表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
十二話「アリスインジャパン」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

476/1515

双子の親

「なるほど・・・お前を仲間に・・・か・・・」


「俺の実力を正確に把握してない状態で結果だけを見て誘いに来たんならそれでいいんですけど・・・俺の場合ちょっといろいろありますからね」


ある程度の事情を話した後、康太はアリスの方に視線を向ける。自分の中にいるデビットの残滓もそうだが、今目の前にいるアリスも一応は封印指定に名を連ねている。二つの封印指定に関わったことはまだいいとして、その二つが康太の身近にあるという事はかなり高いレベルでの情報統制がなされている。


もしそれを知っているのであれば相手がどこから情報を得たのかも調べなければならないだろう。


「相手がお前の何を見て仲間にしようと思ったかを判断する・・・か。まぁ確かに必要なことではあるな」


「だがコータよ、そいつは追い出してしまったのだろう?話を聞く限り昼間に遭遇は避けるべきだというのも分かった。では夜に遭遇することになるだろうが、仮に遭遇したとして本人であるとわかるのか?」


「そこは問題ない。索敵で徹底的に調べまくったからな。仮面で隠してもある程度は把握できると思う」


まだ未熟で得られる情報が曖昧であるとはいえ、あれだけの至近距離で延々と索敵し続けたのだ。相手の情報はほぼ得られている。


そして相手もそれは同じかもしれない。もっとも男の方は索敵をしていた様子はない。どちらかというと女の方が康太の事に気を配りながらも周囲の事に気をかけていた。


その為康太のことを把握できるのは女の方である可能性が高い。


「その魔術師二人に関してはお前達の問題だからお前達が何とかするべきだろうな・・・それはさておきこの二人は何だ?」


唐突に奏から話を振られたことで康太たちの後ろにいた土御門の双子はほんのわずかに体を硬直させた。


康太たちの話を聞く限りかなり恐ろしく高い実力を有している人物であるというのは容易に想像がつくため、話を振られたとき自分たちが何かしてしまったのではないかと不安に思ったのだろう。


実際は奏はただ単にこの二人と康太たちが話しているのを見ていたために気になっただけなのだが。


「あぁ・・・そう言えば二人には紹介してませんでしたね。以前俺が土御門の家の関係でいろいろあったのはお話ししたと思いますけど、この二人はその時の双子です」


「・・・あぁ、土御門の秘蔵っ子か・・・話には聞いていたが・・・何故ここに?」


「なんでも学園祭があるってことを誰かから聞いて、そんで師匠の店に来たら師匠に焚き付けられたみたいで・・・」


「・・・なるほど、小百合の思惑か・・・大方かき回してこいとでも言われたんだろう?」


この人はその会話を見て来たのではないかと思えるほどに的確な読みをする。小百合の性格を知っているからこそなのだろうがそれにしたって読みが正確過ぎて康太としても実際にその会話をした土御門の双子からしてもかなり脅威に感じていた。


奏ならばその程度の事はしてしまうかもという考えがありながらも、やはりここまで考えを読まれるというのは恐ろしい。


「確か・・・お前達の父親は土御門の吉久だったな・・・あいつには手を焼かされた覚えがある・・・」


「え・・・?うちの親を知っとるんですか?」


「あぁ・・・私もかなり前にだが西に足を運んだことがあってな・・・その時面倒に巻き込まれたんだが・・・その吉久とはちょっといろいろあってな・・・まだお前達が生まれていない頃の話だ」


小百合が土御門とのコネを持っていたという事もあって、奏もそれを有しているのではないかと思っていたがまさか双子の両親と面識があったとは知らなかった。


というか二人が生まれるよりも前という事は少なくとも十五年以上前ということになる。

恐らくは奏もまだ修業中、あるいはまだ魔術師として一人前になってそう時間が経過していない頃の話だろう。


「二人の親ってどんな感じなんですか?俺結局昭利さんには会いましたけどこの二人の両親にはあってないんですよ」


「どんなと言われてもな・・・私もあったのはだいぶ昔だぞ?ただ非常に厄介なやつだったな・・・予知と射撃系の魔術を上手く利用してこちらに的確にダメージを与えてくる奴だった・・・予知の魔術を扱うのが上手いタイプでな・・・回避よりも攻撃に偏ったやつだ」


予知の魔術は未来の情報を知ることができる。その為に回避だけではなく攻撃にもその効果を反映させることができる。


例えば相手が逃げる方向を知ることができればその方向にめがけて射撃魔術を放てば当然相手には命中することになるだろう。


相手からすれば防御するなり回避するだろうが、それすらも予知してさらに次の攻撃を繰り出せば延々と攻撃し続けることができる。


母親の方はどのような魔術師なのかはわからないが、父親の方は非常に攻撃的な魔術師だったらしい。


その時にあったという事は戦ったのかはわからないが、奏が懐かしい表情をすると同時に少し目つきを鋭くしていたというところを見ると苦戦した記憶があるらしい。


まだ彼女が未熟だったころの話かもしれないがそれにしても奏をして厄介なやつと言わせるという事はそれだけの実力者だという事だ。


「うちの親ってそんなすごい人だったのか・・・」


「戦ってるところなんて見たことないから知らなかった・・・」


父親が魔術師として戦っているところを見たことのない土御門の双子としては軽いショックだったらしく、自分たちの親を想像しながら目を白黒させていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ