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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
十二話「アリスインジャパン」

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成長の速度

「ん・・・何だ文そんなに息を切らせて」


「おおフミ。この綿あめとやらなかなかうまいな」


先に二人を見つけたのは文だった。索敵能力の高さが功を奏したのか、それとも彼女の担当した場所が良かったのか、二人はそれぞれ食べ物を手に持ちながら文化祭の出し物を見て回っているだけだった。


「いえ、二人を探してたんですよ。さすがに長時間放置しっぱなしだったんで」


そういいながら文は康太にメールで二人がいる位置を送る。予想に反して普通に学園祭を満喫している二人に対して文は安堵の息をついていた。


「あの二人はもう帰ったのか?」


「はい、何でも時間制限があったらしく」


「そうか、ならやはりお前たちと一緒にいさせて正解だったな。お前としても京都の知り合いができるというのはプラスになっただろう」


「そりゃ・・・まぁ」


師匠である小百合からいろいろとつながりを得ている康太と違って文には京都との直接的なつながりはなかった。


だが今回康太が文を紹介したことで、また魔術師としての活動の一環を見せたことで文は京都の人間につながりを得ることができた。


まだ未熟な土御門の双子ではあるがそこから魔術師としての人間関係を広げていくこともできるだろう。

全くつながりがないところに比べれば何倍もましである。


「そういえばフミよ、コータはどうしているのだ?姿が見えんが」


「あぁ、あいつなら今こっちに来てるわよ。二人を手分けして探してたのよ」


「ふむ・・・そうか、あいつの索敵はまだ範囲が狭いものな。それも仕方のない話か・・・そうなると次はどんな魔術を指導してやるべきか・・・」


文ほどではないがアリスも康太の所持している魔術に関しては把握している。それだけ康太が所持している魔術が少ないということでもあるのだが、まだ康太が魔術師として活動をし始めて二か月も経過していないころから知っている文からすれば目覚ましいとさえ思える成長度合いだった。


もっともその成長も急激かつ劇的なものではなかった。毎日コツコツ訓練を繰り返してようやくまともな魔術師になろうとしているのだ。


同盟を組んでいる身としてはその成長は好ましく、また応援したいものだった。そしてそれはアリスも同じであるらしい。


バカな子ほどかわいいという教育する側からの考えなのだろう、少しくらい抜けていたり欠点があったほうが指導する側もやる気が出るというものなのだ。


「アリス、私たちは康太の指導者ではない。あいつの師匠はあくまで小百合だ、あまり指導しすぎるのは」


「そうは言うがな、サユリとしても我々にコータを任せている節がある。特にお前さんにはしっかり指導を頼んでいるようではないか」


「それはそうだが・・・お前の実力で本気で指導したら・・・」


「わかっている。私も伊達に弟子を何人も指導してきてはいない。そのあたりの加減は任せておけ。少なくともサユリには教えられないような魔術や技術を教えていくだけにとどめよう」


奏としてもアリスとしても、そしてよく行動を共にしている文としても康太は教えがいのある魔術師だ。


学習能力が決して高いというわけではない。むしろ何度も何度も失敗を繰り返して徐々にそれらをものにしていくというタイプだ。


だが康太の学んでいる姿を見ると教えてよかったと思えるのだ。真摯に訓練に打ち込む姿や、それを着実に結果に結び付けていく姿勢は評価に値するだろう。


奏やアリスがついつい康太に余計なことを教えてしまうのも仕方のない話というものである。


そしてそのあたりを小百合は正確に把握しているのだろう。自分だけでは教えられない物事をそうやって周りの人間を使って教えさせている節がある。


以前文は康太や真理から聞いたことがある。小百合は康太を自分を超える魔術師に仕立て上げようとしていると。


素質的に小百合と康太はほぼ同格。小百合はその起源の関係から破壊にかかわる魔術しか覚えることができないが康太はそう言った制限がない。


そのため小百合に覚えられなかった魔術も問題なく覚えることができるのだ。しかも康太の本来得意とする魔術の系統は知覚に関わる魔術。


小百合の持つ破壊の魔術に加え、知覚に関わる索敵魔術を徹底的に覚えることで確かに小百合の実力を上回る可能性はある。


さらに康太の周りにはよい指導者がそろっている。


近接武器や総合的な戦闘に精通した奏、肉弾戦に秀でた幸彦、魔術の丁寧な指導に定評のある文の師匠である春奈、ありとあらゆる魔術を知り奇抜な魔術まで扱えるアリス。


これらの人員に指導されていればやがて高い実力を有することができるだろう。


実際文もその指導のおこぼれにあずかっているが、それだけでもかなり実力がついてきていると自覚できる。


「ようやく見つけた、すまん文、遅れた」


噂をすれば影とでもいうべきか、当の本人の話をしていた時にやってきた康太は若干息を切らせながら三人のもとへとやってくる。


「遅いぞ康太。文は早々に私たちを見つけたというのに」


「まだ索敵ではフミには及ぶべくもないか。課題は山積みだの」


「索敵じゃ文には勝てる気がしませんよ・・・ていうかちょっと待って、息整えたい」


おそらく索敵を張りながら全力疾走していたのだろう。狭い索敵範囲を補うために動き続けることで索敵範囲を広げていたのだ。非効率だが康太らしい調べ方だというべきだろうか。


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