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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
十二話「アリスインジャパン」

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長生きの秘訣

「ていうか今までずっと聞こうかどうしようか迷ってたんだけどさ、お前ってホントに数百年も生きてるのか?」


「また唐突だの・・・信じられないか?」


「いやぶっちゃけお前が長く生きてようが生きていまいがどうでもいいんだけどさ、なんていうか・・・そう言う風に見れないんだよな。そもそもどうやって長生きしてるのかも知らないし」


随分と正直に言ったが実際康太はアリスが長年生きていようがいまいがどちらでもよいのだ。


アリス個人を見て同盟を組むことを決めたのだしそこまで重要なことではない。だが人間がそこまで長く生きることができるという点に関しては半信半疑だった。


ニュースなどで人間の寿命がどうのという内容は何度か見かけたことがあるが実際のところどうなのかは康太も分かっていない。


というか寿命についてもあまり良く分かっていないのだ。そう言う意味でも百年以上生きているアリスに純粋な疑問が湧いてきているのである。


「ふむ・・・まぁお前達ならばいいか・・・そもそもなぜ人間には寿命があると思う?」


「え?そりゃ生き物としての限界だろ?」


「ならばその限界は何故訪れる?生きているうえでなぜ人は、ほとんどの生き物は自然に死ぬ?」


そう言われると何故か康太は自然と頭の中に考えが浮かばない。なぜ人間は死ぬのか。


外傷などではなく、大抵が老いていき、最期には老衰で死ぬ。そこまで考えてようやく一つ原因が思い浮かぶ。


「老い、老化があるからじゃない?」


康太の考えを代弁するかのように文がその言葉をアリスに告げると彼女は小さくうなずいてみせた。


「ではなぜ生物には老化が発生するのか。それはわかるかの?」


「ん・・・詳しくは知らないけど、細胞分裂の時に遺伝情報が劣化するとか、細胞分裂の回数には限りがあるとかそんな感じだったような・・・」


文もなぜ人間を含めた生物が老いてしまうのかその原因をはっきりということはできなかった。


高校生が知るにはあまりにも専門的過ぎる内容だ。だが大体の原因としては文のいった内容で正しい。


その為アリスは強くは否定せずにそのまま話を進めることにする。


「そう、つまりは人間の体が老いていき、生きるための機能がどんどん失われているからこそ死んでしまう。人間の細胞分裂にこそ死の根本的な原因があると言っても過言ではないわけだ。だから私は細胞分裂を操ることができる魔術を開発した」


細胞分裂を操ることができる魔術。そう聞くとなんだそんなことかと康太は簡単に考えたが、楽観的な康太に対して文の表情は険しい。


アリスが言っていることがどういう意味を持つのか文はほぼ正確に理解できたのだ。そしてその恐ろしさと難易度の高さを感じ取り目の前にいるアリシア・メリノスという魔術師が本当に何百年も生きているということに対しての強い疑念と同時に、強い確信のようなものを得てしまっていた。


疑念に関しては文がただ否定したいだけだったのかもしれない。それほどの難易度のことをあっさりと言ってのけるアリスに対して文は恐怖すら抱いていた。


「じゃあ俺もお前みたいにその細胞分裂を操る魔術を使えばずっと生きられるのか?」


「ずっとというわけではない。この魔術にだって限界はある。この魔術はあくまで細胞分裂を操って人間に訪れる寿命の限界が可能な限り訪れないようにするためのものだ。決して不老不死になれるわけではない」


何よりコータでは制御できないだろうとアリスは言う。康太は残念そうにしているが、それを聞いていた文だって制御できるかわかったものではない。


というかできたとしてもそれをやろうとは思わなかった。思えなかった。それだけの処理能力が自分にあったとしても自分自身の体の根幹にかかわる部分を魔術で操るというのはリスクが高すぎる。


それだけの技術を彼女がどのようにして得たのか疑問は尽きない。


「でもアリスの長生きの秘訣がわかっちゃうとなんだそんなことかって感じだよな。なんかもっと超常的な秘密があるのかと思ってたのに」


「がっかりされても困るのだがの・・・というかコータはこの魔術の凄さを分かっておらんだろう?」


「すごいってことはわかるけど、どのくらいすごいのかはわからない」


康太の中ではアリスの使っている魔術を表すのにこれだけ的確なものはないだろう。すごいという事は康太も分かっている。だがそれがどれくらいすごいのか実際にわからないのだ。


すごさの程度がわからないと言えばいいのか、一般庶民に一兆円の凄さを説明してもそれが実際にどれくらいすごいのか実感を持てないのと同じようなものだ。


次元が違いすぎて解説のしようがないのである。


「んー・・・なんと説明すればよいかの・・・」


アリスとしても自分がどのようにすごい魔術を使っていてどれくらい自分がすごい魔術師なのか説明したいところなのだが、実際康太に説明するにはどのようにすればいいのか困ってしまっていた。


教師がまだ知識も何も収めていない幼子に対してどのように物事を教えるか四苦八苦するようなものである。


魔術に関しての正しい知識を持たない康太にとってどのように説明すればそのすごさを理解してもらえるか、アリスは悩みに悩んでいた。


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