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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
十五話「夢にまで見るその背中」

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話の脱線

「・・・子育てってどうやってやったらいいんだろうな・・・?」


場所は三鳥高校、昼休みの時間に康太は弁当を食べながら同級生の青山や島村とともに話をしているときにそんなことをつぶやいた。


「どうしたの八篠?そんなマリッジブルーのお母さんみたいなこと言って・・・」


「なんだ、お前子供産むのか?おめでたか?それともだれか孕ませたか!?いつの間に相手作ったんだこの野郎!」


「そうなの!?八篠見かけによらず結構やるね・・・今度紹介してよ。名前付けるときは一枚かませてほしいな」


「たった一言でなんだお前たちのその反応は・・・ていうか青山は過剰すぎ」


何とはなしにつぶやいたのにここまで反応するとは思わなかったために康太はあきれるとともに驚いていた。


確かに高校一年生が子育てについていきなり言及しだしたらいったい何の話だと話が展開するのも不思議ではない。


子育てなど特定の条件が重ならない限りはしないのだ。この二人がこういった反応をするのもなにも不思議はない。


「しかも俺の子じゃないしな。つーかそういう相手もいないっての」


「聞きましたか奥さん、俺の子じゃないですってよ。何やら昼ドラのにおいがしてきませんこと?」


「訳アリっぽいですわね。連れ子?それとも浮気された?どっちにしろだいぶ面倒なスメルが漂ってきますわね」


康太の発言を思いきり楽しんでいるかのように、青山と島村は喜々としてそんなことを話している。


男がする女口調は非常に気持ちが悪いなと康太は眉間にしわを寄せながら大きくため息をつくと首を横に振る。


「やめろその奥様会議。そういうんじゃないからな?断じてどろどろした展開はないからな?・・・・いや待てよ?いろいろと面倒ではあるのか・・・」


「ワーォ・・・面倒なんだってよ、これはもう親権争いとか勃発した感じだぜ?たいてい男は不利だけど・・・八篠、お前は勝ち取ったんだな」


「勝ち取れるだけ相手がひどい状態だったっていう意味ではあんまり喜べないかもしれないけどやったね八篠。しかも血のつながらない子供だろう?いろいろ捗るじゃないか」


「捗るって・・・子育て云々言うってことはそれなりの歳だぞ?島村・・・お前まさかロリコンだったのか・・・?」


「いや違うからね?そういう意味じゃないから。自分で好みの姿に育て・・・ってそもそも男の子?女の子?」


「・・・女の子だけど」


「じゃあやっぱり捗るじゃないか。今のうちからつばつけて自分の好みの女性に育て上げちゃいなよ」


「・・・お前顔に似合わず結構ゲスいよな」


なんでさ、そんなことないだろうと島村は真っ向から否定しているが、子育て云々言っている時点で対象となっている子供がだいぶ幼いことは想像に難くない。


そんな状態から異性としてみる目的でいろいろと問題だ。今の時期から育てて自分好みになどというのはある種狂気じみている。


これからは島村との交友関係を少し考えなければいけないなと思いながらも青山は話を先に進めようとしていた。


「まぁ島村の源氏物語計画はさておいてさ、実際どういうことなんだ?お前が子育てって・・・全く想像できないんだけど?」


「そうだよ、日本にははるか昔から源氏物語っていう幼女育成計画実施記録があるんだから何もおかしいことないじゃないか」


「ごめん二人とも、子育ての話にするか源氏物語の話にするかどっちかにしてくれないか?一気に話されると混乱する」


康太の言葉にそれもそうだなと青山と島村は互いに視線を合わせて拳を握る。何の合図もせずに振りかぶった拳はそれぞれパーとチョキ。島村の勝利によって話題は源氏物語の方向に進むことになった。


「やっぱり育てるならお淑やかな大和撫子系でしょ。黒髪ストレートでスレンダーな感じ。お淑やかな性格があるとなおよいよね」


「そうかぁ?俺としては活発な感じのほうがいいな。遊んでるっていう感じじゃなくて・・・なんかこう・・・スポーティな感じ?」


「あぁ、お前そういうの好きだよな。この前言ってたグラビアの・・・なんだっけ?」


「滝沢ののだな。俺の好みはまさにあんな感じ。身長とかそういうのじゃなくて引き締まってる感じがいいんだよ。筋肉質一歩手前って感じがいい」


「八篠は?実際育成するのは八篠なんだからちゃんと意見くれないと」


「そうだな・・・俺も健康的って意味でやっぱ運動はできたほうがいいと思う。筋肉質一歩手前、つくところはついて引き締まるところは引き締まる。そんな感じかな」


「ふむふむ、とりあえず三人の意見として肉質は引き締まったほうがいいってことで結論づいたね。髪型は?黒髪ストレートロングは外せないんだけど」


「えー・・・俺はショートがいいな。ちょっと外にはねてるとなおよし。スポーツやってますねって感じがいいじゃん」


「俺は黒髪は賛成だけどロングが好きかって言われると微妙なんだよな・・・二人の間をとってセミロングくらいでどうだ?」


「いやいや、ロングとセミロングじゃ絶対的に違うって。ここは譲れないよ」


「三人ともスレンダーって意味じゃ一緒なんだからここはスポーティでまとめようぜ。やっぱ短髪のほうがいい。ベリーショートとまではいわないからさ」


一度話が脱線してしまうとそれを戻すのは難しい。しかも話をそらした先がかなりの急斜面だったのだ。盛り上がってしまった会話は急には止まれない。それが男子高校生ならなおのことである。


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