいよ、俺モテたいんですよ」


「すんごい胡散臭いセミナー始まったね。いややらないからね?」


乙女心などというよくわからないものに対して語れることなどたかが知れている。島村だってそこまで女性経験があるというわけではないのだ。


少なくとも今まで誰かと付き合ったりなどとしたことはない。女友達なら何人かいるが彼にとって付き合う対象ではないのは間違いないのだ。


「冗談はさておき、あとデリケートな問題って言ったらなんだ?肌荒れ?」


「それもよく聞くよな。あとは髪の枝毛とか」


「え?枝毛なんか気にする?ていうかどうやって見つけるのさ」


「いや知らないけど・・・女子独特の観察眼で発見するんじゃないのか?ほら、男子には見えない特殊な眼力で」


「え?女子って男子と違う目でも持ってるわけ?」


女子と男子で見えているものが違うかどうかはさておいて、男子からしたらどうでもいいと思えるようなことで女子は一喜一憂する。


もちろんその逆もしかりなのだが、男子高校生である彼らに女子の悩みの何たるかを話したところで何の意味もないだろう。


少なくともこの場で理解できないのは間違いない。理解するには三人ともあまりにも女性経験が少ないのだ。


「あとは何だろうな・・・やっぱあれだな、デリケートといえばこれは外せないだろ」


「これ?」


「ほら、女子にはあるだろ?男子にはないもの、体調に直接かかわってくる」


「あぁ生理か」


青山が可能な限りオブラートに包もうとしていたものを康太があっさりといったことで青山は周囲に気を配って動揺し始める。


ほかのクラスメートや女子が聞いていないかと勘ぐっているのだ。昼食時にする話ではないうえに周りに大量にいる同じクラスのクラスメートにどんな目で見られるか分かったものではない。


もはやいまさらというような感じがするがその点に関しては置いておこう。


「ものすごくはっきり言ったね・・・そういうの照れないの?」


「なんで照れるんだよ。生理現象で照れてどうするんだよ。いやまぁ授業中に盛大に放屁したとかなら恥ずかしがってもいいかもだけどさ・・・」


「いやいやそれはそれでいろいろと犠牲にしそうだけど、女子の月一のあれのことをそこまではっきり言うか?ていうかよく平気でいられるな」


「なんで?ってそうか、お前ら女姉弟いないのか。女姉弟がいるとこういうの結構当たり前になるぞ?」


姉や妹のいない青山と島村はそうなの?と顔を見合わせる。個人の感想であるために絶対とは言えないが、ある程度女性の体について知識が付くというのは否定できない。


特に授業などで得た知識でしか知らない生理などの情報を日常的に得ているのだ。女姉弟のいないものからすれば目の前に教科書や参考書が存在しているようなものなのだから認識が変わってくるのも仕方がないのかもわからない。


「やっぱ女姉弟っていいよなぁ・・・あれだろ?子供の頃にいろいろ教えあったりとかしたんだろ?」


「妹とかいいよね。でもやっぱ姉のほうがいいかな。いろいろ頼りになりそうだし」


「・・・いやお前ら女姉弟を甘く見てるぞ。絶対いないほうがいい。あんなの理不尽の塊だからな?」


実際に姉のいる康太からすれば姉などいなければよかったと何度思ったことか。思い出せば出すほどにいら立ちが募っていく。康太にとって姉とは小百合以上に理不尽の塊だったのだ。


まだ小百合のほうがましだと思えるほどに。小百合を比較対象にする時点でだいぶ人格的にあれな気がするが、康太は姉のことを擁護するつもりはさらさらなかった。


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