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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
十二話「アリスインジャパン」

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新たな技術

「・・・なるほど・・・お前の起源の特性か・・・」


康太と文は小百合の店にたどり着くと小百合にアリスから聞かされ、文にも話したことを告げていた。


そして丁度康太が小百合にそのことをすべて話し終えたところで真理と途中で一緒になったであろうアリスが店の中にやってくる。


小百合に康太に文に真理にアリス、五人という今までなかなかなかった人数に小百合は少々狭さを感じながらもちゃぶ台を囲み康太の方をじっと見てため息を吐く。


「知覚、索敵系が得意となると私ははっきり言って役に立てんな。私はそう言うのは不向きだ。そう言う魔術を妨害する魔術なら得意なんだがな」


「あぁ・・・まぁ師匠はそうでしょうね」


元々破壊系の魔術しか覚えられない小百合に知覚や索敵と言った魔術を扱えるとも教えてもらえるとも思っていない。


だからこそ彼女は魔術に頼らず自らの独特の感覚や勘が優れていったのだろう。魔術などでは知ることのできないことを彼女は自らの感性によって得ることができる。それはそれで便利かもしれないが今まで不便な状況にあったからこそ育った特性であることを考えると素直に羨ましいとは思えなかった。


「真理、お前の方から知覚、索敵系の魔術は教えてやれ。なるべくこいつにも扱えそうなものをチョイスしろ」


「わかりました。これまでの修業はどうします?」


「継続する。取れる手段が増えるに越したことはない。通常の私の修業、真理と文の属性魔術、奏姉さんの槍術、エアリスの所での鍛錬・・・あと幸彦兄さんに体術を教わるのもいいだろう」


「・・・なんかやることがどんどん増えてるんですけど・・・これスケジュールとかどうするんですか・・・?」


「そんなもの自分で考えろ。だがもっとやることは増えるぞ、なにせそろそろ方陣術に関しての技術も学んでもらうんだからな」


その言葉に康太と真理、そして文はようやくかと感慨深くなり、アリスは一体何を言っているのだという風に眉をひそめていた。


康太の今までの成長を見ているものからすれば康太もようやくその段階に足を進める時が来たのかと思う事であるだろう。だが今までの康太の成長も何も知らないアリスからすればまだ覚えていなかったのかというレベルの話なのだ。


「コータ、お前は方陣術について何も知らんのか?」


「いやある程度は知ってるぞ?でも全く使えない。なんかいろいろ大変だってことは知ってる。体の外に術式を刻んでそれに魔力を流し込んで発動するんだけど・・・なんだっけ・・・波長だっけ?それを変えるってことくらいか」


康太が魔術師として経験が浅いことも、まだ魔術師になって一年も経過していないことはアリスも知っていた。だがだからと言ってあれほどの戦闘能力を持つ康太が方陣術の基礎も知らないとは思っていなかったのだ。


だからこそ康太のこの返答に呆れてしまっていた。大体の概要はあっている。確かに方陣術とは体外に術式を刻み込みそこに魔力を流し込むことで発動する。術式を複雑にすればさらにいくつかの条件を加えることができ、複雑になっていけばいくほど魔力の調整は難しくなっていく。


康太は魔力の調整の中でも基礎の基礎ともいえる属性魔力の生成をようやくまともにできるようになったのだ。方陣術を学ぶ段階に進むには時期尚早と真理は睨んでいたがそれでも方陣術というものに触れるにはいい時期かもしれないとも思っていた。


「ですが師匠、まずは何を?簡単なものでやってみるのがいいと思いますけど・・・魔力の調整はまだ康太君には難しいでしょうし」


「いやそれ以前の問題だ。こいつはそもそもものに方陣術を書くということができないんだぞ?」


小百合の言葉に全員があぁそう言えばと康太の方を見る。


方陣術だけではなく、時折魔術師同士の『一般人には見えない文書』を書くときに用いられる魔力によって描かれる、いや刻み付けるという事を康太はまだできないのだ。


物体に魔力を流し込むという事はこの前得意な属性を調べる時に修得したが、それとはまた違う技術が必要なのだ。


他の魔術師全員が当たり前にできることを康太はまだできないのだ。本当に基礎の基礎から教えなければならない。


走るという事を教えるのにまず足を前に出すという事から教えるようなものだ。基礎の基礎どころか基礎のきの字から学習させなければいけない。


「だがこれができるようになればできることは多い。ついでに私の持っている方陣術の技術もいろいろと教え込んでいくつもりだ。本人もやる気を出しているようだしな」


ようやく方陣術を学べるという事で康太は確かにやる気を高めていた。魔術師になってから早半年以上が過ぎた。通常の魔術、属性魔術を学んでようやく方陣術にも手を出すことになる。


まだやっとのことで属性魔術を高い発動率になってきたという段階であるために実戦に投入できるほどの練度ではない。これからまた新しいものに手を出すというのは真理が考えているように時期尚早かもしれない。


だが本人がやる気を出している。せっかく高まったモチベーションを下げることもないだろうと小百合は康太の方を見ていた。


「どうだ?お前がやるべきことが他にあるというのならこの話はまた後回しにするが?」


「いえやりたいです!せっかく新しいことができるようになるんですからやってみたいです」


「スケジュール云々はいいのか?」


「何とかしますよ。せっかくの提案なんですから」


新しいものを学ぶ。本来勉学においてもこれは知識欲を大きく刺激するもののはず。だが康太は勉学以上に魔術の新しい面を知ることができるということに喜びを覚えていた。


こういうところは魔術師向きだ。いや男の子ならば仕方がないと思うべきなのかもわからないが。


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